Clubhouseのコアは一体何なのだろうってことから考える
COVID-19の感染予防で世界的に広まったリモートワークと都市封鎖。要するに人との接触を避けてということなわけで、そうなると社会的動物である人間はフラストレーションがたまる。
そんな状況にClubhouseは、よく適合していた。またたく間に広がり、みんなおしゃべりを楽しんでいる。
そんな社会的テーマとは別に、技術的にClubhouseというサービスは、どのようにできているのかを考えていたら、ちょっと衝撃的なことを知ってしまった。
情報の出どころは、スタンフォード大学。
要点を整理すると、Clubhouseの音声通話機能は、上海本社のAgoraという会社のサービスを使っているというもの。ついでにデータは中国に送信されているので、セキュリティ上の懸念があることを指摘している。さすがにリアルタイムな音声データまで送ることはしてないだろうけど、管理情報は送られているみたい。つまり誰と誰が会話したとか、誰が視聴したとか。
中国に送られたら何なのという人もいるかもだけど、中国企業は、中国の法律により政府からのデータ提供要請を拒否できない。まぁ、それ言ったらTikTokもLINEも同じ状況なわけだから、普通の人は気にしないだろうけど。公的機関的にはちょっとね。
ではAgoraというサービスは、いったいどんなものなのか。
簡単に言うと、音声通話やビデオ通話の機能を実現してくれるサービス。簡単なプログラムを書くと、多人数の音声通話を含めた通話機能やビデオ通話機能、チャットなどが実現できる。
つまりプログラム間で音声や動画をリアルタイムにやりとりするための通信機能を提供している。
どんな感じかというと、例えばClubhouseのようにiOSで音声通話したい場合。
import AgoraRtcKit
agoraKit = AgoraRtcEngineKit.sharedEngine(with: config, delegate: self)
let option = AgoraRtcChannelMediaOptions()
let result = agoraKit.joinChannel(byToken: KeyCenter.Token, channelId: channelName, info: nil, uid: 0, options: option)
これは部分的ピックアップ。全部見たい場合はAgoraの公式サイトにあるので、そちらを見て。つまり、もろもろ初期設定して、joinChannelとやると、チャンネルに参加して音声通話ができる。
とてもシンプルなコードで音声通話やビデオ通話を開始できるようになっている。
噂でしかないのだけど、ClubhouseはこのAgoraを使って、たった1週間で仕組みを完成させたそうだ。(なんかわからないでもない)
つまりAgoraみたいなサービスあるなら、こんなことできるじゃん。いーね、ちょっと作ってみようか。ってやってリリースしたら、思ったより話題になって。ついでに資金も集まって。
こういうのって、ぼくは嫌いじゃない。そこから踏ん張って、さらに何かを生み出せるか勝負だし。まぁ、ここまでのところでどこかに売却するのもありだし。そもそも、思いついても行動しないより、思いつきでも行動するほうが、はるかにかっこいいと思うんだよ。
でもさ。かれらがこんな軽々とリリースできたこと、拡大できたことは、つまりAgoraの仕組みはなかなか良くできているってことだよ。いやちょっとまてよ、この一番肝の部分を自社開発していないClubhouseって、一体コアコンピタンスはどこなんだ。とも思う。
どうやらtwitterやFacebookも、何かしら開発着手しているみたいだし、肝心要の部分を自分で持っていないということは、Clubhouseは差別化戦略なかなか立てにくい。いろいろわーわー言われても、なんとなく対策をズバズバ打ち出せないでいるのは、なんかここらへんに理由がありそうではある。
しかしなんだよ。このくらいのこと、我が国が誇る通信の専門家、NTTとかだったら簡単に実現できるんじゃないの。とか思うけどさ。通話料もらってる音声通話との関係をどうするのか。とか。セキュリティがどーとか。色々と駄目な理由は、ぼくでも見つけられる。
でもさ、駄目な理由探ししてたら何もできないじゃん。やるべき理由探しして、それがちゃんとあるなら、カニバってもいいからやるべきだと思うんだよな。
最大のライバルは自分だ!みたいな。
なんかちょっと宮本武蔵風でかっこいい。
革新的技術があっても、世の中に革新を起こせるわけではなく。
だれにも負けない技術があっても、だれにも負けないビジネスになるわけでもなく。
とか、まったりしてる場合じゃないんだけどな。
あ。そうそう。Clubhouse、もっとこーしたらいいのにな。って思ってる人。自分で実装しちゃえば?(ぼくも遊びで実装くらいは、そのうちやろうかなとは思ってる。たぶん。その気になったら。ならんか。)