東京女子医大報道にみる「医師の働き方改革」
女子医大報道は他の大学病院でもあり得る
東京女子医大で医師が100人超が退職したとのニュース。
記事によると、医師のアルバイトは基本的に禁止。医師には2つの選択肢があります。
1 アルバイトを希望する場合には、女子医大から支払われている給与は減額。
2 アルバイトをせずにその分女子医大で勤務する場合は給与は現状維持。
1、2のどちらを選択するにしても医師の取り分は減ります。
これは、女子医大とそこで働く医師だけの問題なのでしょうか?
アルバイトが禁止されれば派遣先の病院にも影響があります。
派遣先の病院では常勤医師のみで当直を回すことができないから、大学病院からの非常勤医師の派遣に頼っていたわけです。
施行は2024年4月だからまだ時間はある?
女子医大がこのように踏みきった背景には、5月21日に成立した改正医療法が関係しています。
改正医療法の目玉になるのが、「医師の働き方改革」。基本的に医師の年間残業時間上限は960時間に。大学病院や救急病院は、都道府県から指定されれば1,860時間となります。
この法律の施行は2024年4月。まだ3年弱あります。
なので、
「まだ準備しなくていいでしょ」
「何とかなるでしょ」
と考えている病院もあるかもしれません。
正しくは2022年4月施行
しかし、960時間の上限を超えているような病院は、労働時間短縮の「時短計画案」を作成し、都道府県に提出する必要があります。
都道府県は第三者評価を得て、病院を1,860時間の残業ができる病院として指定することになります。
このような第三者評価や指定の施行は、2022年4月です。。
つまり1年弱で事実上スタートなのです。
絶妙のバランスをとっていた3者
今までは、「大学病院&医師&派遣先病院」の3者で絶妙なバランスをとっていたんですよね。
大学病院:たくさんの医師を抱えて臨床、教育、研究を行うためには、安い給与でかつ長い時間働いて欲しい。
医師:専門医や学位をとるためには、若いうちに苦労するのは当たり前。先輩方もそうしてきた。ただ、生活のために外勤でアルバイトはする。
派遣先病院:常勤医師だけで当直を回すのは厳しい。大学病院からの非常勤医師の確保が必要。
このバランスが見事に「医師の働き方改革」で崩れつつあります。。
働き方改革により3者はどうなるか?
では、一連の改革で3者の関係はどのように変わっていくのでしょうか?
大学病院:まずは自院の残業時間を削減する必要がある。そのためには人員の確保が必要。派遣した医師は引きあげよう。
医師:17時になったら帰ろう。アルバイト先は寝当直がいいよね。
派遣先病院:非常勤医師が確保できないから高齢の常勤医師にも当直をお願いするしかないかな。
まさにお先真っ暗の「医師の働き方改革」。
落とし所がみえません。
解決編は動画で。。