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仏壇を掃除したらキリッと空気が澄んだ気がした。今日はおばあちゃんちへ行き掃除を手伝ってきた。家主はあまり掃除が得意ではないようで、たまに行っては手伝っている。今日の私の担当は仏壇周辺。前回掃除したときからしばらく経ち、ホコリが積もっている。いつ上げたかわからないお花は完全に枯れ、水も無くなって白カビがもこもこしている。久しぶりにこんなにふわふわと元気そうにしている白カビを見た。一周回って感動するまであるが、流石にこの状態は厳しい。家主はいろいろと忙しくしているようで、ここには全く気が回らないらしい。よし、やるしかない。マスク姿に透明の手袋をしていざ。ゴミ袋を裏返してお花を掴み、袋を戻す形でお花をゴミ袋に入れた。花瓶は台所に仮置き。置いてある細かいものは一旦脇へ退かしておく。付属のはたきでホコリを上から掃いていくものの、量が多くて下へ下へ積もっていく。掃除をしているように見えてホコリを撒き散らしているだけなのではと不安になったが、掃除は上からするものらしいのでおそらく手順としては正解だろう。ホコリを掃いたあとはアルコール入りのウエットティッシュで拭き上げる。仏壇の光沢が蘇ってきた。小物も拭きながら定位置に戻していく。あまり仏壇のことをよく知らないので、この謎の小物は何のために置いているんだろうと考えながら作業していた。知っているときっと面白いのだろう。線香を補充し、大体が定位置に戻った。最後に線香を立てるやつの掃除。燃え残った線香を箸と網で除き、灰をサラサラの状態に戻す。それを定位置に戻し、辺り一帯に掃除機をかけて掃除終了。ここには簡単に書いたが1時間ほどかかった。座布団に座り改めて仏壇を見上げてみたら、掃除前とは全く違う空気を感じた。冷たくて澄んだ空気に変わっていた。嗚呼、掃除って素晴らしいなと思いながらお線香を上げる。お鈴を鳴らして手を合わせる。頭を上げふと見ると木でできた仏像がそっぽを向いていることに気付いた。照れているように見えて少し可愛いが灯台下暗し、全く気付かなかった。真正面を見てもらえるように向きを微調整した。ゆとりを持って見たときにしか気付かないものがあるとは、なんだか仏教の教えっぽくて素敵だ。掃除をしただけなのに学びがあった。仏壇に新しいお花を上げられなかったことが心残りなので、次来た時は必ず持ってこようと思う。今日は心に澄んだ風が吹いた一日だった。

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