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『面使い』第一話
あらすじ
獅子面の面使いである一里塚颯斗(19)は、自分より強い面使いと闘うことにしか興味がなかったが、法派の律(6)を、助けたことで、法派の法念ひかり(20)と知り合う。
ひかりは法律を尊ぶ法派でありながら、最強の技である『裂元刃』の小面を持つ面使いであった。早速、『連斬刃』の技で勝負を挑む颯斗だが、あっけなく負けてしまう。
法派の一団と行動を共にすることにした颯斗は、ひかりと共に数々の面使いと闘うのだが…
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○野原
獅子面を着け刀を構える、一里塚颯斗(19)。
対峙するのは、狐面を着け刀を構える男。
狐面の男、『九尾刃』の技で刀を振ると、九尾の狐の九つの尾が次々と大きな刃となり颯斗を斬りつける。
颯斗、『連斬刃』の技で刀を振る。
素早く巨大な刃が次々に繰り出され九尾の刃を瞬く間に砕く。
狐面の男「……」
颯斗「……」
と、無言で狐面だけを斬る。
真っ二つに割れ、地面に落ちる狐面。
狐面の男、膝を付く。
○一膳飯屋・中
面を着けていない素顔の颯斗、飯をかっこんでいる。
腰に、獅子面を入れた袋を下げている。
よほど腹がすいているらしい。
浪人風の男たちが、酒を飲みながら話をしている。
浪人A「九尾刃の技が破られたらしい」
浪人B「マジか?」
浪人A「ああ」
浪人C「それで、殺られたのか?」
浪人A「いや、狐の面を割られただけらしい」
浪人B「命に別状はねえけど、二度と九尾刃の技は使えなくなったってわけだ」
浪人C「誰だ、相手は? どんな面使いだ?」
浪人A「それが、連斬刃の面使いらしい」
浪人B「え! あの連斬刃かよ?」
浪人A「ああ」
浪人C「そりゃ、すげえな。実在したのか、連斬刃使いが」
颯斗、意に介さないで飯をかっこんでいるが、
颯斗「ウ、ウググ……」
と、喉を詰まらせ、慌ててお茶を飲む。
颯斗「ああ、死ぬかと思った」
と、飯代を卓に置きながら、店主に、
颯斗「ここに置いとくよ。ごちそう様」
と、出ていく。
○街道
通行人が行き交っている。
その中にいる、颯斗。
通行人A、走ってくる。
通行人A「大変だあ、大変だあ。面使いの闘いがはじまるぜ。大変だあ」
通行人B「どこでだい?」
通行人A「河原だよ。河原」
通行人C「そりゃ、見に行かねえ手はないぜ」
と、駆け出す。
通行人D「よしなよ。怪我したら元も子もないよ」
通行人A「うるせえな」
通行人B「そうだぜ。黙ってなよ」
通行人A、B、駆け出していく。
他の通行人の多くも河原に向かっていく。
颯斗「……」
と、河原に向かう。
○河原
龍の面を着けた男と岩石をかたどった面を着けた男が、刀を抜いて対峙している。
龍の面の男が『水撃刃』の技で川の水を大量に集め大きな刃にして斬り込む。
岩石の面の男が『地集刃』の技で河原の石を大量に集め大きな刃にする。
颯斗、それを見ている。
水の刃と石の刃がぶつかり、見物に来ている人々に降りかかる。
逃げ惑う人々。
颯斗に助けを求める者もいる。
颯斗「好きで見物に来た、いい大人なんだから、自分でどうにかしろ」
と、岩陰にサッと逃れる。
助けを求めてきた者は逃げ遅れ、降ってきた岩に押しつぶされ息絶える。
龍の面の男と岩石の面の男が、闘いながら、街道の方に移動する。
