それを人は「児童労働」と言うだろう

ブルキナファソの首都ワガドゥグ
信号待ちの車窓から

ここには物乞いをする子どもたちがたくさんいて
小さなレモンを売る子どもたちもたくさんいる

でもある日珍しく、きゅうりを売る子どもがいた

彼は私の車にきゅうりを押しつけて
わずかに空いた窓から叫んでる

200 フラン!500 フラン!1,000フラン!
日本円で言えば、40円!100円!200円!

きゅうりを見ると品質がよさそうだったので

窓を開けて一つ選び
「これいくら?」と聞くと
「200 フラン」と答える
「じゃあ、買うよ」と200フランを渡す

慌ててビニールを切ってきゅうりを渡そうと
きゅうりが思いっきり窓にぶつかった

彼は「ごめん」と謝った
私は「いいよ、ありがとう」と伝えた

「いいきゅうりだね」と言うと
「ありがとう」と笑顔になった

「ブルキナで作ってるの?」と聞くと
「うん」と、はにかんで答えた

人をそれを「児童労働」と言うだろう

きゅうりの200フランの約40円が
もしかしたら仲介の手数料を引かれ
彼や彼の家族の手元にいくら残るのか
正直、私にはわからない

でも、少なくとも

物乞いでお金を要求するのではなく

みんなと同じものを売るのではなく
他の子どもとは違うものを売って

松竹梅の価格の選択肢を準備して
いい品質のきゅうりを売ろうとした

私はちょうどきゅうりが欲しくて
いいきゅうりだったから買った

人はそれを「児童労働」と言うだろう

同じ時代の同じ社会に生きていても
人は生まれながらに同じ環境ではない

だから…
今のお互いのベターの選択肢で
私はきゅうりを買ったんだ

でも、未来のためにひとつ願うとすれば

子ども時代に両親のお手伝いをしたり
家族のために働くことは素敵なことだけど

好きなことを学んだり好きな遊びで遊んだり
そんな時間も君にあったらいいなと思ってる

その先には、自分の努力次第で
やりたい仕事があるといいな

自分があまり望まない力や暴力に
貧しさが理由で巻き込まれないといいな

だからその仕事の選択肢の一つになれるように
私は、仕事を作る仕事をしているよ

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