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デュラエース R9100/R9150に11-32Tをインストールさせる方法
最新12速版デュラエースが出てしまった今となってはあまり需要のない情報なのかもですが、自分が情報を探そうとした際はネットで検索してもなかなか出てこなかったので、もし今後同様のお悩みを抱える方が出てきた際に少しでも役に立てるかと思い備忘録として残そうと思います。
「最新の」11速版デュラエースであるR9100/R9150シリーズでリアを11-32Tに対応させる方法についてです。
R9100/R9150シリーズのデュラエースで、スプロケを11-30Tにしていても、もう少しだけ楽に坂道を登りたいという方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか?
最新のデュラエースで12速化して11-34Tを入れるというのが正攻法な解決法だと思いますが、最新デュラエースの場合部分的なグレードアップが難しく、基本総取り替えになるので相当な投資が必要です(40-50万くらいでしょうか)。
そんなことを考えてたらなかなか手が出せませんが、12速化せずにお手軽に坂を登れる仕様に変えようというのが今回のネタになります。
ご存知の通り、R9100/R9150シリーズで対応している最大のリアの歯数は30Tまでです。
より軽いギアをと思うとリアディレーラーをアルテグラにして32Tをつけるという方法もありますが、あくまでリアディレーラーをデュラエース RD-R9100/RD-R9150のままで32T化する方法をご紹介します。
※メーカー推奨外の組み合わせになりますので、作業は自己責任でお願いします。万一何らかの問題が発生しても当方では一切責任は負えません。
なぜ32T化できないのか?
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なぜ下位グレードのアルテグラが対応していてデュラエースが32Tに対応していないかを一言で言うと、リアディレーラーにぶら下がるプーリーの長さが足りないからです。
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シマノでは、ロードバイク向けコンポのリアディレーラー用プーリーとしてショートゲージとロングゲージ(正確にはミドルゲージ?かもですが、ここではロングゲージとして書きます)の2種類を用意しています。
ショートゲージではリアが最大30Tまで、ロングゲージが最大34Tまで入りますが、下位グレードのアルテグラや105では、リアディレーラーにショートゲージ・ロングゲージ双方が設定されているのに対しデュラエースではロングゲージの設定がなくショートゲージのみになります。
これが、デュラエースRD-R9100/RD-R9150が30T以上には対応していない理由です。
プーリーのロングゲージ化
ここまで読めば勘の良い方はもうお分かりかと思いますが、RD-R9100/RD-R9150でもプーリーをロングゲージ化すれば、30Tより大きい歯数のスプロケを入れることができます。
アルテグラや105で使われているロングゲージのプーリーを移植することで対応させることも可能ですが、巷でカスタムパーツとして用意されているビッグプーリーを使ってロングゲージ化することも可能です。
私のCANYON Ultimateの場合は、32T化することはまったく想定せずに、たまたまヒルクライム向けのカスタムメニューとしてビッグプーリー化をしていました。
ペダリングを効率化すべくチェーンの運動抵抗を少しでも抑えるために、プーリーも大径化しようとしたものでした。
もちろんその効果もあるのですが、まさか30T以上の大きなスプロケを入れるために役に立つことがあるとは…。
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ちなみに私がたまたま導入していたビッグプーリーは、RIDEAのRD6というものです。上のガイドプーリーが13T、下のテンションプーリーが18Tというリアディレーラー本体よりも存在感があるデカい代物ですが、デュラエース本来の高速な変速性能になんら影響はありません。
プーリーをロングゲージ化(ビッグプーリー化)した上で、アルテグラグレードであるCS-R8000の11−32Tをインストールしましたが、ディレーラーの調整後はなんの違和感もなく正常かつ高速に変速ができました。
Di2で11-32Tは設定できるのか?
ビッグプーリーによるロングゲージ化で物理的には30T以上の大きなギアも入れられるようになりました。機械式ならばこれで問題なく32T化できた訳ですが電動Di2であってもきちんと動いてくれるのでしょうか?
答えはYes。上述の通り変速自体は問題なくできますし、シンクロナイズドシフトを使った場合でも、元々設定していた組み合わせでフロント変速も自動的に行ってくれます。
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ただし注意すべきなのは、シンクロナイズドシフトの設定です。Di2の設定にはPCまたはスマホアプリのE-Tube Projectを使って設定を変えるわけですが、デュラエースR9150シリーズが30T以上の大きなギアをサポートしないので、そもそもDi2で設定できるスプロケも30Tまでなんです。
従ってシンクロナイズドシフトの設定も基本11-32Tはサポートしません。
物理的には32Tも入りましたが、果たしてきちんと動いてくれるのでしょうか…?
サポート外の組み合わせでしンクロナイズドシフトの設定をする
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実はこれもそこまで困りません。確かにアプリ上では11-32Tとして設定はできませんが、シンクロナイズドシフトでフロントギアの制御を行うのは、実際にインストールされているスプロケのサイズに関係なく設定上決められた位置で自動的に切り替わってくれます。
そのため、仮にアプリ上はスプロケが11-30Tのままで実際には32T化されていたとしても、元々設定されていたものと同じ条件でフロントギア制御を行います。
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設定するのはちょっと分かりづらいですが、Excelか何かで独自にギア比を計算して、何枚目でフロントを動かすかを予め頭の中で決めておき、E-Tube Projectで設定すると良いかと思います。
サイコンで正しくギア情報を把握する
シマノ推奨外ですが、RD-R9100/RD-R9150でスプロケ11-32T化が物理的には可能で、かつ変速もできることがわかった一方で、R9150 Di2に限って言えば動作上問題ないながらもDi2で30T以上の設定ができないことがわかりました。
結論として機械式もDi2も32Tでも問題なく変速が可能だとして、他に影響は出ないものなのでしょうか?
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もしあるとすると、サイクルコンピュータです。
私はサイコンにGarmin Edge 830を使っていますが、Di2ではギアの位置やギアコンボ、ギア比などの情報をサイコンで取り込んで表示させることが可能になっています。
そのため、私の場合はギアの位置とギアコンボをサイコン上で表示させるようにしていますが、Di2からサイコンに送られてくる情報はあくまでE-Tube Projectで設定された情報に基づいて送られてくるので、ギアコンボやギア比が正しく出てきません。
こればっかりはしょうがないかな…と最初は諦めていたのですが、サイコン側の設定を調べてみたら、実はギア情報も正しく出せることがわかりました。
そこで、サイコン側で正しくギア情報を出す方法について載せておきます。
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以上の設定を行うことで、サイコン上のギアコンボやギア比の設定も11-32Tを前提とした正しい数値として出力されるようになります。
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いかがでしたでしょうか?
もし同様の悩みでお困りの方がいらっしゃったら、参考になれば幸いです。