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お祓いに神社へ行く。

「お祓いに神社へ行こう!」と奥さんが元気よく私に言った。私が年明け早々に、4針縫う大怪我をしたからだ。

「それにゆーくん(大学生の息子)の電子レンジが壊れたみたいなんだよねー」とも言っていた。

いや、私の4針縫う大怪我と、息子のレンジの故障を同じ扱いにされては困るけれど。まぁ、いいや。とにかくわが家では悪いことが続いているのだ。

どうせならと初めて行く大きな神社へ、小旅行のつもりで二人で出掛けた。気持ちのいいくらい晴れていた。私はいい写真が撮れるかも?と早くもウキウキ気分だ。

神社へ着いて、鳥居の前で一礼をする。そして手を清める。

その日は平日だったせいもあって人はまばらだった。お賽銭箱に小銭をチャリンと入れて、手を合わせてお祈りをする。「家族みんなが健康で怪我無く過ごせますように」と。(お前が言うな!と神様に突っ込まれそうだけど。)

お守りを買った。巫女さんがとてもかわいくて、写真を撮りたい衝動にかられる。けれど、ここはぐっと我慢する。(ぐぅぅ!)奥さんが、私が二度と大怪我をしないようにと、いつも身に着けられる小さなお守りを買ってくれた。

とても美しい神社。しかもいくつもお賽銭箱があって、たくさんの神様がいるみたい?だった。(あまり詳しくは分からないけれど。)それで「すべてお祈りしよう!」ということになって、お賽銭に10円玉をそれぞれ使っていたのだけど、とうとう10円玉がなくなってしまった。

奥さんが「しょうがないかー」と言って100円玉を出した。それで私が「えー!」って驚いていると「だからあなたは4針も縫うのよ!」と言われ、しょぼんとなる。(そして彼女は大笑いする。)

すべての神様にお祈りをした。そしてふたりで絵馬を買って、お願い事を書いた。私は家族の健康祈願を。彼女は友達のことを書いていた。

その友達の年賀はがきには、もう3年も病気に苦しんでいると書かれてあった。その友達は20年くらい前に1年程度、家族ぐるみで仲良く付き合っていたのだけど、私の転勤で引っ越して以来、会う機会もなく、時折届く手紙だけの付き合いが続いている。彼女の願いが届くといいけれど。

それにしても、こんな関係っていいな。もう、何年も会っていないのに、想いだけでつながってるって。私もそんな友達が欲しい。いや、そんな人になりたいな。

帰りにもう一度、鳥居の前で一礼をした。
そして、二人の小さな祈りの旅は終わった。

翌日、息子のゆーくんからのメールでレンジが直ったことを知る。おぉ、さっそく神様が祈りを聞いてくれたか!と思ったが、そういえば、祈ったのは家族と友達の健康であって、レンジじゃなかった。

ま、いいか。

たぶん、それが神様からの何らかの合図なのだろう。みんなの幸せがそれぞれに、少しずつ叶いますように。

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青木詠一
最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一