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パワーメーターを取り付けた - Garmin Rally編

パワーメーターを付けるぞ

パワーメーター…それは最も私に縁遠いものとずっと思っていた存在。
ただのホビーライダーであって、自慢できるほど大して速いわけでもなければ、ガチにレースへ出るような予定もなければ望んでいるわけでもなく、貧脚ながらただただ好きな山登りさえできればいい…そんな人にとって高いお金を出してまでパワーを測る必要なんてないでしょ?
…そんなふうに今まで感じていたのでした。

ただ、趣味のヒルクライムをしていて最近よく思うことがあります。
普段から100km以上かつ獲得1,500m以上のヒルクライムをしているのですが、今よりもさらに長距離を走ったり、さらにたくさん山登りを楽にできるようなりたい…そんな思いを最近よく感じます。
そう思った時に、今の自分に一番足りないものは何かというと、ペースを正しく配分できていないのではないかという点。

パワーメーターはペダルに踏み込んだ力を定量的に可視化してくれるもの。
どれくらいの力で漕いでいるかというバロメーターを純粋に知ることもパワーメーターの役割ですが、特に長距離を走ったり長丁場なヒルクライムをする場合には、序盤から力を入れ過ぎて脚を使い切ったりしないか、飛ばし過ぎず力を抜き過ぎずに一定のペースで漕げているかなど、客観的な数値をベースにペース作りをするというのも重要な役割の一つです。

そこを助けてくれるのがパワーメーターの役割でもあると知った時、別にガチ勢じゃなくとも、ロングライドや本格的なヒルクライムをする人にとっては、パワーメーターはとっても便利な代物なんだなと思い、ロードバイクを新調したこの機会にパワーメーターを買ってみようと決意したのでした。

悩みに悩んだクランク型とペダル型

パワーメーターというと、よく巷で目にするものは、クランクに内蔵されたクランク型と、ペダル自身に内蔵されたペダル型が大勢を占めています。
(他にもハブに内蔵したり、チェーンリングにマウントされたものもありますが)

自分はどちらを買うのが良いのだろうかと悩みましたが、これがなかなかに悩ましい。
値段は安いものから高いものまでマチマチですが、クランク型とペダル型との間でそこまで価格差はない。
重量や落車時などの耐久性を考えればクランク型が有利でしょうし、私のように2台持ちだったりする人にとってはペダル型の方が有利。

本当に悩んだわけですが、結局のところ、まずは我がメインマシンのCHAPTER2 TOAに入れるつもりで考えた際に、コンポも新型デュラエースなので、どうせならシマノ純正のクランク型パワーメーターが良いと思い至り購入しようと計画したのでした。

シマノの品薄に背中を押され…

だがしかし…肝心要の新型デュラエースパワーメーター内蔵クランクセット(FC-R9200-P)が入手できない!!
昨今の自転車需要急増とサプライチェーン崩壊に伴うパーツ供給不足が深刻で、特にパワーメーターはプロチームへの供給でさえストップしているのだとか。
一旦amazonで予約を入れて気長に待ってはみたものの、入荷時期はいつになっても未定で入手できる目処が立ちません。

そんな中、今度はクランク長が今の自分に合っているのかを悩み出します。
今のTOAのクランク長は170mm(発売開始時製造分のグループセットはクランク長が170mmのみと選べませんでした)なのですが、私の身長的には165mmくらいが適正だとされています。
ただ、170mmの方がトルクを掛けやすいので、実は少し長めのクランクの方がヒルクライムはしやすい面もあります。
とはいえ、長距離を走っていると今度は股関節の辺りに少し違和感を感じ始めることもあって、やっぱり165mmに戻した方が良いかもとも思い始め…。
amazonでFC-R9200-Pを予約したときは、170mmのクランクセットで予約したのですが、高い買い物ですし本当に170mmで良いのか段々と悩ましくなってきました。

そんな2つの状況が重なった時に、やっぱりペダル型の方がいいんじゃない?と考え始めます。
仮にクランク買い替えたとしても、ペダル型ならパワーメーターを買い直さずに済みますしね。

ちょうど昨年、Garminのペダル型パワーメーターであるVectorがRallyと名前を変えてフルモデルチェンジをし、そのRallyがとても評判が良いみたいじゃないですか。
一気にRallyに注目が行きいろいろリサーチを始めます。

どっちにするか最後の最後まで悩みましたが、ここでいつ入手できるかわからないばかりか、クランク長が合わず買い直しになるリスクすらあるシマノ純正パワーメーターは予約をキャンセルし、Rallyを購入することに決定したのでした。

