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raison d’etreを意識し始める企業
PURPOSEが大切だ。という会社が増えている。
PURPOSE。つまり、会社が存在する目的。
第二次世界大戦が終わった時、ヨーロッパでも同じような風潮があった。
大勢の人たちが、不条理に死んでいった時代。みんなが意識したのが、raison d’etre(レゾンデートル。英語的にいうと reason of existence。etreはbeだけどね。)つまり存在理由。今起きていることを考えると、PURPOSEよりもこっちの方が断然しっくりくる。
存在理由を再認識したくなるというのは、存在理由を失いかけていることの裏返しだ。
なんのために自分は存在しているのか。
なんのためにこの会社は存在しているのか。
では、なぜ存在意義を失いかけているんだろうか。
病原菌がきっかけとなり、社会は大きく変化した。
消費行動は変わり、移動に対する考えも変わった。
ビジネスの軸は変化し、消滅するビジネスも目にし始めている。
そして、会わないことが不都合ではなくなり、リモートワークも定着した。
これまで時間と場所を共有することが、ぼくたち社会の原点だった。同じ場所、同じ時間に集まることが仕事であり、それが会社という組織だと信じていた。
しかし今、場所を共有していなくても、場合によっては時間さえ共有していなくても、一緒に働き、助け合い、会社という組織が維持されているのを体験している。
そして、場所の共有を前提としないなら、オフィスなんていらない。
時間の共有を前提としないなら、就業時間という概念はいらない。
そう感じはじめている。
だったら、ぼくたちは、何をもって仕事と呼び、何をもって会社と呼んでいたんだろう。物事の表層が崩れていってしまっただけに、ぼくたちは、レゾンデートルを強く意識しなくてはならない。
場所は会社ではないし、時間が仕事ではないのだ。
表面的なものを取り払えば、結局、協力して価値を実現していることが仕事であり、そのチームが会社なのだ。場所に集まり、時間を共有することじゃない。
だからこそ、実現すべき価値とは何か。
誰のための、なんのための価値なのか。
いろんなことが露わになってきたからこそ、こうしたことを突き詰めていかなくてはならない。
そして、自分たちのレゾンデートルを見出せない企業は、この変化の中で滅んでいき、迷いなく自覚できている企業は、変化の中、大きく成長する。
こうしたことに気づき、目を向けている企業が、だんだん増えてきている。
とても良い時代が、もしかしたらすぐ目の前に来ているのかもしれない。