完全テレワーク会計事務所の取り組み(特別編)
「完全テレワークシリーズ」の前編、後編と連載をしてきた。その後、弊法人(会計事務所)では、新しいデジタル化の取り組みをしたので、紹介していきたい。
今回は、すべてマネーフォワード社のサービスへ転換している。これは最終的にマネーフォワードの「クラウド会計」に連携することで経理事務の効率化につながると考えたからである。
1 ビジネスカード
(1)使用履歴をスマホで確認できる
もともとクレジットカードを使っていたが、会計ソフトと連動されることがなく、カード明細を見ながら仕訳を手入力していた。また、クレジットカードのポイントも貯まっていたが、使うことなく有効期限を過ぎていた。
そこで、マネーフォワードのビジネスカードを使うことに。写真にあるように外観はとてもシンプル。表面にはカード番号が記載されておらず、裏面に番号と名前が印字されている。
マネーフォワードのカードは厳密にはクレジットカードではなく、プリペイドカードである。使うとすぐに銀行残高から引き落とされる。
郵便局で切手などをカードで購入すると、ほぼリアルタイムでスマートフォンに通知がくる。カードの不正利用はまずできないのではないだろうか?
(2)小口現金はゼロにできる
カード移行で思わぬ効果があった。小口現金ゼロに向けて動けたことである。
かつては現金払いが必要だった切手や収入印紙もクレジットカードで買えるようになっている(収入印紙は金券ショップ等で購入する必要がある)。宅急便もカード支払いが可能である。
現金払いからカード払いに移行した結果、小口現金の残高を10分の1まで減少させることができた。念のため数万円金庫に入れているが、期末(3月末)にはゼロにする予定である。これにより現金不正のリスクを限りなくゼロに近くすることができる。
クライアント病院ではいまだに現金横領の事件が絶えないが、小口現金をできるだけ減らすべく弊法人の事例を紹介していきたい。
(3)外部のオンライン秘書も会計処理可能に
現金取引は基本的に出勤する職員が会計処理を行うことになる。
たとえば、ヤマト運輸から荷物が届き配送代1,000円を支払うとする。この場合、金庫から現金を出し支払う。領収書をもらい、それをもとに会計ソフトに入力する。
これをカード払いにした場合、荷物の受け取りには立ち会うのは一緒だが、その後の会計処理はリモートで行うことができる。カードの明細は会計ソフトと自動連携されているからである。
会計処理をオンライン秘書などに外部委託するためにはできるだけ現金取引を減らす必要がある。
(4)1%還元を有効に使う
カードの決済額の1%がポイントとして還元される(税金の支払いは0.5%)。還元額はマネーフォワード社のサービス利用額に補填できるようだ。
仮に、「クラウド会計」等の利用料が1万円だとしても、消費税の支払いが月100万円あればポイントですべてカバーできる計算(100万円×1%)に。今まで使っていたクレジットカードでは意識していなかったポイントを有効に使っていきたい。
2 電子契約
(1)クラウドサインとの違い
前回noteで電子契約としてクラウドサインを使っているとしていたが、マネーフォワードの「クラウド契約」も試してみることにした。クラウドサインは月5件までの送信は無料であるが、それを超えると有料である。一番安いプランでも月額1万円である(クラウド契約は2,980円)。
値段はともかく使い勝手はどうだろうか?
「クラウド契約」はクラウドサインと操作性はほとんど変わらないし、デザインもシンプル。写真は契約受信側のメール画面だが、リンクをクリックして署名ボタンを押すだけである。おそらく迷うことなく契約締結までいけるのではないだろうか?(使い方ガイドもあるし)
実際の電子契約書だが、他の電子契約ソフトと変わらない。
(2)どのようにクラウドサインと使い分けるか?
「クラウド契約」には特に問題点は見当たらないが、クラウドサインも使い続ける予定である。クラウドサインが業界シェアNo.1であり、相手方がクラウドサインで契約して欲しいと望まれる場合もあるからである。
基本はクラウド契約、ときどきクラウドサインという運用で考えている。
3 請求書・会計
(1)請求書をワンクリックで送信
請求書は以前に比べると紙ではなくメールで送受信するケースが増えてきた。ただ、請求書だけ電子化を進めるのではもったいない。やはり会計ソフトと連携してはじめて業務の効率化のインパクトが出る。
下記は、PDFの「クラウド請求書」である。この請求書を印刷することなく、メールソフトを起動することもなく、ワンタッチで請求書をメール送信することができる。
(2)請求書発行と会計仕訳が自動連動
これだけでも十分に効率化できているが、マネーフォワードのすごいところは会計ソフト「クラウド会計」との連携である。
請求書発行時点で
売掛金/売上高
の仕訳が計上される。
バックオフィスのソフトを選択する際には、最終的にどのように会計処理するのかという視点が重要である。
と最終的には会計処理を行う会計ソフトに行き着く。会計ソフトから逆算して、連携できるソフトを選ぶことが重要ではないだろうか?
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