購入したRALLY RS200(左右の両ペダルで計測できるモデル)

amazonで購入しましたがお値段は14万円くらい。
シマノ純正のパワーメーターも大体同じくらいなので価格差はほぼありません。
シマノ純正とは打って変わって、注文から翌日にはもう自宅にRallyが着弾されました。

Garmin Rallyには、ペダルの種類と片脚/両脚どちらで計測するかで

  • LOOK KEO用シングルセンサー (RK100)

  • LOOK KEO用デュアルセンサー (RK200)

  • SPD-SL用シングルセンサー (RS100)

  • SPD-SL用デュアルセンサー (RS200)

  • SPD用シングルセンサー (XC100)

  • SPD用デュアルセンサー (XC200)

の6つのラインナップがあります。
シングルセンサーとは、左側のペダルにのみセンサーが内蔵され左脚だけで計測(パワーは2倍にして算出)するタイプのものであり、デュアルセンサーは両側のペダルにセンサーを内蔵し両脚個別に計測できるタイプのものになります。
また、シングルセンサーはパワー計測だけですが、デュアルセンサーはペダルの回転数も計測できるので、別途ケイデンスセンサーを付ける必要がなくなります。

私が購入したのは、従来よりSPD-SLを愛用していたのでRS200のデュアルセンサータイプを購入しました。

精密電子機器だけあって包装も厳重

上から見た限りはなんか豪華な箱に入った、なんの変哲もないSPD-SLペダルにしか見えません。
(以前はDURA-ACEのペダルを使っていたので、比べたらむしろ若干安っぽく見えるかも…?お値段5倍以上しますが…)

重量はRS200で左右合計で320g…ノーマルDURA-ACEペダルはカーボン製というのもあり重量230gなので90gの増量…これはデカい。

重量比較ついでに、クランク(チェーンリング付き)+ペダルの組み合わせで、RallyとFC-R9200-Pの重量比較もしてみました。
※ともにカタログ公称値で実測値ではありません

  • クランクFC-R9200(52-36T/170mm) + ペダルRally RS200
    692g + 320g = 1,012g

  • クランクFC-R9200-P (52-36T/170mm) + ペダルPD-R9100
    752g + 230g = 982g

30gほどクランク型パワーメーターの方が軽い計算に。
やっぱり重量面ではクランク型の方がアドバンテージありますね…。

気軽に装着できるはずが…

クランク型のパワーメーターですと、クランク丸ごと外して交換するので結構な手間になります。
(YouTubeなどでクランク交換の方法は数多く紹介されているので、素人でも交換自体はできると思いますが…結構面倒です)

その点、Rallyはペダル型パワーメーターですから、重さじゃ負けても取り付けでは至って簡単!!
…だと思ってたのですが、実はそうも行きませんでした。

通常のペダルの取り付けは、クランクにペダルを差し込んで、ある程度手で締めて裏からアーレンキーで締めるだけという超絶簡単な方法ですが、そもそもRallyはアーレンキーでは取り付けられません。
スピンドル部分(クランクを固定する軸の部分)にセンサーが入っているため、そもそも裏からアーレンキーが挿せないのです。
そのため、ペダルを固定するにはペダルレンチが必要になります。
通常のナットレンチだと厚さで締められない可能性があるのと、後述する締め付けトルクの管理ができないといけないので、トルクレンチに繋げらるペダルレンチアダプターが望ましかったりします。
ちなみに私が別途購入したのはこれ。

それにトルクレンチが必要になります。
(しかも30Nmくらいまで対応できるやつ)
上のペダルレンチと同じメーカーKTC製のデジラチェでも良いのですが、結構なお値段なので私は以下を購入しました。

工具だけで13,000円以上しますので、なかなかの出費です。
Rallyのマニュアルによると、締め付けには34Nmで締め付けることを推奨とあり、この規定トルクで締め付けないと計測精度に影響が出るんだそう。
しかも、トルクレンチにペダルレンチアダプターを付けると、支点から力点の距離が変わるので、トルク換算をしないといけません。
面倒な計算をして、ただでさえ回転して締めにくいペダルを思いっきり力を入れてトルクレンチで固定しなければいけない…もうこれだけで、2度とこのペダル外したくなくなります。

