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#23 高額医療機器購入の盲点

本記事のポイント
・病院の経営者、事務長、施設管理者向け
・トータルコストで相見積もりをする

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ラジオアプリ(Stand.fm)にレター(質問)をいただきましたので、それに対する質問回答。「CTなど高額医療機器を導入する際に経営上注意すべき点は何か?」という質問でした。

安く買ったつもりが

あるあるの話ですが、業者から見積もりの際に『これだけ安い価格は貴病院だけです。他の病院には言わないでくださいね。』と言われ、安く買った気になったりします。

CTの定価が3億円のところ、S事務長が値切りに値切って9,600万円で購入できたとします。いわゆる半値、八掛け、二割引ですね。

3億円×0.5(半値)×0.8(八掛け)×0.8(二割引)=9,600万円

保守費用で差が

2億円超値引きできたから、事務長として大手柄とはいきません。敵もさる者です。業者は百戦錬磨。割引されることは織り込み済みです。購入価格を値引きした分、他のところで利ざやが取れるようにします。

保守費用も考慮に入れる

A案とB案を比較してどちらが安いでしょうか?耐用年数(使用可能期間)8年のCTとします。

A案:購入価格9,600万円  年間保守費用600万円

B案:購入価格1億1千万円  年間保守費用300万円

一見、A案の方が安くみえます。しかし、保守費用を加味するとB案の方が総費用で1,000万円(1億4,400万円−1億3,400万円)安くなります。

【8年間の総費用】

A案:9,600万円+600万円×8年=1億4,400万円

B案:1億1千万円+300万円×8年=1億3,400万円

(平成28年度医療機器・医療情報システム保守契約、費用に関する実態調査)



トータルコストで相見積もりを

いわゆるイニシャルコスト(導入費用)だけでなく、ランニングコスト(維持費用)も合わせて考える必要があるということです。マイカーでもプリウスの購入価格は高いけど、燃費がいいので購入後は安く済む。なので、多少無理してもプリウスを買うようなイメージです。

上記例には含めませんでしたが、CTの場合、廃棄・交換にかかるコストも考えることが重要です。CTの購入→使用→廃棄・交換までのトータルコスト(ライフサイクルコストという)で相見積もりをとって始めて安く買えたかどうかが分かるのです。

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