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時を味わうミックスドリンク

「この家の2階からね、海が見えたのよ」

背の高いビルや建物が建てられたためか今は海は見えない。汐見坂と名のついた夕陽に照らされる長い坂をくだり、家主だった教授が通っていた大学までの道を歩く。

サンダルをつっかけ、エプロン姿で玄関先に水をまく女性。店先の暖簾をしまう和菓子屋さん。球児の練習に励む音が聞こえる。

昭和のはじめ頃と令和のいま、見える景色はどれくらい違うのだろう。


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東京千駄木にある登録有形文化財、島薗家住宅。

昭和7年に生化学者の島薗順雄の結婚を機に建てられました。西に洋館、東に和館が配置された「和洋並置式」。

ドイツ建築の継承者、矢部又吉設計による現存する唯一の個人住宅です。

庇にめぐらされたレリーフ状の連続装飾やアプローチのトレリス、昭和初期ならではのスパニッシュ様式の装飾など隅々まで施された意匠が見られ、東大教授だった家主の持ち物であった医学書が並ぶ書斎や食器棚の設えなどもそのまま保存されています。


家主がいなくなった今もご家族の方が管理されており、しっとりと静けさがありながらも柔らかな人の気配を纏った空間です。


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お庭にある薔薇の蕾がほころぶ季節に、そんな美しい空間と流れる時間をアルコールフリーのミックスドリンクを通して嗜んでいただく機を設けました。

時を味わう、をテーマにご用意したのは3種のアルコールフリーのドリンクと菓子のドリンクコース。


島薗邸にお住まいだった東大教授のこと、お庭や建築、昭和初期の千駄木の景色を扱わせていただく素材にのせ、すこしずつ混ぜ合わせてコースづくりを行いました。


アルコールを使わないことで素材の味わいをより繊細に。

玄関には青竹の香。おおきなダイニングテーブルにはいけばなを。蓄音機から流れる音楽。

漆の器とお懐紙に写したメニュー。


流れる時と変わらないものが交差する空間で過ごした時間はとても豊かで愛おしいひと時でした。


お付き合いくださった皆さま、ご協力いただいた皆さま、気にかけてくださった皆さま、ありがとうございました。


今回は人数を限定し開催しましたが、またいつか。



EAU DE SALON
時を味わう at島薗邸

Panning: emmy

Special thanks
Music: @dj_isobe 
Flower: @mayuarai_flower 
Chaser wine: @mosssaan 
Distiller display: 桐山製作所 


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