noteサムネ0822

死ぬかと思った話


「死ぬかと思った話」というお題を頂いた。

面白いリクエストだ。

今までの人生でたった一度だけ、
電話の第一声で
「助けてくれ」
と言った事がある。

後になってみると漫画みたいな台詞展開だと思わなくはなかったが、
これを言った瞬間は一切余裕は無かった。

ケバブ大好き。


今から何年くらい前だろう。
6年くらい前だったか。
6月後半の暑い日だった事は覚えている。

友人達と新宿でお酒を飲み、朝までカラオケしようという話になった。
カラオケ店までの道の途中に目に入るケバブ屋さん。

英宝さんはケバブが結構好きなのだ。
たいがいのジャンクフードは好まないのだが、
ケバブだけは別


マクドナルドも各種ある牛丼チェーンも、
最後に行った日を思い出せない人だが、
ケバブだけは別。
東京以外であまり売っていないので、
見たらついつい買ってしまうくらいに好きなのだ。

カラオケが終わる朝ではケバブ屋さんはもうやっていないだろう。
ここは先に買うしかない。
という事でカラオケ前にケバブ購入。

さあ、朝まで後はカラオケだ。
採点入れて、いつものように歌う。

朝まで歌って各自帰宅。
家に帰ってきて冷蔵庫にケバブを放り込み、
眠りについたは朝の9時。
吸血鬼にとっては深夜のお時間。

その後、起床して仕事して、朝食というには無理のある時間で、
夕食というには丁度いい時間に、1日半くらい前のとんかつを食べた。
仕事に戻って明け方の4時くらいまでは起きていた。

Best Friend is Toilet

この頃からだいたいなのだが、
起きる、仕事する、限界まで来たら食事する、
仕事に戻る、体力が尽きたら寝るというサイクル
だった。

基本の睡眠時間は5時間かそれ以下。
24時間起き続けても6時間以上眠る事が出来なかった。

この日も例に漏れず、
そんな生活をして眠りにつき、
昼食のような朝食をとる事にした。

「ああ、そういえばケバブがあったな。」

購入してから36時間ほど経過している。

「熱加えれば大丈夫だろ。」

それに、お残しするのはマナー違反だという認識から、食べる事にした。

食べた。
少しいつものケバブの味ではないと思ったが、とりあえず食べた。

この時の自分の感覚に従うべきだった。
人からは
「リアル海原雄山」
「化け物じみた味覚」

と揶揄される味覚を信じるべきだった。

次の日。
その日はお役所の人がウチに来る予定だった。

キタ・・・!

お役所の人ではない。

腹痛だ。


いや、待て。

何かおかしい。

なんだこの熱っぽさは。

ほぼ歩けないぞ、俺。

体温計どこだ。
なんとか体温計を探して熱を計る。

38.5℃

・・・結構熱あるな。
ひどく目眩もしてきた。

ぴんぽーん。

お役所の人が来た。
しかし便意も来た。
それどころか身体がフラフラで玄関までが遠く感じる。
目眩というよりも、
意識が遠のく感じがする。
ぐるぐるしているのは頭なのか目なのかわからない。
「世界が俺を中心に回っている。」
という文が自己中心的という意味ではない意味で使える状態だ。
6月も終わるというのに寒気がする。
なんだこの状態は。

お役所の人が何言っているか全然頭に入ってこない。
お役所の人もこちらの体調があまり良くない事を察したのか、
ささっと帰っていった。

「あの・・・救急車を・・・」

という言葉を出せないまま終わった。
この家には今、誰もいない。

トイレとベッドを行き来するのだが、
トイレが遠い。

ベッドからの距離で5メートルも無い距離が遠い。
トイレからベッドに戻るのも遠い。

30分間隔でトイレとベッドを行き来する。

ベストフレンド イズ トイレ。

とんかつか?ケバブか?
いや、どっちかって言ったらケバブ?
あのケバブはたしかになんか変だった。

あのケバブ、買ってから何時間経ってた?
・・・36時間くらい?
1日半くらいなら大丈夫だろ?

なぁ、大丈夫だろ?

