社員インタビュー第12回:「ビジネス×学術研究」二つの役割をこなすからこそ見える“新しい領域”へ
800の親会社であるマクロミルは、2017年に滋賀大学とデータサイエンスの研究開発分野で提携。産学連携を推進してきました。
マクロミル在籍時代、滋賀大学に社会人学生として派遣され、2022年には客員研究員に着任した小西さんは、800のデータサイエンティストとして活躍する傍ら、学術的な活動も続けています。
今回は、小西さんに「学術的な活動を仕事に活かす強み」や「今後の目標」をお聞きしました。
マクロミルと滋賀大学の産学連携をきっかけに社会人学生〜客員研究員へ
ー本日はよろしくお願いします。まずは、マクロミルに入社した経緯を教えてください。
私は大学時代に社会工学を専攻しており、ゲーム理論やメカニズムデザインといった数理的アプローチによって、より良い社会システムを追究する研究室に所属していました。実は就活中も、大学院に進学するか就職するかには迷いがあったんです。
当時の指導教官に紹介してもらい、第一線で研究されている研究者のもとを訪ねて進路相談をさせてもらったりもしました。その結果、経済学を学ぶにしても、身をもってビジネスへの理解を深めてからの方が自分には合っているんじゃないかと考え、いったん就職することにしたんです。
複数の企業を検討しましたが、マクロミルのインターンを通じて「データを使って客観的に世の中を見る」という仕事の面白さを実感し、入社を決めました。
ー入社後はどのようなキャリアを歩まれたのでしょうか?
入社以降は、いわゆるマーケティングリサーチの設計や分析を担当しました。
主にアンケートの調査票を作ったり、その結果を分析して報告したりする仕事をしていましたね。その後、社会人学生として滋賀大学のデータサイエンス研究科に派遣され、あらためてデータ分析を基礎から学ぶ機会をいただきました。各分析手法を数理的にも理解できるようになりましたし、マーケティング分野以外のデータ分析手法についても学ぶことができ、データ利活用に関する知見が一気に広がりました。
無事に滋賀大学の大学院を修了した後は、マクロミルの中でも、より分析指向の強いデータコンサルティングを担当する部署に異動。データサイエンティストの仕事に携わるようになりました。
800の前身となるDMP事業本部に配属されて以降は、現在に至るまで、リサーチにとらわれないデータ利活用の推進をコンサルティングしています。
さらに2022年の後半には、滋賀大学データサイエンス・AIイノベーション研究推進センターの客員研究員に着任しました。
ー社会人学生として派遣されたことが、客員研究員の着任にもつながったんですね。そもそも滋賀大学へ派遣されたきっかけはなんだったのでしょうか?
2017年に滋賀大学にデータサイエンス学部が新設されたことをきっかけに、マクロミルと滋賀大学間で産学連携協定を結んでいました。
人材交流や講義に利用するデータの提供、寄附講座などの取り組みを進める中で、さらに新たに大学院ができるという話が持ち上がったそうです。
もともとマクロミル入社前に大学院に行くかどうかを迷っていたのは前述の通りですが、その話はずっと上司にもしていました。「いつかは腰を据えて勉強したい」という意志を汲んでいただき、声をかけてもらえた形ですね。
ビジネスと学術的活動の良いバランスがプラスに
ー現在は「800の社員」と「滋賀大学の客員研究員」。二つの役割をこなされていますよね。具体的にはどのような活動をされているのでしょうか?
800の社員としては、大手化粧品メーカー様や小売企業様、アパレル企業様など複数のプロジェクトに参画しています。業務内容はクライアントごとに異なりますが、ある企業様では顧客アンケートによって構築したセグメント属性を、購買履歴データを用いてID-POS会員に拡張展開したりしています。
また担当プロジェクト以外でも、分析に関する相談要員としてアサインされたり、分析に関する学習・研修の進め方など、個別の相談を受けたりもしています。
一方で、客員研究員としては、滋賀大学が製造業の企業と進めている共同研究プロジェクトに参画中です。修士時代の研究内容だった統計的因果探索という分野のプロジェクトリーダーとして、解析要員の役割も担っています。
ー会社員としての活動と客員研究員としての活動は、双方にどのような影響を与えていますか?
実は大学院で学び直しをする前、専門的なマーケティングリサーチの分析手法や統計学の知識が不十分という課題を持っていました。大学院であらためて、データ分析手法を基礎から体系的に学べたことで、クライアントの課題に対する視野が広がったように思います。
大学院の教員の方々とお話しする中で、最新の学術的な動向をキャッチアップできることは、仕事にもすごく良い影響を与えていると感じますね。
逆に800での仕事が学術的な活動に与えるメリットもあります。私は普段の仕事で「ビジネスの課題をどのように分析の課題に落としていくか」を考えていますが、大学院の教員の方々にとって「ビジネスの課題」は少し遠い存在かもしれません。したがって、先ほど述べた共同研究プロジェクトなどにおいては、ビジネス的な視点を私が補うことで、より良い分析の設計や研究が進められているのではないかと思います。
ー双方にポジティブな影響があるんですね。二つの役割をうまくこなすために意識していることがあれば教えてください。
ビジネスと学術的な活動のバランス感覚は大切ですね。
一つの研究を進めるに当たって、学術的に意味のあることと、ビジネス的に意味のあることの両方が成立してこそ「データサイエンス」と言えると思っています。そのため、そこが交わるポイントの見極めは非常に重要です。
たとえば、学術サイドだけでなくビジネスサイドとも議論し、そこから研究課題を見つけていくことは、意識的に行なった方が良いのかなと考えています。
ビジネスとアカデミックの世界をつなぎ、800として新たな挑戦を
ー小西さんがデータと向き合うに当たって大切にしていることを教えてください。
数理的な背景も理解して、公平に結果を読むということには気をつけています。
たとえば、ビジネスの現場では「こういうストーリーを立てて、こういうコンサルティングをしていきたい」という思いが強いあまりに、結論ありきで分析結果を読んでしまうこともあるんです。
そうならないために、分析者としては「データから言えるのはここまで」としっかり伝えますし、そこからビジネスとしてどうすべきかは、慎重に議論するようにしています。
ー今後の目標を教えてください。
まず、800の一員としては「難しい分析が必要なプロジェクトを担える組織を作りたい」という気持ちが大きいです。
私が所属しているグループでも、多種多様な分析手法を理論的な背景まで理解して扱えているメンバーは、まだまだ少ないと感じています。チーム全体の分析レベルを底上げするためのメンバー育成には、どんどん携わっていきたいですね。
また、今後も学術的な知見を高めていかないといけないのは大前提として、滋賀大学と協力した上で「学術的な知見に根ざした800独自のサービス開発」や「学会への論文投稿」など、何かしらの学術的な成果を残すことも目標の一つです。
私自身、客員研究員としての実績はまだまだ多いわけではありませんが、今後も産学連携や共同プロジェクトにおける支援には引き続き携わりたいと思っています。
ゆくゆくは、ビジネスとアカデミックの世界をつなぐ存在になっていきたいですね。
ー最後に、採用メッセージをお願いします!
800には「新しい技術や分析手法をどんどん学んでいきたい」「分析力を高めて、ビジネス的な価値を生み出したい」と思っている意欲的なメンバーがたくさんいます。
「アカデミックな領域に興味がある」「より学術的な研究を深めるためにビジネスのことを知りたい」。そういった方々に力を貸していただけると非常に心強いですし、良いチームになるだろうと考えています。
私たちと一緒にぜひ新たな領域へのチャレンジをしましょう!
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