WEEKLY CINTERTOTTING NOTES : 2/24/2020
引き続き公開ラッシュが続いてますね。とりあえず、毎年のことなのにまったく慣れない確定申告を早く終わらせてしまいたい私です。
・2/16「1917」109シネマズ (2020年15本目)
『全編ワンカット』(のように見せる)という演出がずいぶん前から宣伝などでおなじみでしたが、いざ観てみるとなんと大変なことをしているのだろうという気持ちでいっぱいに。監督がパンフレットのインタビューにて少し触れていたのですが、リハーサルでセリフや会話の時間と移動の距離を計り、それを元にセットを作っていくなど、どのようにしてこんな映画を作ったのかが少しわかるのですが読んでいるだけで途方に暮れてしまいました。通常の映画の50倍はリハーサルに時間を費やしたのだそうです。
特殊な演出であるゆに鑑賞前は少し身構えていたのですが、私の大好きなタイプの映画でした。スクリーンいっぱいに映される絵や交わされる言葉たちがとてもポエティックで、私が個人的に『映画的表現』と思うものの中で大好きでたまらないストーリーテリングの魔法でいっぱいでした。伝令という名のもとの旅の中で交わされるヒューマニティの美しさ。何度も手を取り合うひとびとの姿がとても印象的でした。
ノーマンズランドの文字通り何も無さや、後半の争いの舞台は圧倒的な恐ろしさでしたが緑や花、歌声が響く森など自然いっぱいの情景は言葉を失うほどの美しさでした。特に一本残らず切り落とされたチェリーの果樹園は悲しいけれど花がとてもきれいで、「もうここには何もなくなるのかな」というスコの問いに、家族がやっていた果樹園を手伝ってきたブレイクが「種が落ちれば、今よりももっと木が生える」というように答えていたのが忘れられません。
そしてまるでイギリス名優すごろくかのように次から次へと出てくる豪華俳優陣の出現ポイントも、見ていて楽しかったですよね。…なのですが、実は私、コリン・ファースに全く気付かずエンドロールを見てエッとなってしまいました。
この映画を観る前にピーター・ジャクソン監督の「彼らは生きていた」を観ていて本当に良かったです。
・2/20「殺人の追憶」新宿シネマート (16本目)
新宿シネマートがポン・ジュノ監督特集をしていたので久しぶりに観ました。前回は公開してから数年後、アメリカに留学していた大学生の時に韓国人のお友達と一緒に観ました。彼女にこれは本当にあった事件をモチーフにしているんだよと教えもらいました。
公開当時は未解決事件ということでしたがついに2019年、別の事件で刑務所に収監中だった男がDNA鑑定の末に犯人が特定されました。アフター6ジャンクションでのポン・ジュノ監督のインタビューによると犯人はどうやら3回、刑務所内でこの映画を観ていたとのこと。
そんなことを知りながらまたこの映画を観ると、なんと言葉にしていいのか。また、以前観たときよりもずっと、この世界はダメだ、と思いました。ソン・ガンホはすごい演者だとつくづく思います。
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