颯斗も街道の方に移動する。
○街道
通行人たち、逃げ惑っている。
律(6)が、一人取り残される。
颯斗「!」
と、獅子面を着ける。
律に、水流と石が降りかかる。
颯斗、『連斬刃』の技で刀を振る。
素早く巨大な刃が次々に繰り出され瞬く間に、水流と石をはねのけ律を救う。
龍の面の男・岩石の面の男「!」
と、颯斗を見る。
龍の面の男「まさか……」
岩石の面の男「連斬刃だと?」
龍の面の男、岩石の面の男が、颯斗に向かってくる。
颯斗、龍の面の男と岩石の面の男と対峙する。
龍の面の男「なぜ、伝説の連斬刃の獅子面を着けている?」
岩石の面の男「獅子面はとうの昔に、破壊されたはずだ」
颯斗「うるせえなあ。お前らに関係ねえだろ」
龍の面の男「なに?」
と、『水撃刃』の技で水流の刃で斬ってくる。
岩石の面の男も、同時に『地集刃』の技で多数の岩石の刃で斬ってくる。
颯斗、『連斬刃』の技で刀を振る。
素早く巨大な刃が次々に繰り出され瞬く間に、水も岩石も吹き飛ばす。
龍の面の男・岩石の面の男「!」
颯斗、龍の面と岩石の面を真っ二つに斬る。
龍の面の男「くそ」
岩石の面の男「わわわ……」
と、岩石の面を張り合わせようとするができない。
律、颯斗のもとに駆け寄ってくる。
律「助けてくれてありがとう!」
颯斗「おう。怪我はねえか?」
律「うん」
颯斗、律の頭を撫でる。
颯斗「?」
と、律の法被を見る。
法被の背中に『法』の文字が書いてある。
法念ひかりの声「面使いでも、子供の命は大事にするんだ」
颯斗「!」
律と同じく背中に『法』の文字が大きく書かれた法被を着た法念ひかり(20)が、立っている。
颯斗「法派か……」
ひかり「私が、その子を助けるつもりだったのに」
颯斗「ヘッ! 法派は口先ばっかじゃねえか」
ひかり「なに?」
颯斗「だってそうだろう? 暴力反対。すべては法律に基づけって、言うばっかじゃねえか」
ひかり「なんだと」
颯斗「この世は、力がすべてだ。強いものが勝つ。それだけだ」
ひかり「私と、闘ってみる?」
颯斗「女なんかと、それも法派なんかと闘うはずねえだろう」
と、去ろうとする。
ひかり、腰から下げた面袋から小面を取り出す。
颯斗「なんだと? 法派に面使いがいるのかよ? 暴力反対なんだろう……それも、小面って、ヤバ過ぎじゃねえか」
と、慌てて面袋から獅子面を取り出す。
ひかり、颯斗が獅子面を着けるや否や、『裂元刃』の技で斬りつけると、刀が巨大な刃になり、空間が歪み裂ける。
颯斗、なんとか獅子面を着け『連斬刃』で素早く巨大な刃を次々に繰り出し、
なんとか跳ね返す。
颯斗「『裂元刃』なんて食らったら、違う次元に飛ばされて、帰ってこれなくなるじゃねえか」
ひかり「ふん!」
と、力を込めて『裂元刃』を打ち込む。
颯斗、『連斬刃』で素早く巨大な刃を連打して跳ね返す。
ひかり、その隙に、間合いを詰め颯斗の前に立つ。
颯斗「!」
ひかり、颯斗に刃を振り下ろす。
颯斗「あ!」
律「ひかり姉ちゃん!」
ひかり、寸止めする。
ひかり「律を、助けてくれたお礼だ」
と、刀を鞘に納め、面を取る。
颯斗「強え~」
と、面を取り冷や汗を拭う。
○街道
法派の法被を着た一団が、歩いている。
その中に、律、ひかり、颯斗が、いる。
颯斗「なんで、法派が武力を使うんだ? それも『裂元刃』なんてすげえ技を」
ひかり「武力の後ろ盾がないと、法律なんて誰も守らない。そうじゃない? 必要悪」
