MARU: Immigration Stories #2
8月に紹介したMARU: Immigration Stories、トロント日系文化会館ヘリテージチームによって制作されたグーグル・アート・アンド・カルチャー上でのバーチャルエキジビションは、実は日系文化会館での展覧をもとにして制作されています。ワクチン接種率が高まり、トロント市内の公共施設での規制が緩和されたことによって、今月から会館での予約制展覧ツアーが始まりました。今回は、その展覧内容とツアーに参加した感想を書きます。
トロント日系文化会館は現在一般には閉館されたままなので、日本文化ハブとしての活気に満ちた会館の姿はまだ取り戻せていませんが、ひっそりとした正面玄関から入ってまず目に入るのは、MARU:Immigration Stories のゴールドのサイン。「MARU」と聞いて思い浮かべる方も多いかと思いますが、船を模したスタイリッシュな今展覧のロゴです。
MARUはその昔、様々な異国の土地へ、希望と不安を胸に旅立った日本人たちがトランクや行李を片手に乗り込んだ船をイメージしています。日本から出港した船は太平洋、インド洋を越えてハワイ、アメリカ、カナダ、そして南米の国々へと旅立って行きました。
バーチャルエキジビションでも最初に現れるこの地図は、モリヤマ・ニッケイ・ヘリテージセンターでも入り口に展示され、「丸」を冠した移民船の航路を示しています。中でも有名なのが、1908年ブラジルへと出港した笠戸丸です。その乗船記録をウォールアートとして展示しているのがこちら。
センターの展示は大きく3つに分かれています。ハワイ、ブラジル、そしてカナダと、バーチャルエキジビションでも紹介されるアーカイブ資料や写真を金継ぎをイメージした展示パネルで見ることができます。金繕いとも呼ばれる金継ぎは陶磁器の破損部分を修復する技法。日本から遠く離れた異国の地でニッケイとしていきた日本人の歴史、その奥深い力強さを金継ぎの美しくたくましいイメージと重ねています。
トロント日系文化会館内のモリヤマ・ニッケイ・ヘリテージセンターに展示されてる、このMARU: Immigration Storiesは2026年9月までの常設を予定しています。展示内容は定期的に入れ替えをするそう。同じくヘリテージセンターと続く会館内のギャラリーではBroken Promisesも展示中です。詳しくはこちらから。
さて、私とプロダクションメンバーによるドキュメンタリー映画プロジェクト、Home and Native Land(s)も少しずつ動き始めました。次回はカナダの首都オタワからそのお話を。