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【最新情報】GOTS認証済み化学物質がGRSでも使いやすく!サステナブル繊維生産に新たな柔軟性が生まれる理由


近年、ファッション業界を取り巻くサステナビリティへの関心はますます高まっています。その中でも、環境や人に配慮した繊維生産は必須条件となりつつあり、国際的な基準や認証が重要な役割を果たしています。今回、その「認証」や「基準」に関して、新たな朗報が届きました!

◆ 何が変わったの?
これまで、GOTS(Global Organic Textile Standard)の基準に沿った化学物質は、GRS(Global Recycled Standard)認証下での生産においては、使いづらい状況が生まれていました。具体的には、2023年12月以降、GOTS認証化学物質は**ZDHC(Zero Discharge of Hazardous Chemicals)**のMRSL(Manufacturing Restricted Substances List:製造制限物質リスト)準拠の代替として正式に認められず、GRSの生産で使う化学物質承認プロセスで不便な状態になっていたのです。

しかし今回、Textile Exchangeが新たな調整を発表。その結果、GRS-201-V4.2実施マニュアルのセクションD2.3に基づき、GOTS認証済み化学物質がZDHC MRSLに準拠する代わりとして認められるようになりました。

簡単に言うと、「GOTSでOKとされた化学物質を、GRSの生産でも使える」ようになったのです。

◆ なぜこれが今後に良いニュースなのか

  1. 一貫したサプライチェーン管理が楽に
    ブランドやメーカーは、環境配慮のため、調達から生産までのサプライチェーン全体で使える化学物質を厳しく選定しています。GOTS認証化学物質がGRSでも活用できるということは、調達プロセスがシンプルになり、よりスムーズに生産できることを意味します。

  2. コスト・時間の削減
    化学物質の承認取得には多大な手間とコストがかかります。今回の変更は、既にGOTSで認証されている化学物質を使い回せるため、新たな検証や承認手続きの手間が軽減されることに繋がります。GOTS認証を取得する化学物質が増える契機にもなります。

  3. 認証の相乗効果で持続可能性を加速
    GOTSもGRSも、いずれも環境や社会的責任に重きを置く基準。これらが互いに補完関係を築くことで、持続可能なテキスタイル産業への移行がより円滑かつスピーディーに進む可能性があります。

◆ 用語解説

  • GOTS(Global Organic Textile Standard)
    オーガニック繊維製品における世界基準。原料のオーガニック認証や化学物質使用に関する厳しい条件、労働条件の改善など、総合的な環境・社会配慮を求める。

  • GRS(Global Recycled Standard)
    リサイクル材料を一定以上使用した繊維製品のトレーサビリティ(追跡可能性)、環境配慮、社会的責任を認証する基準。リサイクル率や化学物質、労働条件などを包括的に管理。

  • ZDHC(Zero Discharge of Hazardous Chemicals)
    「有害化学物質ゼロ排出」を目標に掲げるイニシアチブ。サプライチェーンで使用される化学物質を規制・管理することで、水や環境への有害物質排出をなくすことを目指す。

  • MRSL(Manufacturing Restricted Substances List)
    製造工程で使用が制限または禁止される化学物質リスト。ZDHC MRSLは、ZDHCが策定した基準で、このリスト外の化学物質を使わないことで環境汚染防止につなげる。

◆ 今後の展望
この変更は、GOTSとGRSを活用するブランド、メーカー、消費者すべてにメリットをもたらします。オーガニック原料とリサイクル素材、そして環境配慮型化学物質の活用が統合的に進むことで、持続可能なファッションがより実現可能になります。

消費者が手にする一枚の服。その背後には、厳しい基準をクリアする多くの工程や調整があります。認証基準間の垣根が低くなることで、より多くのブランドがサステナブルな生産方法を取り入れやすくなり、結果的に私たちが手にする製品も、より環境・社会的に優しいものへとシフトしていくでしょう。

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