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思っていることをそのまま言っちゃダメな社会

多くの大学では、例えば学長を決めるときとか、学内のメンバーで選挙が行われると思います。世の中の大学では選挙前になると水面下の応援合戦とか工作とか、怪文書とか派閥争いとか、見たことないので適当に書いていますがそういうのもあるのかもしれません。

現在私がいる大学は理事会が強いので、いわゆる中央集権システムで、学長を始め学部長学科長も理事会によって決定されます。ある日突然「アナタです」と指令が下るそうですが、拒否権があるのかどうかは知りません(多くの方は喜ぶから問題ないのか)。

つまり今の大学は全く民主的ではないということになるのですが、幸か不幸か私自身はまったくそういう学内政治に興味がないおかげで、むしろ気楽に過ごしております。選挙前に工作員がこっそり部屋にきて話をされたりとか、派閥に入れと言われたりとか、怪文書が出回ってきたりとか、見たことないので適当に書いていますが想像するだけでウンザリします。

まあそんなわけで、裏工作の必要がない状況だからなのかもしれませんが、基本的に今の私の職場環境は大変に風通しが良い気がします。言いたいことはきちんと言えるし、腹の中で思っていることと口に出している言葉がちゃんと一致しています(多分ね)。陰でコソコソ、ひそひそというのがあったとしても日々の愚痴程度だと感じています。

もっとも、裏工作の必要がないからみなさん素直だ、というのは結果論であって、裏工作の必要がないはずの職場でも腹の探り合いをする職場はあった…かもしれません(遠い目)。

この数日、そんなことを考えているのは、どうも私の価値観・感覚は、実はものすごくズレてるんじゃないかと疑問に思うことがあったため。

先日学外の方とお話をする機会があったんですよ。(私にとっては)結構大事な会議だったので、いろいろ事前に心づもりをしていたのです。私の中での最重要事項は「誠実であること」だったので、私の考えを飾らずに気取らずに丁寧に話そうと思ったのです。何か聞かれたときにも嘘はつかない、考えてもわからなければわからないと言う、と決めて臨んだのですが…。

後日、漏れ伝わってきた話を聞いてびっくり仰天でした。なんかね、素直に話したことがいろいろ裏目に出てたんです!

だって未来のことについて聞かれたって、やってみなきゃわからないことたくさんあるじゃないですか。なので「○○のように、私の出来る範囲で頑張ります」みたいな感じで話したのですが、そこは「出来ます」と言い切らなきゃいけなかったんですって。えーーーーーー。

そりゃ大学の面接だって、受験生に対して「他所とウチと受かったらどっちに来ますか?」と聞いたら、そりゃ全員(仮に違っても)「貴学に進学します!」っていうもんなあ。うーん、率直に答えちゃダメな場合もあるのか(じゃなんでそんな質問するんだ)。

…とまあ、50代にして「思っていることをそのまま言っちゃダメ」な社会に足を踏み入れてしまい、足がすくんでいる今日この頃。