面倒なトルク換算と取り付けにくいペダルレンチで苦戦しながら取り付け…

そんなこんなでやっと取り付けられました…ペダルに表示されるGARMINのロゴがなぜか誇らしげです。

計測したパワーデータはサイコンに表示させるので、Rallyを取り付け後にサイコンと同期する必要があります。
もちろんGarmin Edgeには対応しており、Edgeを起動してセンサー追加からパワーメーターを選択しRallyを追加、クランク長を設定して校正を行えば完了です。

実際にパワーデータ収集がてら200kmほど走り込みましたが、乗ってる分には素人の私にDURA-ACEペダルなのかRallyなのか違いを感じることはできず、至って普通。
肝心のデータもタイムラグなくきちんと取れているようです。
特別な使用感なく、自然に使えて、きちんとパワーメーターとして数値も出してくれるので最初にパワーが表示されたときはそれはもう感動もの。

Rallyのメリット

しばらく使ってみての素人なりの感想を述べてみます。
まずはメリットから。

電池稼働なのでバッテリー劣化の心配なし

Rallyはバッテリー駆動ではなく電池駆動になります(1回の電池交換で100時間動作)。
バッテリー駆動式ですと、経年でバッテリー劣化して動作時間がだんだん短くなっていきますが、Rallyではその心配はなく長期使用も可能です。

コンポを変えても再利用できる

これはRallyというよりペダル型パワーメーター共通のメリットですが、長期使用を前提とすると、使っているうちにコンポを丸ごと交換することもあり得ます。
クランク型の場合はコンポの交換と共にパワーメーターも買い直しとなってただでさえ高い出費にさらに高額の支出を求められますが、コンポを交換してもRallyは再利用できるので、長期的なコストメリットは非常に大きいです。

クランク長を自由に選べる

私のように、適切なクランク長が定まらずにクランク長を変える可能性がある人は、クランク型パワーメーターの場合クランクサイズが変わるたびにパワーメーターごと買い直しとなって高い出費を余儀なくされますが、Rallyを含むペダル型パワーメーターの場合は、クランク長を変えてもパワーメーター自体は再利用できます。
また、特に小柄な方に多い、クランク型パワーメーターにすると、自分に最適なクランク長の選択ができないというケース。このような場合でも、自分に合ったサイズのクランクさえあれば、ペダル型パワーメーターであれば問題なく取り付けができます。

ペダル位置や左右のパワーバランスなどいろんなことを教えてくれる

計測精度が高いのは当たり前(誤差は+-1%以内)。
さすがはGarmin、サイコンとの連携は素晴らしいですしデータの欠落やラグもありません。
加えて、クランク型パワーメーターではわからない、ペダルの力が入るポジションや左右のパワーバランス、どれくらいの時間ダンシング(その逆のシッティングも)していたかなど様々な情報が取れます。

耐衝撃に強くてスペアパーツも豊富

ペダルなので、落車などで衝撃を受けやすい部分なのは事実です。
しかし、万が一落車しても、落車程度の衝撃であれば故障はしませんし、ペダルが破損してもスペアパーツも取り扱われています。
アフターケアは十分なので、耐久性の面でも最早心配いらないかもしれません。

Rallyのデメリット

いいことづくめのRallyも、やっぱりデメリットはあります。

高い

やはり値段は高いです。
もちろん、パワーメーターのおおよその相場感のお値段ではありますが、やはりもう少し安くなってくれると…。

複数のバイクで共有…はしたくない

ペダル型の最大のメリットは、付け外しが容易なので、複数のバイクを所有している場合、クランク型と違って1つペダル型パワーメーターがあれば共有が可能という点。
理論的に言えば間違っていませんが…Rallyに限って言えば、複数のバイク間で共有はしたくないです。
面倒なトルク換算をして、ただでさえ取り付けにくいペダルレンチで付け外しすると思うと、一度付けたらもう二度と外したくなくなります。
私にとってのRallyの最大のデメリットはこれですね…。

ペダル型パワーメーターを使ってみて

いろいろ辛口なことも書きましたが、総じてペダル型パワーメーターはトータルのコストパフォーマンスは高いと言えますし、長期に渡って使うこともできますので、高い買い物に十分見合うと言えると思います。

計測精度は若干落ちますが、シングルセンサーであればデュアルセンサーの4割引くらいのお値段になるので、パワーメーターには興味があれど、なかなか手が出せないという方には、まずはシングルセンサーから始めてみるというのもアリかもしれません。
※シングルセンサーで購入しても、後でデュアルセンサーに安価にアップグレードさせることも可能です。

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