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時には昔の話をその3。

今回はDCIレーティングのお話。

DCIレーティングとは、
(DCIはDuelists' Convocation Internationalの略)
MTGの実力を測るためのランキングシステム。
公式大会に出る時にDCIナンバーというものを発行してもらい、
DCIナンバーと自分の名前で公式大会に出場して、
他プレイヤーと実力を競い合うためのもの。

このランキングのシステムはレーティング・システムと呼ばれ、
レーティング・ポイントというポイントをプレイヤーと競い合う。
このポイントが高い程強いという基準になっていた。
このポイントの初期値(原点)を1600点として、
勝った対戦相手のポイントに応じて増える。
自分が負けたときは同様に減る。
単純に言えば相手とポイントを奪い合うという事。
自分よりポイントの高い相手に勝てばポイントが多く得られ、
自分よりポイントの低い相手に負けると大量にポイントが減る様になっている。
増減するポイントおよび最大値は自分と対戦相手のポイントの差と、
大会で定められたK値と呼ばれる基本値が影響する。
最大のK値は世界選手権の48。
K値48の時に1600点の人が1800点の人に勝つと、
勝った方:1648点
負けた方:1752点
という最大ドレインが発生する。
ざっくり200点差あればK値の数字の分のドレインだと聞いた。
同点数同士が当たった場合は確かK値の半分が動く。

説明でわかる通り、
上に行けば上に行くほど点数を上げにくく、
下に行けば下に行くほど点数は下がりにくくなる。

上は2000点に到達する人は滅多にいない。
下は調べた事はないけれども、
1300点を切る人なんて滅多にいなかったはず。

このシステムが使われていた頃は
貴方は県内で何位です、日本で何位です、世界で何位です。
とわかるようになっていた。
しかもある程度各レギュレーションごとに。

Composite:総合
Eternal:エターナル
Constructed:構築戦
Limited:リミテッド戦

個人戦としてこの種類があり、
総合は構築とリミテッドの合計を足して平均にした数値。
この総合の世界ランキングで一定の順位にいると世界選手権の招待枠になっていた。

他も軽く説明を入れておくと、

「Eternal」(エターナル)
ヴィンテージとレガシーの戦績。
このレーティングシステムが使われていた頃、
ヴィンテージとレガシーのプレイヤーは日本では少なかった。
海外はそれなりにいた。
特に本場アメリカとヨーロッパ。

「Constructed」(構築戦)
ヴィンテージとレガシー以外の構築戦。
主にスタンダードとブロック構築。
言うまでもなく日本で一番主流だった。
世界的に見てもプレイ人口は多かった。

「Limited」(リミテッド戦)
シールド戦とドラフト戦。
プレイ人口としては多いものの、地域差が出やすかったし、
今でもそうだと思われる遊び方。
最も実力が試される遊び方だと思っている。

このレーティングシステムの制度が無くなる手前くらいで、
自分の戦績が

エターナル:1850
構築戦:1900
リミテッド戦:2070

くらいだったと思う。
リミテッドだけぶっとんだ数字になっている。
この数字でだいたい日本で1~3位くらいだった。
世界順位でも50番くらいだったかな。
この数字になった理由は、世界選手権に出場する前でも高かったが、
世界選手権出場時に勝ち越しをしていたから。
構築戦の1900はこの頃にそれなりにプレイしている実力者なら、
(グランプリで初日を抜けるくらいの実力目安)
ほぼこの数字くらいはあった。
だいたい1850~1950の間をうろうろする実力者が多かったはず。
エターナルは1900まで行った人は日本では多分いない。
1850点でおおむね日本で5本の指に入る。
レーティングシステムは
「一度も大会に出た事がないレギュレーションは圏外として扱われる」
だったので、
この当時のレガシーやヴィンテージをやらなかった人は必ず圏外だった。
この当時のレガシーかヴィンテージに一度でも参加して、
仮に負け越しだったとしても日本で200位以内だったりした。
つまり、
DCIナンバーを持っていてレガシーやヴィンテージをやらない人は、
「原点1600点:圏外」
という事になる。
また、公式大会に出ずに2年経過すると、
「経過した時点での点数:圏外」
となっていた。
こちらの場合はその後1度でも大会に出場するとランキングに反映された。

