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2022読了本①
逢坂冬馬の「同志少女よ、敵を撃て」
ビジュアルや内容に惹かれ、昨年末から読みすすめていた作品。独ソ戦が激化する時代。家族らを惨殺された少女の復讐への戦い。
評判どおり、これがデビュー作とは思えない熱量と力乗る筆力。戦場の臨場感と緊迫感に圧倒されるクライマックス読み応え十分だった。
米澤穂信の「黒牢城」
直木賞受賞に、本屋大賞ノミネートもしており話題作。
とはいえ、時代小説は苦手なのだが、何年か前に観た大河ドラマ「軍師官兵衛」が抜群に面白く、今回はそこが舞台だったうえに
米澤さんである。
今作、荒木村重の有岡城で起こる不審な殺害事件の真相を紐解いていく、歴史物なのにミステリー、米澤さんらしいなあ、上手いなあと感心する面白さ。
知念実季人の「硝子の塔の殺人」
本屋大賞ノミネートであり、帯の綾辻さんの「ああ、びっくりした」という一言に惹かれて。本格ミステリーを読んだのはいつ以来かな。タイトルどおりの連続殺人密室劇。
最初から犯人の分かっている倒叙ものかと思っていたら、意外な方向に話は進む。ミステリー好きによる、ミステリー好きのための、そんな要素がビッシリ詰まった作品。
砂川文次の「ブラックボックス」
久々に芥川賞作をほぼリアルタイムで読む。
責任が少なく自由ではあるが、非正規労働者の分かりづらく生きにくい社会への苛立ちが人生の転落を呼び寄せる。
最初は爽やかな話になるのかな、と思っていると、自分と向き合う闇の深さとかやっぱり芥川賞は芥川賞らしい内容だな、と読みすすめてしまう。