律「小面は、お姉ちゃんの一族の宝物なんだよ」
颯斗「いよいよ、法派も、乗り出して来るってことか」
ひかり「こんな、暴力の世の中はこりごりだ」
颯斗「でも、お前一人じゃ無理だろ? いくら『裂元刃』だって」
ひかり「手伝ってくれる?」
颯斗「は?」
ひかり「『裂元刃』と『連斬刃』が組めば、鬼に金棒だと思うけど」
颯斗「いや、二つじゃムリだろ」
ひかり「それは、手伝ってくれるってこと?」
颯斗「ちげえよ。そういう意味じゃなくて。俺はただ、強い面使いと勝負がしたいだけだ」
ひかり「私には負けたけど」
颯斗「うっせえな。『裂元刃』は特別だよ」
ひかり「『霊撃刃』は?」
颯斗「それこそ伝説だろ?」
ひかり「……(頭を振る)」
颯斗「嘘だろ?」
ひかり「打てる、面打ち師がいるらしい」
颯斗「!」
ひかり「ついてくる?」
颯斗「え?」
ひかり「その村に向かってるんだ」
颯斗「!」
と、ひかりを驚いた顔で見つめる。
○宿・中(夕)
法派の一団が、夕食を食べている。
颯斗、ひかり、律も、その中にいる。
ひかり「あらかじめ、ルールを決めておけば、いざって時に困らない」
颯斗「そりゃ、そうだけど。みんな、守らないじゃん」
ひかり「それは、みんな暴力で決めてしまうからよ」
颯斗「強い者が勝つ。強さこそ正義だ」
と、律のおかずを食べる。
律「あ~、颯斗兄ちゃん、ひどい」
と、助けを求めるようにひかりを見る。
ひかり「それじゃ、女や年寄り障がいのある者は、損じゃない」
颯斗「そりゃ、強い男に生まれなかったんだから、しょうがねえんじゃ……」
ひかり、颯斗のおかずを食べる。
颯斗「あ~、俺の肉! なんで食べるんだよ」
ひかり、面袋と刀を手に取り、颯斗に突きつけ、
ひかり「(モグモグしながら)やる?」
颯斗「いや……」
ひかり、自分のおかずを律にやり、
ひかり「あ~、やっぱ、うまいや~」
律「うまいねえ」
と、食べる。
颯斗「……」
と、無言で何事か考え込んでいる。
○同(朝)
宿から法派の一団が出てくる。
その中に、律、ひかり、颯斗も、いる。
旅人や宿場の住人たちが、行き交っている。
三人の面使いの罵声が響く。
『影身刃』の男、『傀儡刃』の男、『分身刃』の男が、争っている。
影身刃の男「わしを愚弄するのか!」
傀儡刃の男「そうじゃあねえよ、ただ、端を歩きなって言ったまでだよ。デブなんだからよ」
分身刃の男「まあ、まあ。よさぬか」
傀儡刃の男「引っ込んでろ」
分身刃の男「何だと?」
傀儡刃の男「ほう、やるってのかい」
と、面袋から傀儡刃の面を取り出す。
宿場の主人「面使いの皆様。ここで騒ぎになりますと、宿場が崩壊してしまいます。何卒、宿場の外でお願いいたします」
傀儡刃の男「うるせえ、老いぼれ。それにな、オレには、ここが好都合なんだよ」
と、傀儡刃の面を着け抜刀する。
宿場の主人、操り人形のように刀から繋がった糸に操られ、分身刃の男に殴りかかる。
分身刃の男、抜刀して返り討ちにする。
宿場の主人「ギャー!」
と、血を流し倒れる。
分身刃の男、影身刃の男が、素早く面を着ける。
傀儡刃の面を着けた男、さらに刀を振り、周りの何十人もの住人や通行人を糸で操り、分身刃の男や影身刃の男を襲わせる。
分身刃の面を着けた男、何十人にも自分を分身させる。
影身刃の面を着けた男、自分の影を何十人にも分身させる。
操られた住人や通行人と分身刃の男の分身と、影の男の影の分身とが斬りあい闘う。