ちなみにこの数字は世界選手権の招待枠だけではなく、
グランプリの不戦勝(bye)の数にも影響していた。
高得点の人では3byeもらえる人もいた。

このレーティングシステムは2011年9月に廃止。
その後プレインズウォーカー・ポイント制度に移行。
ただし、これには賛否両論があった。

レーティングポイントは純粋に実力が測りやすい。
プレインズウォーカー・ポイントは純粋な実力が測れない。
何故ならプレインズウォーカー・ポイント制度は
「単純に大会に出た回数」
で決まって増えていくから。
これには当然賛否両論があった。
とてもわかりやすい例で、
「オンラインゲームはある一定量、プレイ時間=レベル」
というものがある。
課金額でも変化するものだが、
長く続いている有名オンラインRPGでは、
「課金していてプレイ時間の長い人」
に敵う事は難しい。
MTGにもそれは言える一面はあるものの、
「大会に出た回数でポイント増のみ、
 ポイント減は無し。」
というシステムでは大会に出られない地方の人は不利になり、
大会が多く開催される都心部の人は有利になる。
時間の少ない労働者ほど不利になり、
時間の多い人は有利になる。
これでは正確に実力を測るものとしては不適正となってしまう。
反面、
「プレイ時間が長いのだからそういう人にこそ恩恵を」
という見方ではこれが是とされる事になる。

ただ、全く大会実績が反映されないというわけではなく、
プレインズウォーカー・ポイント制度はいくつかの改善をされ、
実績も影響するようになったのだが、
そのプレインズウォーカー・ポイント制度も2020年5月27日に廃止。

個人的見解では
せっかくレーティングポイントというシステムで歴史を作ったのだから、
そのまま継続で良かったんじゃないの?
と思っていた。
頻繁にチェックするほどでは無かったけれども、
県で何位、国内で何位、世界で何位とわかるのは面白かった。
「上には上がいるんだな!面白い!」
とわかるシステムが無くなってしまうのは残念だった。

前述のようにこのDCIレーティングのためにプレイヤーは
「DCIナンバー」
と呼ばれる自分だけの番号を手に入れてプレイしていた。
後半は不明だが、
少なくともMTG黎明期は
「登録した順番」
で番号がふられていた。
最初期にプレイしていた人の中には4桁なんて人がいたらしい。
おそらく最初の番号は0001から始まったのだと推測される。
つまり最大でも9999人しかいない。
そしてこれも推測だが、
初期のナンバーはWotC社の社員やDCI発足時の人で埋まっているはず。
さすがにDCIナンバー4桁に日本人の名は無いと思う。

そして未だDCIナンバー4桁の人には出会った事がない。
6桁はいっぱい。
というよりMTGを始めた頃に出会った人はだいたい6桁のはず。
店主が知っている人の中の最古参がアメリカのSeth Burn。
彼にDCIナンバーを聞いてみたら6桁。
彼はたしか
「Unlimitedからスタートした。」
と言っていた。
Unlimited:1993年12月1日発売だが、
彼が発売日に始めたとは限らないので、
ざっくり言って1994年の頭くらいだろうか。
これで6桁なのだから、4桁の人は相当希少だ。
ちなみに、
店主が10万台でSethと3万くらい番号が違う。
結構近い時期にDCIナンバーを取得していたのだろう。
6桁でも10万台はかなり希少。
古参中の古参。
店主が15で始まる番号で6桁なので、
世界で15万番目くらいのMTGを開始したプレイヤー。
現在のアクティブプレイヤー数はわからないけれども、
この数字はかなり序盤ではあるはず。
もし仮に現時点でのプレイヤー数が公式の言う4000万人なら、
15万番目くらいなら上位1%の最初期勢。

だいたいわかりやすく書くと

DCIナンバー4桁:絶滅危惧種のような珍しさ。
DCIナンバー6桁前半:古参中の古参。
DCIナンバー6桁後半:古参。
DCIナンバー8桁:続けていればMTG歴15~20年?
DCIナンバー10桁:続けていればMTG歴5~10年前後?
DCIナンバーって何?:たぶんMTG歴5年以下。

ぐらいかな?
あと、一定量の友人に聞いてみたところ、
6桁、8桁、10桁はいたが、
5桁、7桁、9桁の人はいなかった。

おそらく奇数桁は存在しないのだろう。
増枠する事に2桁ずつ増やしたと思われる。


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この画像は6桁時代のDCIナンバーカード。
「マナ・メンバー会員証」と書かれている。
古参プレイヤーは今も持っているかもしれない。


画像2

一方、こちらはDCIナンバーがなくなる直前に配布されていたカード。
このカードに書かれているアクティベーション・コードとDCI番号を使用して登録を行っていた。

そういえば、台湾に行った時に、
カードショップでドラフトする時にDCIナンバーを書いたら、
「え?6桁?!」
というリアクションを何度かされた事があった。
現代では6桁は本当に希少種なのかもしれない。

なお、これを書いている2021年現在でも、
まだDCIナンバーは完全に抹消されたわけではないらしい。
もしかしたらいつかDCIナンバーを復活させる日が来るかもしれない。
いや、来てほしい。

ではまた。

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