大丈夫って言ってくれよ。
(誰に話しかけてんだろう。)

やっぱケバブ?
買ってから常温で最低8時間放置した後、
24時間以上冷蔵庫ではダメだったか?

おい、ケバブ、
俺とお前の仲ってこんなんだった?

ちょっと。
お腹にアタック宣言ばっかしてないでなんとか言えよ。

ぎゅるるるるる。

いや、そうじゃない。
そういう音を俺望んでない。
痛い痛い。
やめろって。
俺、ケバブ好きなんだから。

お腹へのアタック宣言、
俺のお尻がブロック宣言出来ないって言ってるよ。

お尻「通します。」

そういう問題じゃねーんだよ、気張れ、俺のお尻。
確かに用を足す事を「お通じ」って言うよ。

だからって

お尻「通します。」

じゃねーんだよ、通しちゃダメだよ。
残ライフ少ないんだよ。

今日何度目の戦闘フェイズ(トイレタイム)だよ。
トイレに《連続突撃》だよ。

やっとカード名が出て来たと思ったら、
この品の無い話だよ。

そういえば、
《悪忌の隠者、ベンベン》ってカード、
漢字で書くと便々?

ぎゅるるるるる。

すまん、俺が悪かった。
(誰に謝ってるんだろう。)
あと、俺の家のトイレなんでこんな遠いの?
俺の速度、秒速5センチメートル。

家、別に大きくないのに、
トイレが遠く感じる。
しかも立つのもやっとのような体調。

寒気、頭痛、目眩、腹痛、倦怠感、息切れ、
これがどんどんひどくなっていく。
眠る事もままならない。
もう一度熱を計ってみる。

39.6℃

オオウ・・・40℃一歩手前。
体温、人生最高記録更新。
たしか小学生の時に39.3℃だったな。
あれを更新したか。
いや、そんな事考えている場合か。
このままではまずい。

携帯電話の発信履歴から一番上にあった部下に電話をかける。
そして第一声で、

「助けてくれ・・・。」

この声ですら、
自分で言うのもなんだが、
絞り出すような声だった。

部下は幸いにも、
すぐ近くに住んでいたので、
即座に来てくれた。
そして部下の肩を借りながら病院へ。
もうこの時点で一人で立てないに等しい状態だった。
さっき冗談で書いた文だと思った人も多そうだけれども、
本当に秒速5センチメートルくらいでトイレとベッドを行き来していた。
30分に一度のペースのトイレがこの速度。

病院についたら、点滴を打ち込まれ、
そして検査を。

「食あたりだと思いますよ。
 何か心当たりあります?」

心当たり・・・ある。
・・・やっぱ、ケバブ?
さすがに常温8時間放置の後の
冷蔵庫1日以上はまずかったか?

ただし医者の前でそんなケバブを食べたなどとは言えない。

そんな会話をしながらも腹部からは、
トイレに行けという命令が下されている。

下されているのは命令だけじゃなくお腹そのものなんだけど。
くだらない事言っている場合じゃないんだけど、
状況は下っている。

病院ではこの後、お薬を処方してもらって、
「数日安静に。」
というお約束の言葉をもらっておしまい。

病院には行けたし、薬も処方してもらったが、
点滴なんてものは気休めであり、
薬も一発で効いて即治るというものでも無かったので、
病院から帰ってからの24時間もほぼ同じ苦しみのままだった。
さすがに24時間超えてからは多少楽になり、
3日くらいしたら普通に戻った。

この時が現在の自分から直近で死ぬかと思った出来事。
なお、加藤英宝さんの人生は死にかけた経験が他にもある。
どうも安息という単語からは程遠い人生を歩む傾向にあるらしい。
本人としては、ジョジョの奇妙な冒険第四部の、
吉良吉影くらいに静かに暮らしたいのだが、
そうはさせてもらえないらしい。

あ、この記事を書き終わった次の日に、
東京に行く事があり、
帰りにケバブ購入。


もちろん持ち帰り。
さすがに家に帰ってすぐ食べた。
皆様も夏場の食べ物には気をつけて!
一瞬の油断が死ぬかも?と思う災難になる可能性が!

ではまた。


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