操られた住人や通行人『ギャー』『ぐえー』と斬られ血を流し、手足や首がなくなりボロボロになりながらも噛みつき引っかきしながら闘わされ続ける。
斬られた手は手で、足は足で、首は首で、胴体は胴体で、どこまでも操られ闘わされている。
分身刃の男の分身と影の男の影の分身が、少しずつ弱ってくる。
その分、本体の本人自身も弱っていく。
住人や通行人たち、逃げ惑う。
颯斗、ひかりが、駆けてくる。
ひかり「ひどい……」
颯斗、獅子面を着け『連斬刃』で操られている住人や通行人の糸を斬る。
ひかり「!」
操られていた住人や通行人たちが、バラバラと地面に落ちる。
口々に『ありがとう』と感謝しながら死んでいく。
颯斗「……」
と、分身刃の面を着けた男と影身刃の面を着けた男を、『連斬刃』で素早く巨大な刃を連打して何度も斬る。
分身刃の面の男「ぎゃあああ」
影身刃の面の男「ぐあ」
二人とも、分身刃の面と影身刃の面ごと斬られて事切れる
傀儡刃の面を着けた男「ひゃああ……」
と、一目散に走って逃げる。
ひかり、小面を着け、
ひかり「お前だけは許せない。地獄の苦しみの次元に行け!」
と、『裂元刃』で斬る。
傀儡刃の面を着けた男『ぎゃああああ……』と叫びながら、歪み裂けた空間に吸い込まれていく。
○道
法派の法被を着た一団が、歩いている。
律、ひり、颯斗も、いる。
颯斗「面使いなんていない方がいいのかもな」
ひかり「だから、『霊撃刃』の面打ち師を探してるんじゃない」
颯斗「どういう意味だよ?」
ひかり「『霊撃刃』は、あらゆる面使いの攻撃を無力化する面じゃない」
颯斗「う~ん、面使いが必要なくなるのと同じってことか」
ひかり「ま、たくさん、面打ちしてもらわないといけないけどね」
颯斗「そんなことできるのかよ」
ひかり「わかんない。だから、行ってみるんじゃない」
颯斗「……」
颯斗、ひかりが、無言で歩いていく。
○峠道
法派の法被を着た一団が、越えている。
その中に、ひかり、律をおんぶした颯斗が、いる。
ひかり「どうして、律を助けたの?」
颯斗「……」
ひかり「言いたくなかったら、言わなくていいけど」
颯斗「殺されたんだ。律と同じ年の弟を……面使いに」
ひかり「!」
颯斗「だから、面使いになって敵を討ってやった」
ひかり「そう……」
颯斗「そいつは強かった。何度挑んでも返り討ちにされた。その度に瀕死の目に合わされた」
ひかり「それで?」
颯斗「何度も何度も特訓して、とうとうヤツを倒した」
ひかり「大変だったのね」
律「(寝言で)颯斗兄ちゃん」
颯斗・ひかり「……」
と、律を見つめる。
○田舎の道
畑が広がっている。
法派の法被を着た一団が、歩いている。
その中に、律、ひかり、颯斗が、いる。
○村・中
法派の法被を着た一団が、歩いている。
その中に、律、ひかり、颯斗が、いる。
村人たち、家に閉じこもり出てこない。
颯斗「どうしたんだろ?」
ひかり「なにかあったのかな?」
律「!」
と、農家の少し開いた戸から見ていた女の子と目が合う。
○同・農家・中
颯斗、ひかりが、農民と話している。
律と、女の子が枝でチャンバラごっこをしている。
農民「あんたたちも、面使いなんだろ?」
と、颯斗とひかりが腰から下げている面袋を恐る恐る見て、
農民「なのに法派の法被を着てるし、女だしなにがなんだか」
ひかり「女?」
農民「いや、なんだ……」
と、しどろもどろになる。
颯斗「面使いに脅かされてるのか?」
農民「ああ。今日、年貢と称して、無理矢理、作物を奪いにくるんだ」
