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半導体の現況



2021年度もカレンダーベースで1Hが経過したが、やはり半導体分野は、活況であり減速感はない。突発的な生産調整があったとしても2023年までは、カレンダーベースの通期では、成長基調を示す。やはり5Gの本格的な移行と車載の需要が下支えしている。一言で5Gと言っても携帯電話に使用する半導体とインフラで使用する半導体であり、インフラ作りの半導体が今年から本格化している。携帯端末等は昨年から本格化した形で先行している感がある。

携帯端末の半導体は、無線通信と各種ソフトやアプリを管理するアプリケーションプロセッサー、そして、大容量のソフトやアプリ、画像等を記憶するメモリー、認証用のセンサーやCMOSイメージセンサー等、様々な半導体が使用されている。当然、パワー半導体も使用されている。年間台数は、14億台が一つの目安となっている。ここにスマートウオッチやタブレットが上乗せされるわけで、産業規模は極めて大きいものの、民生品につき、価格競争力も試される分野。本格的なミリ波対応の5Gの携帯端末は、販売当初こそ値落ちはしないが、通信規格が定着した時点から価格が問われ出す。ただ、規格内でもアップグレードが5Gでも想定される為、4Gのように4Gから4GLTE、そして、4G LTE-Aから4G LTE-APと言った具合に5Gも進化する。アンテナの数は4Gの16個から5Gでは最大256個と格段に増加されている。

ミリ波が本当に必要とされるのは、FA(ファクトリーオートメーション)、自動運転、メディカル等である。機械的な動作や健康状態をいち早く感知し、適切なコマンドを指示する為にロスタイムをなくすことが肝となる。一刻の遅延が事故や誤作動、人命に関わるからである。携帯端末も数千の通信情報とやり取りをするが、それはサービスの向上に繋がるもので、利用者に利便性をもたらすもの、火急を要するものではない。既存の4G LTE APでも十分である。このロスタイムを1/10秒まで短縮できることが5Gの最大のメリットであり、それを可能とするのがオシレーターというセンサーだ。ようはタイマーのようなもので遅延なく指示を送ることを可能とする振動子。まさに日本のお家芸ともいうような技術である。大真空、日本電波工業、リバーエレクトロ二クス、オムロン、オプテイックスグループ、昭和真空が筆頭格である。このセンサー技術は携帯端末のみならず、インフラにも使用されている。当然、車載でも活用されており、車間距離を維持するためのものや、車間距離が接近すると警告を鳴らすものである。よくLiDAR(Light Detection And Ranging)という言葉を耳にすることがあるが、これは、レーザーを照射し、障害物に当たり跳ね返る距離とスピードにより距離や障害物まで距離、そして位置情報を計測する技術である。今後、すべての車にミリ波レーザー、LiDAR、センサー、そして360度を見渡せるCMOSイメージセンサーが搭載され、1台の車に8台のカメラが搭載される。盗難防止の為のキーレス、指紋センサー、顔認証もそうだ。完全自動運転が可能となれば、一台の車に30万円相当の半導体が使用されるが、世界の乗用車が年間1億台売れた場合、それだけで30兆円産業になることは想像ができるはずである。2020年こそ、7,700万台程度に販売台数はとどまったが、チップ不足が影響したもの。各自動車メーカーは、コロナの影響を危惧して半導体の生産台数を減らしてしまったのだ。1つの半導チップは、一層形成するのに1日要する。30層なら30日である。また、下方してしまったが故に、各半導体メーカーは需要が旺盛な5GやCPUに生産をシフトしてしまった。これは、車載メーカーの大きな誤算であった。

携帯端末の5G対応半導体は昨年より好調だが、それを演算し、指示を送り、保管するエッチサーバーや社外に設置されるクラウドサーバーのインフラに使用する半導体は絶好調である。エッジサーバーは、工場等に設置され、いち早く装置に指示を送る為の室内型サーバー。処理したデータは、後にクラウドサーバーにゲートウエイを通り転送される。

5Gのインフラに欠かせないのがアンテナの存在である。5Gは高周波ゆえ、伝送距離が短く、その直進性から障害物に弱い。それを克服するため、アンテナの数も膨大に設置される。看板や信号機、ビルの外部等に無数のアンテナ網が引かれることになる。これをマッシブMIMOと呼ぶ。5Gの要素技術で送受信アンテナの数を大量に増やした上で、通信経路の安定化と高速化を図る技術である。すでに最大256個のアンテナが準備されているが、この手の小型アンテナメーカーである電気興行、日本アンテナは目が離せない。また、通信工事を担う、CTSや、アキバ、NESICも注力すべき。インフラの通信工事には、膨大な資金が動く。また、通信基局地建設では、共和エクシオ、コムシスホールデイングも恩恵を受けるはずである。
5Gは、まだ初動の段階でこれから本格化する。日本でこの大がかりな事業の先頭に立つのがNTTであり、その息子、三兄弟と言えるのがNEC、富士通、沖電気である。5Gの大型アンテナが製造できるのは、NECと富士通である。ただ、考察するにNECがアンテナとインフラ、富士通が量子コンピューター、沖電気が5G周辺の半導体と役割が明確化されている。

次回は、分野別の半導体の成長率につき、より具体的に書きたいと思います。


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