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ふつうのありきたりなカレーが食べたいと母は言う。確かに最近はスパイスカレーばかりで市販のルーを使った家庭的なカレーを食べていない。私はスパイスカレーがものすごく好きなのであのカレーが食べたいと基本的には思わない。でもそう言われてしまうとなんだか、急にあのカレーが恋しくなってくるのである。よし今日はカレーを作ろう。じゃがいもがなかったので買い物に行くべきだったが、うまく時間が作れずスーパーは閉店の時間。すっかり夜になってしまった。別にじゃがいもなくてもいいかと諦め、気の向くままにカレーを作り始める。冷蔵庫にあったのは豚肉、人参、玉ねぎ。じゃがいもの穴を埋めるために何か入れようと思い、ほうれん草としめじを出した。これは果たしてありなのだろうかとしばらく考えたが、CoCo壱番屋にそんな感じのメニューがあった気がしたので採用した。ほうれん草とキノコのカレーと言えばなんかそれっぽいし良いじゃん。硬いものは人参くらいだったので適当に炒め、早々に水を入れて煮込んでいく。煮込まれていくカレーを混ぜながら、カレーってこんなに簡単なんだっけと考えた。いつもならもっと頑張っている時間があったというかもっと気合いを入れて作っていたはずだが、今回はあまりにも簡単に手順が進んでいく。じゃがいもを入れていないことも理由のひとつであるが、これはおそらく自分の料理経験値が上がったことが理由ではないだろうか。料理をするようになってしばらく、カレーより手順が多い料理をこなせるようになったおかげで相対的にカレーが簡単になったのだ。切って炒めて煮てルーを入れて煮るだけって簡単すぎて本当にありがたい。主婦たちの怒りを買いそうなことを言ってしまった気もするが、料理が好きな人にとってカレーは手抜き料理であることは間違いないだろう。今日は楽をさせてもらおう。弱火にしてコトコトと20分煮込む。その間に洗い物を終わらせて炊飯器もセットした。完璧。こたつに入ってぬくぬくしながらセットしたアラームが鳴るのを待つ。バナナを食べていたらアラームが鳴った。一度火を止めてルーを入れ混ぜる。なんでこうするかよくわかっていないがルーの箱にそう書いてあったのでとりあえず従う。選ばれたのはゴールデンカレー。ルーが溶けていって立派なカレーになった。通り過ぎた母にふつうのありきたりなカレーではないと言われた。ぐう。今日もなにもない一日だった。

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