祖国を守るために死ぬ準備はできているか?

なんて質問を、2023年の日本で聞かれることは、まずない。そんなことは、週末の友達とのカフェでの会話にならない。だけど、このブルキナファソに生きていると、そんなことを考えずにはいられない。

2019年以降、ブルキナファソでは北部や東部でイスラム過激派のテロが多発、2000万人の人口のうち200万人が国内避難民となった。その避難民の人々の雇用を創るために、2022年の夏に一人でここに来た。

2022年には1月と9月に軍事クーデターが起きた。その両方が現政権に対するテロ対策や治安回復に対する抗議。一度目は民政から軍政へ、二度目は軍政から軍政になった。

2022年10月頃、5万人の志願兵(VDP :Volontaires pour la Défense de la Patrie)が募集された。記事によると2〜4週間の訓練で武器の使い方を学び、前戦で戦闘に立つらしい。

訓練をする若者、トラックの荷台に乗り基地に向かう若者、銃を持つ若者。そんな景色がここには当たり前だ。

連日報道される「テロリストが◯人殺害された(無力化された)、VDPが◯人殺害された」というニュース。そのニュースに並ぶ肯定的なコメント。

最初の頃は、そのニュースを見る度に、心が痛くなった。でもあまりに多いそのニュースに、心の揺れが間に合わなくなった。

そもそもここにテロリストが何人いるのだろうか?そして、テロリストが何人殺害されれば終わりになるのだろうか。というか、そもそもテロリストって誰なんだろうか。

2023年9月現在、外務省が発表する危険度レベルは、多くの地域でレベル4「退避してください。渡航はやめてください(退避勧告)」。そして首都ワガドゥグの周辺はレベル3「渡航はやめてください」

2023年5月以降の危険度レベル

そういえば、ブルキナファソのある友人に「志願兵に志願しようと思ったことある?」と聞いたことがある。友人は「ない」と答えた。「死ぬ準備ができていない」と。

もし、日本に戦争が起きて、祖国を守らなければならない、そんな未来が来た時に、私は志願するのだろうか。

祖国のために死ぬ準備はできているのだろうか?そんなことを、2023年のブルキナファソで考える。普通の週末に、カフェで。

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