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就活という魔物

「就活って結局何ですか?」という質問に「ドラクエじゃないですか」と答えた。

どんな順番でもクリア出来るように見えて実は決められた作法やフローがある。そして「やり方」ばかりが攻略本となって世の中に出回っている。

今の自分の就活はまるで二周目のプレイ。
去年から就活を見て何が起こるか分かっているから、まるでタイムリープした人間みたいに、周りを眺める傍観者としての自分もいる。

二周目のプレイでしか気づかないことも多い。
初めてインターンに参加してから1年以上の月日が経ち、自分の目から見えた景色をここに書き綴る。


サマーインターン期=ドラクエX

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7年前に発売されたドラクエXというオンライン版のドラクエが結構好きでハマってました。

もうドラクエXの中だけでも5作品目がリリースされるほどのロングセラーですね。

ただこのゲーム、猛者と初心者の差がエグいんですよね。
最初ゲーム始めた時なんて周りの人みんなカッコいい装備で、なんか引け目感じちゃいましたね…

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「まさにこの現象がサマーインターンでも起こっています。」

受かる奴は平気で20社ぐらい受かるし、受からない人は一社も受からない。
この違いは単に「ゲームの開始時期」です。
別に就活やインターンを始めた時期ではなく、意識がそちらに向いた時期です。
人の初期能力に大層な差はありません。

もう一つ要因があるとすればジョブです。
ドラクエXでは戦士や僧侶、様々な職業を選べるのですが、人気のない職業だとなかなかパーティーに入れて貰えないんですよね。


最近の就活は戦士が多過ぎる

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ドラクエXでは戦士のように前線で戦う前衛職とサポートする中衛職、僧侶や魔法使いといった後衛職があります。

ガクチカや学歴という武器を携えて我が我がと周りをも薙ぎ倒していく。
戦士ばかり集まると見るに耐えないアピール合戦になって、全滅パターンも免れられないです。(そもそも面接官や他の就活生のHPを削る競技ではないですからね…)

GDで客観的視点からクリティカルな意見を飛ばしてくる魔法使いや、議論を可視化してメンバー全員に補助呪文をかけるような僧侶の方が、市場価値は高いように思われます。


上級職になろう

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ドラクエでは戦士や僧侶といった下級職を極めると、魔法戦士や賢者といった上級職になれるようになります。魔法戦士=戦士×魔法使い、賢者=魔法使い×僧侶といった具合に一人二役になるんですね。

彼らは周りのパーティーの役割編成に合わせて自在に戦い方を変えます。
色々な特性を持って、状況に応じて自分の戦い方を変えられる柔軟性は強いですよね。


勇者は目的なく冒険に出ない

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「将来的には世の中にインパクトをもたらす仕事をしたいです!」

自分もよく使ってしまう言葉ですが、この言葉だけで真意は伝わりません。

最近は大企業志向風潮だったり、選考の難易度が企業偏差値として定量化されて偏差値だけで企業を受ける人が増えましたね…

正直めちゃくちゃ大きい企業や一般に偏差値が高い企業は“総じて”「世の中にインパクトをもたらせる」訳です。

何で社会にインパクトをもたらすかが問題で、化粧品で人々の「美意識」にアタックするのか、コンサルで「会社の戦略」にアタックするかは人次第。

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“インパクト”という縦軸だけでなく“手法”という横軸がないと企業を選び切ることはできないです。

とはいえ“手法”を断定することはとても難しいことで、ここでカギとなるのが“動機”です。

以前noteで示したゴールデンサークルのように”What”の前には”Why”が存在する。
例えば「お節介で人の行動に口出ししたい」という動機の先に「コンサルタント」といった手法が存在する訳です。

ドラクエの中の勇者も初めから勇者であったケースばかりでなく、「魔王を倒し世界を救う」という崇高な旅の動機を掲げて、人々に「勇者」と呼ばれるようになるのです。

強者は相手のことをよく知っている

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ドラクエⅢに登場するゾーマというラスボスは、初めに纏っている「闇のころも」というバリアを無効化せずに勝つのは不可能と言われています。
つまり敵とは言えども相手の強みや弱みを知らずに立ち向かうのは無謀です。

