ワンオーダー 〜キャッシュがないと戦えないヒーローとそれを支えるボクの話〜_22
退院がおよそ2週間後の2月末になる見通しである。
その間、ボクは病院のベッドの上でこれからのことを考えた。
毎月50万というお金を支払い続けるのは途方もないことのように思えた。
しかし、もしあの時ボクが支払っていなければ、壇ノ浦さんはおろか、ボクも今この世に存在しなかっただろう。
窓の外を眺める。
河川敷の桜並木が見えるが、まだ咲く気配はない。
あの桜が咲くまで、生きていたいものである。
おっと、気付けば余命を宣告されているわけでもないのに、ボクはひどく弱気になっている。
生きる為の50万。
ボクのアルバイトは時給980円。月におよそ10万弱稼いでいる。が、家賃光熱費食費交際費で全てなくなってしまうのが現状だ。
ちなみに学費は奨学金を借りて、支払っている。
仮にボクの生活費と返済分として50万を稼がなければならないとなると、合計60万弱を毎月稼がなくてはならない。
時給980円のバイトだとおよそ612時間。
24時間寝ずにぶっ通しで働いたとして25日と半日である。
もちろん、ボクだって寝なければ死ぬ。
これはヤバい。
どうすればいい?
ギャンブル?
いや、ボクが経験したことのあるギャンブル等、ジュース代をかけたボーリング程度のものである。
パチンコで生活費を擦った友人も目の当たりにしている。
ギャンブル案はボクには向いていない。間違いない。
では夜の仕事か。ホストとか?
確かに、割と最近、女の子にモテているような気もする。
が、たまたまモテキが来ただけかもしれないし、それに大したトークが出来るわけでもない。あとルックスも大したことない。大したことない男である。
向いていないが、一案としておこう。
あとは、、、。
もうネタ切れである。
残念である。ボクの知識の乏しさ。
いや、普通に時給のいいバイトに転職して働けば、いけるのではなかろうか。
たとえばパチンコ店だと1600円の求人を見かけたことがある。
その場合、315時間働けば稼げる計算になる。
となると、1日10時間働いた場合、31日とちょっとで目標金額を達成するということになる。もちろんギリギリ1ヶ月をオーバーしているので、そこに他のバイトを掛け持ちすれば、何とか目標金額を達成できるのではなかろうか。
1日の睡眠を4時間とし、10時間をパチンコ店で働き、残り6時間程度は他のバイトをし、残り4時間はその他生活のための時間にあてる。
もちろん、大学は止め、全ての時間をバイトに賭ける。
そうすれば、何とか生きて行ける。
かなり厳しい道のりだが、微かに希望が見えた気がした。