07/18
厚い雲に覆われた空、飲み込まれそうになった。暗く重い一日。こんなにも嘘であってくれと願った日はない。昼過ぎに飛び込んだ訃報、目を疑った。なんで。どうして。世間から見たら順風満帆のように見えていたが、私たちにはわからない苦悩があったんだろう。彼にしかわかり得ない何かが。テレビなどで見る機会は沢山あったし、これからもずっと続くと思っていた。一度舞台を観に行ったことがある。その場にいる誰よりも輝いていて、そのオーラに圧倒された。生きる活力を私に与えてくれた作品だった。いまでもサントラを聞くだけで強く生きようという気持ちが湧いてくる。きっとそれはこれからも、ずっと。もう会えないと思うとどこまでも悲しくなってしまうので、残してくれたものを愛していきたい。人間というものはどこまでもわからない。他人が何を考えているかなんて全く予想できないのだ。いつ死ぬかもわからない中で、人間はよく普通に過ごせているなと思う。自分が、好きな人が、明日生きているなんて保証は無いのに。いくら何かを積み上げたところでゴールは無だ。時々、生きてることが馬鹿馬鹿しくなる時がある。ただ、ほんの少し生きててよかったと思う瞬間があるから、なんとなく生きてしまっているだけだ。人生について考えて始めたら、しばらくベッドから起き上がれなくなった。夕方、チャイムの音で我に返った。インターホンに出ると宅配業者だった。先週頼んだワイヤレスイヤホンが届いたようだ。良い音楽を良いイヤホンで聞きたいなと思って、少しだけ良いイヤホンを買った。やっと起きれたので溜まっていた用を済ませていざ開封する。色合いも何もかもかっこよくて好みだった。音も悪くない。これからエージングしたらどう変わっていくかも楽しみだ。初めて聞いた曲は星野源の「Pop Virus」。ついでに先日のライブ配信も見てみると、聞こえなかった音が聞こえてきた。感動のあまりそのまま最後まで見てしまった。最後の曲「私」の一節、「死ぬのだけじゃあんまりじゃないか」で涙が流れた。以前から好きな一節だが、この一節に重なるものが多く重くなっていく。強く歌う星野源は凄まじい顔をしていた。音楽は人間に、少なくとも私には必要なものだ。今の気持ちを代弁してくれたり、そっと寄り添ってくれたり。自分の今の気持ちに気付かせてくれたりする。本当、死ぬのだけじゃあんまりだよ。今日もなにもない一日だった。
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