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教員部屋の断捨離

4年の卒論でお世話になった研究室は超超超狭いところでした。今から思えば歴史ある研究施設だった分、いろいろな造りが「昔サイズ」だったんでしょう。4年生が使える専用スペースも極端に狭く、実験台もぎゅうぎゅうで使っていましたし、実験室の隅でみんなでお弁当を食べていたくらい(実験室での飲食が戒められている今としては考えられないですが)。

とはいえ4年生というのは「まっさら」なので、最初に「ここですよ」と言われたら「そういうもんか」と素直に受け入れるんですよね。「狭い」と感じたことは一回もありませんでした。

大学院受験をして入った研究室では、学生部屋と実験室が分かれていました。案内された瞬間に「広っ」とビックリ。しかも「自分専用の机」に「自分専用の実験台」まである!! 夢のようだと思いました。

その後(紆余曲折を経て)博士課程ではまた別の研究室に行ったわけですが、そこでは「自分専用の机」「自分専用の実験台」はもちろんのこと、冷蔵庫や冷凍庫に「自分専用のスペース」まである!! 修士時代は1台の冷蔵庫冷凍庫にみんなのサンプルが押し合いへし合いして入っていたので、これまた、夢のようだと思いました。

そこからさらに(たくさんの)時間が流れて今に至るわけですが、今や、「自分専用の部屋」まであるんですよ。普段は慣れてしまっていて何も思わないのですが、たまに正気に戻ったときに「うわ、広っ」と思います。

実際、今の大学は恵まれていて、教員スペースがかなり広いです。東京の都心の教員部屋に比べたら2倍、ヘタしたら3倍くらいの広さがあります。

ただし、恐ろしいのは「空いているスペースにはモノが増殖する」という世の中の常ですよ。一種のエントロピーの法則(意味不明)。広い部屋のはずなのに、気づけばいろんなモノであふれています。

先月末にふと「正気に戻った」瞬間があって、いや、なんでこんなにモノがたくさんあるのか、と愕然と致しました。就任時に自分で持ち込んだものだってもちろんあるわけですが、むしろそのあとに増えたものがわんさかわんさか。

「授業でこれを使って説明したらわかりやすいかも」と思って作った小道具とか(何の授業なんだ)、クリスマスシーズンに部屋に飾るオーナメントとか、どんどん増える学会誌とか。

両親が遊びに来たときに「あらここ広いわね」という話になり、「あなたのところにコレ置けるわよね」と亡くなった祖父母の家にあった置物やらなんやらがわんさか送られてきたのもありましたしねえ(祖父母の形見と思うとなかなか無下にも出来ずに部屋に置いている)。

あとは歴代の卒業生からもらったものなんかもやはり無下にできなくて部屋に置いているし。

というわけで、緩く断捨離をしようと思った次第。スペースは有限だと自分に言い聞かせる今日この頃。