023『鉄道の町 まいばらと井筒屋』の刊行について
京都市立芸術大学美術学部総合芸術学科畑中研究室の調査研究報告のシリーズ17として『鉄道の町 まいばらと井筒屋』を刊行いたしました。
本書を刊行することになったきっかけは、2022年に米原市伊吹山文化資料館において〈可愛い子には旅をさせたい Neo汽車土瓶2〉展を開催し、地元の駅弁販売店である井筒屋さんとコラボをさせていただいたことに端を発します。
汽車土瓶中心の展示ではあったのですが、他にもさまざまな関係資料をお持ちだったので、ついつい盛り上がってしまい株式会社井筒屋の宮川亜古社長・林秀行専務にお願いして御所蔵の資料類の調査をさせていただいたのです。
当時、修士課程に在籍していた北脇あず美さんと共に資料の整理を始めたところ、(当然ですが)勉強になることだらけ。広く知っていただく機会を作りたいと伊吹山文化資料館の髙橋順之さんに相談したところ展覧会をする運びになりました。
本書は、その図録がわりになるものではありますが、所蔵資料を通覧できるよう画像多めの内容になっています。
全体は2部構成にしており、第1部をテキスト主体の解説、第2部を資料編としています。執筆は髙橋順之(伊吹山文化資料館)、北脇あず美(加賀市教育委員会)と私。編集は倉澤佑佳(文化庁)と私が担当しました。
第1部 鉄道の町 まいばらと井筒屋や
第1章 まいばら鉄道物語 −鉄道敷設黎明期の縮図−(髙橋)
第2章 井筒屋の駅弁屋稼業(北脇)
第2部 井筒屋所蔵資料(畑中)
1 駅弁等の営業に関わるもの
2 軍関係
3 書簡
4 駅弁掛け紙
5 汽車土瓶など
6 旅館の営業に関するもの
7 その他の業態に関するもの
付記 本調査研究の直接的な動機(畑中)
本書をご覧いただくと、井筒屋さんが鉄道の発達に足並みを揃え地域に寄り添いながら業態を変化させつつ、今や伝統的とも言える食文化を創っておられる様子をうかがい知ることができます。詳細なる読み込みは今後に委ねるとして、本書ではその全容を開陳することを主目的とし、鉄道史や地域史において活用されることを望むものであります。
ちなみに本書の表紙は(わかる人にはわかると思いますが)井筒屋さんの人気弁当〈湖北のおはなし〉のパッケージをモチーフにしています。
本書は伊吹山文化資料館にて一部2000円で頒布いたします。
B5版 フルカラー
162ページ
なお、米原市伊吹山文化資料館では
〈第172回企画展 鉄道の町 まいばらと井筒屋〉展を
2024年8月17日(土)〜9月29日(日)
の期間で開催いたします。
関連企画として下記の講演会・対談を行います。
8 月25 日 13:30~15:00「鉄道の町 まいばら」
髙橋順之(米原市伊吹山文化資料館)
米原という地域からみた近代の鉄道についてお話しします。
9 月 8 日 10:00~11:30「 鼎談 まいばらと井筒屋」
宮川亜古・林秀行(株式会社井筒屋)、畑中英二(京都市立芸術大学)
駅弁屋稼業のみならず旅館業も営んでいた井筒屋の固有の歴史について、井筒屋
さんの社長・専務さんからお話を伺います。
※定員40名(先着順) 入館料が必要です
開館時間 9:00-17:00
入館料 大人200 円、小人100 円
休館日 ・毎週月曜日(祝日である場合は開館)
・祝日の翌
〒521-0314 滋賀県米原市春照77
電話番号 0749-58-0252