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クリスマス当日。サンタさんがクリスマスツリーの下にプレゼントを置いているわけもなく、いつもと全く変わらない朝を迎えた。以前我が家に来ていたサンタさんはいつもツリーの下にプレゼントを置いてくれていた。それぞれの家庭によって置き場所は違うらしく、枕元だったり掛けておいた大きな靴下の中だったりするらしい。我が家は例年ツリーの下。私が小学校を卒業した途端サンタさんが来ることはなくなったが、思い返すとそれはとても暖かい時間だった。ふとツリーに目をやると、下に箱が置いてある。心が少しざわついたが、それは私が数日前に買ってきたお歳暮に持っていく箱入りの油とお茶である。そんな紛らわしいところに置いた過去の私を恨む。サンタさんの思い出といえば、シールを作るおもちゃが欲しいとお願いしたらメーカー違いで届いた事がある。確かにこれもシールを作るおもちゃだけどなんか違うともやもやした気持ちになった。名前まで覚えていないが欲しかったのは水色でCMにもなっているやつで、届いたのは知らないメーカーの黄色いやつ。親から「サンタさん、トイザらスに行ったけど売り切れで買えなかったらしいよ」と言われて割と信じていた。サンタさんのおもちゃの仕入先はトイザらスらしい。今考えたら割とギリギリのこと言ってるなと思う。それとある時、兄へのプレゼントを明るい時間に親が直接渡していた事があった。それを見かけてしまった幼い私は純粋な目で「なんで?」と聞くと、「サンタさんが渋滞でこっちに来れないから受け取りに行った」と言われたのを覚えている。サンタさんって車移動なんだと純粋に信じた。親が描くサンタさん像の危うさを、私の純粋さが奇跡的にカバーしている形となった。私にも可愛い時代があった。昨日の夜に食べたオードブルの残りで朝ごはん。今日がクリスマス当日なのに何となく寂しい。特にこれといった予定はなく、ただ仕事に行って帰ってくるだけ。私のクリスマスはイブで全てが終わった。帰りにスーパーに寄ったらもうお正月の準備が始まっていた。ケーキがあったと思われる冷蔵棚には何も無くなっていて、お正月商品がぽつんとひとつおいてある。ひとつ?と不思議に思ったが、それを目印にこれから品出しをしていくようだ。私も数日後に伊達巻を買いに来ることになるだろう。1回の買い物の単価が上がる時期が来た。いい年を迎える準備をしていく。今日もなにもない一日だった。
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