DXと経営
ぼくは経営者なので、考えていること、気になっていること、将来なりたいと思っていること、疑問に感じていること。そうした全てのことを、社員や顧客と共有し、共感を得て、考え、共に行動するのが役割だ。
言葉というものは、ガラス細工のように脆く、しかも見る角度によって表情を変えてしまう。だから、できるだけ文章にするようにしている。言葉で伝えるだけでなく、文字で書き留めて伝える。
とはいえ文字にすると、印象がせばめられる可能性がある。それが好ましくなければ、絵を添えたり、写真を加えたりもする。だって、言葉の持っている意味だけでなく、その周辺にあるコンテキストの方が重要だったりするからね。そうやって、どんな思いでつたえているのか、どんなストーリーにあることなのかをできるだけ伝えるようにしている。
といいつつ、やはり感性は揺れる。揺れるから豊かな活動になるとも言えるのだけれど、揺れては困る部分もあるので、そこは事実としてアンカーさせる。海流も風もある海で、船が動かないように錨を下ろすのと同じく、事実をアンカーして、動かない議論の軸を明確にする。
ぼくたちは、そこにデータを使う。
グルーヴノーツという会社の、ほぼ全ての活動は、デジタル化されている。顧客の状況がどうなっているのか、サービスの運営状況はどうなのか。営業活動も、ひとりひとりの仕事ぶりも。だから、わからないことがあってもデータにあたれば状況が見えてくる。報告しなくても、頑張っている人はわかるし、顕在化していなくてもきな臭い状況は把握できる。なぜなら、デジタル化された情報は、全て手軽に取り出すことができるから。
ぼくは経営者なので、考えていること、気になっていること、将来なりたいと思っていること、疑問に感じていること。そうした全てのことを、社員や顧客と共有し、共感を得て、考え、共に行動するのが役割。
だから、ぼくの考え、気になっていること、将来への道筋、などなど。あらゆることを、まずデータを解析することからはじめる。解析された結果と、自分の思いがあると、みんなはとても理解しやすく、思いを誤解なく受け取ってくれる。
つまりどんなビジョナリーなことであっても、どんな未来のことであっても、その入口は事実というアンカーポイントからスタートしているかが重要なんだ。
世の中がDXとか言う前からのスタイルなので、いまさらなんだけど。だから、経営者自らがデータと向き合い、自らが解析していくことが大切。だって、あなたの意志が、あなたの思いが、会社を動かすのだから。