就活においても
・選考を受ける企業の強みや弱み、悩み、事業
・ライバルとなる学生のレベル感
を知らずに選考を受けるなんて無謀極まりないです。

どの敵にも効くような武器や魔法はありませんし、ボスに挑むレベルの相場も分からない状態では何度挑戦しても同じ結果です。


自分より強敵は別世界にいる

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「世界にはこの島だけ…。」

当時打ち出されたドラクエ7の広告は衝撃的なものでした。

ドラクエ7は石盤を手に入れることによって冒険できる世界を増やしていくゲームシステム。

ドラクエ7は「世界は元よりお前のもとに広がっているのでなく、お前自身がその世界の断片を掴みに行くんだ」というメッセージを私たちに突きつけました。

今自分がいる世界に甘んじず、別の世界への石盤を探し続ける。
慢心を制し、世界が広がりを持ったものであることを自覚する。
「身の程を知る=自己分析」だと思います。

ドラクエ6の地図もなかなか衝撃的でした。

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大陸に空いた穴から別の世界が見える。
上の世界は夢の世界で下の世界が現実世界。
それよりもプラトンのイデア界と現象界という方が正しいのかもしれません。

リクルートは「浪漫と算盤」、博報堂は「妄想力と実現力」といった言葉で表現しますが、ビジネスに必要な力をもし2つに分けるのですれば、この分け方が適当です。

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ドラクエ10でもマデサゴーラという大魔王が「偽りの世界」を作り上げていました。

偽りを知るから真実を知るんだということは、就活においても十分に言えると思います。

合説等で偽(嘘ではないが全てではない事実)から入り、徐々に真実を掴んでいく過程は、勇者が世界を取り返したシチュエーションと同じです。


ゲームをつまらなくしたのはプレイヤーだ

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ドラクエ10ではゲーム内での仮想通貨賭博が一時期問題となりました。

いくら良くできたオンラインゲームもプレーヤーの民度が低ければ、傷つく人と蜜を吸う人が出てきます。

「就活は苦痛でストレス」という学生は多く、例年自殺する人もいるほどです。

自分もストレスフルな場面に立ち会うこともありましたが、それはいつだって学生間の蹴落としあい。
就活そのものには罪はない。

人生大一番でミスできないし、失敗したら無職という背景で焦るのは分かる。
けれども、その焦りが自らの首を絞めることを後から後悔しないで欲しいと思う。

自分が大口を叩ける立場ではないが、あなた達がやっていることは「いじめ」と変わらないこともあることを伝えたい。

そして、本当に優秀な人間は皆、就活という醜い争いから手を引いてしまうという大きな社会的損失を忘れてはならないと思います。


ドラクエⅨからドラクエⅩの変遷

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ドラクエはその基本構成こそずっと変わりませんが、ゲームシステムは徐々に変遷を遂げてきています。

特に大幅な変更が行われたのはドラクエⅨからドラクエⅩへの移行。オンライン化と自由性を増したオープンワールドが大きな変更点でした。

オンラインゲームで人々はコミュニケーションを取ってお互いを助けるようになった。

オープンワールドでどの順番で世界を回ってもいいストーリーになった。

就活だって自分一人でやっているゲームではないし、定められたストーリー攻略法なんか存在しないわけです。


教会に運ばれた数だけ強くなれる

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周りには「たくさんの企業のインターンに参加するツワモノ」というイメージだけが蔓延していますが、僕は多くの機会を掴んだ分、誰よりも苦汁も舐めることもしています。
たくさんの企業のインターンに応募して、落ちた回数も数え切れません。

ドラクエで言うところの「全滅して教会送り」ぐらいの致命傷を負うことも少なくありませんでした。

だけど、全滅しても、また立ち上がって這いつくばった経験が、その後の自らの糧になった。


僕もまだ就活を続けます。
みなさんより、自分はホンモノの就活で苦労することが、当の本人が一番よく分かっています。

冒険に終わりはないし、立ち向かうべき相手は強大、ゲームオーバーは恐ろしいし、剣を持てなくなる日もある。

皆さんにとってのドラクエは本当に剣を持ち続けるだけの冒険でしたか?

剣を持たない日があったっていい、むしろ剣を持たない冒険の仕方もある。
僕が伝えたかったのは、ただそれだけです。


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