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少し早めの年越し蕎麦を食べた。私は基本的に蕎麦が苦手である。なので年越しと言えばうどんか、もしくはカップ蕎麦を食べている。インスタントなら蕎麦の風味がほとんどしないので食べられる。去年はどん兵衛の鴨だし蕎麦を食べた。しかし今年は何故かお店の蕎麦が無性に食べたくなった。平たいざるに乗ってくるようなやつ。苦手だからと食わず嫌いになってから20年近く。そろそろ美味しく食べられるのではないかと思った。3年前に信州で名物だからとくるみ蕎麦を食べた。そのときは感じる美味しさの9割がくるみだれのおかげで成り立っていた。蕎麦自体の魅力はよくわからなかった。食べたくなった今が苦手をなくす絶好のチャンス。そう思って美味しい蕎麦のお店を探すも、美味しさに種類がありすぎて難しい。黒っぽくてぼそぼそした風味強めの田舎蕎麦を美味しいとする蕎麦通もいるし、白くて綺麗な細い蕎麦を美味しいとする人もいる。蕎麦の風味にまだ慣れていない私は前者に行ってはいけない気がしたので後者へ。とはいえそれがどこで食べられるか知らないので親に聞いてみたら、連れて行ってもらえることになった。密回避ということで早めの年越し蕎麦。車でしばらく走った先に蕎麦処が多い街がある。そこで親がいちばん美味しいと思うお店に来た。クセがなく白くて細い蕎麦。私の望み通りの蕎麦である。ここのお店自体は来たことがあり、いつも私はねぎとろ丼か天丼を頼んでいた。蕎麦苦手な人あるある、連れてこられた蕎麦屋で天丼頼みがち。今回は天ざる蕎麦を頼んだ。初めて蕎麦屋で蕎麦を頼んだ。なんかそわそわしてきた。そばがきのおしるこも頼んだ。そばがきは食べたことがあるので、その美味しさはもう知っている。しばらくして蕎麦が運ばれてくる。白くて細い蕎麦だ。いけそう。いざ実食。見た目の期待を裏切らない美味しさだった。期待を超えはしなかったが、ちょうど期待したくらいの美味しさだった。悪くない。そこからいろいろな食べ方を試してみた。半分だけつゆに付けて通ぶってみたり、薬味を入れてみたり。半分だけ付ける食べ方はまだ早かったが薬味は入れたほうが美味しかった。ネギとわさびと七味。わさびの香りが鼻に抜ける感じがたまらなかった。最後に蕎麦湯を飲む。この季節に蕎麦湯が美味しい。そばがきのおしるこは甘くてほかほかで最高だった。また蕎麦を食べにここに来ようと思う。今日もなにもない一日だった。

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