と、律と、枝でチャンバラごっこをしている女の子に、
農民「こら! おなごが、ちゃんばらとは何事か! おなごはおなごらしく、おとなしくしとかんか!」
ひかり「なに?」
農民「いや。その……」
ひかり「女も剣術を習えばいくらでも強くなる。その上、強い面を着ければ男に負けない」
律「ひかり姉ちゃんは、颯斗兄ちゃんより、強いんだぞ」
農民「へえ……」
颯斗、ばつが悪そうに頭をかきながら、
颯斗「どんな、面使いだ? たくさんいるのか?」
農民「どんな技使うかは知らねえけど、一人だ」
颯斗「一人?」
農民「ああ、一人だ」
○同・入口
颯斗、ひかりが、面使いを待っている。
やってくる、『時間凍結刃』の面を着けた男。
時間凍結刃の男「ほう、面使いの用心棒を、二人も雇ったか」
颯斗「そんなんじゃねえや」
と、獅子面を着け抜刀して斬りつける。
時間凍結刃の男、抜刀すると、時間が凍り付く。
颯斗も『連斬刃』も一時停止する。
時間凍結刃の男、その間に颯斗に近づく。
一時停止がとけると同時に颯斗に斬りつける。
颯斗「グワーッ」
と、腕から血しぶきがあげる。
ひかり「颯斗!」
と、小面を着け、時間凍結刃の男を斬りつける。
ひかりの『裂元刃』も一時停止して、その間に時間凍結刃の男、ひかりに近づき一時停止がとけると同時にひかりに斬りつける。
ひかり「きゃあ~」
と、足から血しぶきをあげる。
颯斗、再び『連斬刃』を振るも『時間凍結刃』で一時停止し反対の腕を斬られる。
血が噴き出る。
颯斗「「クソ!」
時間凍結刃の男「そろそろ、終わりにしてやろう」
と、『時間凍結刃』で攻撃する。
颯斗、『連斬刃』で反撃するもまたもや、一時停止する。
時間凍結刃の男、その間に颯斗の首に狙いをすましている。
時間の凍結が終わり一時停止が解け、颯斗の首に刃を振り下ろそうとした瞬間、何本もの竹槍が上空から降り注ぎ、時間凍結刃の男は、串刺しになる。
時間凍結刃の男「ぐおお……」
と、息絶える。
農民たちが竹槍を投げていたのである。
竹槍を手に農民たちが茂みから出てくる。
颯斗「助かった」
と、時間凍結刃の男の面を切る。
真っ二つに割れる面。
農民たち、駆け寄ってくる。
○同・中(夜)
農民たち、宴を行っている。
その中にいる、颯斗、ひかり。
農民たち、踊り始める。
律と女の子も踊っている。
農民「あんたたちのおかげだ」
颯斗「いや、みんなが力を合わせた結果だよ」
踊っている農民たちの笑顔。
ひかり「ところでさ。霊撃刃を打てる面師のいる村は遠いの?」
農民「!」
颯斗「?」
農民「閻魔堂へ行くのか?」
ひかり「閻魔堂って言うんだ」
農民「険しい山道だぞ」
颯斗「そんなに」
農民「子供には無理だ。大人でもヤバいからな。まあ、子供は預かっておいてやろう」
ひかり「ありがとう。ここからどのくらい?」
農民「あの、山の上だ。わしらも行ったことがないから、よくわからないんじゃが」
ひかり「ふ~ん。(颯斗に)大変そうだね」
颯斗「ああ」
踊っている、律と女の子と農民たち。
○同・前(朝)
颯斗、ひかり、法派の一団が、農民たちと律に見送られている。
颯斗「すぐ帰ってくるからな」
律「気を付けてね」
ひかり「うん。行ってくるね」
颯斗、ひかり、法派の一団が、出発する。
○山道
颯斗、ひかり、法派の一団が、歩いている。
徐々に細く険しくなっていく道。
○山道
颯斗、ひかり、法派の一団が、両側が断崖の細く延々と続く石段を登って行く。