07/27
あの時の小学生はすっかり大人になっていた。雨ばかりで気が滅入ってくる。気圧のせいか頭も痛い。憂鬱。着替えるのも面倒で、靴下も履きたくない。郵便局と銀行に用がある。行かねばならない。適当に着替えて、サンダルを履いて郵便局へ。用を済ませて銀行へ。銀行のATMに並んでいる時、ズボンの後ろのポケットから靴下が出ていることに気付いた。家を出る前に履こうと思ってなんやかんやで後ろのポケットに入れ、すっかり忘れてサンダルで出てきてしまったようだ。毛玉だらけの黒い靴下。急いでサコッシュにしまう。さっきの郵便局はこのままだったことを考えると、なんと間抜けで恥ずかしい。後ろに並んでいた人に気付かれていただろうか。いや、知らない人の尻など見ないか、と気持ちを落ち着かせる。家を出てから比較的早めに気づけて良かった。諸々を終わらせてお昼。お昼は唐揚げ弁当をテイクアウトした。近所にある昔ながらの定食屋。いつもは食べに行くがテイクアウトののぼりを見つけたので頼んでみることにした。パックいっぱいのご飯と沢山の唐揚げ、サラダ、漬物、味噌汁。勝ちだった。お弁当の域を雑に超えているのが良かった。唐揚げもとても美味しい。唐揚げ専門店のガツンとにんにくが効いた唐揚げも美味しいが、この素朴な唐揚げが私にとって一番美味しいのかもしれない。からあげの最適解はこれなのではと考えさせられる程に美味しかった。完食したが、お腹いっぱいすぎるあまりしばらく動けなくなった。幸せってこうゆうこと。夜。24時間営業のドラッグストアに行き日用品を買う。レジに並びふと店員さんの顔を見ると、見たことのある顔だった。名札を見てもピンとこなかったが、少し考えたら小学校の同級生だとわかった。話したこともないような、顔見知りくらいの存在だったので何もなく終わったが、なんか大人になったなぁと思った。小学校の卒業式から全く見ていなかったのでその差が顕著に思えた。同じ小学校で学んでいた時間より何倍もの時間が過ぎた。その後の進路など全く知らないが、こうやってまた街で会えることが嬉しく思った。他の同級生たちも、きっとどこかで社会の歯車を回しているんだろう。みんな大人になっているし、私も大人になった。学校という場所の異質さに気付いたのは大人になってから。あの頃に戻りたいとは思わないが、とても楽しい時間を過ごさせてもらっていた。今日もなにもない一日だった。
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