#25【ホーム・アローン2】ep.1「シーズンものはベタに限る。わかりやすいは正義です」
※この記事はPodcast番組「映画にみみったけ」内のエピソード#25にあたる内容を再編集したものです。
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【ホーム・アローン2について】
1992年公開
監督:クリス・コロンバス
音楽:ジョン・ウィリアムズ
作曲家作品
おしゃれ泥棒
屋根の上のバイオリン弾き(アカデミー編曲賞)
ポセイドン・アドベンチャー
ロング・グッドバイ
タワーリング・インフェルノ
ジョーズ(アカデミー作曲賞・グラミー賞受賞)
ジョーズ2
スター・ウォーズ(アカデミー作曲賞・グラミー賞受賞)
スター・ウォーズ/帝国の逆襲(グラミー賞受賞)
スター・ウォーズ/ジェダイの復讐
スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス
スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃
スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐
スター・ウォーズ/フォースの覚醒
スター・ウォーズ/最後のジェダイ
スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
未知との遭遇(グラミー賞受賞)
スーパーマン(グラミー賞受賞)
レイダース/失われたアーク《聖櫃》(グラミー賞受賞)
インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
インディ・ジョーンズ/最後の聖戦
インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
インディ・ジョーンズ5(2023年公開予定)
E.T.(アカデミー作曲賞・グラミー賞受賞)
ホーム・アローン
ホーム・アローン2
JFK
ニクソン
リンカーン
フック
ジュラシック・パーク
ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク
シンドラーのリスト(アカデミー作曲賞・グラミー賞受賞)
プライベート・ライアン(グラミー賞受賞)
A.I.
ハリー・ポッターと賢者の石
ハリー・ポッターと秘密の部屋
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
マイノリティ・リポート
ターミナル
宇宙戦争
SAYURI(ゴールデングローブ賞受賞)
タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
(その他)
1984年 ロサンゼルスオリンピック:『オリンピックファンファーレとテーマ』(グラミー賞受賞)
1996年 アトランタオリンピック:『サモン・ザ・ヒーロー』
2002年 ソルトレイクシティオリンピック:『コール・オブ・チャンピオン』
登場人物
ケビン・マカリスター:
主人公。8歳の少年。
ケイト・マカリスター:
ケビンの母。
ピーター・マカリスター:
ケビンの父。
バズ・マカリスター:
ケビンのいじわるな兄。
鳩おばさん:
ニューヨークで暮らすホームレスの女性。
E・F・ダンカン:
おもちゃ屋の経営者。ケビンにキジバトの飾りをプレゼントする。
ヘクター:
ホテルの接客係。ケビンのクレジットカードが他人のものであると見抜く。
セドリック:
ホテルの荷物係。チップをせびる癖がある。
ハリー・ライム:
前作でケビンの家を狙った泥棒。今作ではおもちゃ屋の襲撃を計画する。
マーヴ・マーチャント:
前作でケビンの家を狙った泥棒。少し間の抜けたところがある。
あらすじ
クリスマスを目前に控えた日のシカゴ。
前作で子供を一人家に残したまま旅行に行ってしまったマカリスター家ですが、今度はフロリダ行きの旅行を計画していました。
そんな一家の末っ子でまだ8歳の少年ケビンくんは、雪の降らない温暖なフロリダへの旅行にはあまり気乗りしないようです。
その日の夜。ケビンくんはクリスマス祭の最中に兄のバズくんと喧嘩をして、舞台を台無しにしてしまいます。
両親に叱られるも「自分は悪くない」と意地を張るケビンくん。罰として屋根裏で眠るよう言いつけられてしまいます。
屋根裏で一人寂しくケビンくんは、好きなところへ一人で自由に旅することを願います。
出発の朝。寝過ごしたせいで大慌てで家を出たマカリスター家の一同は、今度はなんと空港でケビンくんとはぐれてしまいます。
前を走る男性の後ろ姿を父親と勘違いしたケビンくんは、そのまま別の便のゲートをくぐります。
空の旅を終えて空港に到着したケビンくんは、ここでようやく間違いに気づきます。
そこはフロリダではなく、大都会ニューヨークでした。
念願の自由を手に入れたケビンくんは、カバンに入っていた父親のクレジット カードを使ってホテルのスイートルームを満喫します。
しかし楽しい時間はそう長くは続きませんでした。
前作で自宅に押し入った泥棒の二人組が脱獄し、おもちゃ屋での強盗を計画していると知ってしまったのです。
またしても家族と離れ離れになってしまったケビンくんの泥棒撃退作戦が始まります。
【メインテーマではないっぽいけどほぼメインテーマな感じの曲】
すごくあやふやなタイトルですが、
00:22
ホームアローン2のタイトルロゴの時に演奏されている楽曲が一応メインタイトルだと思われます。
ただ「サムウェア イン マイ メモリー」という楽曲の方が圧倒的に演奏される機会が多いです。
アップルミュージック ホームアローン 2:ロスト イン ニューヨーク(オリジナル スコア)1曲目に収録されている「サムウェア イン マイ メモリー」なんですけれども、itunes storeで購入しないと聴くことができないので、映画を見た時かホームアローン(25th アニバーサーリー エディション)[オリジナル モーション ピクチャー サウンドトラック]1曲目1:32からでも近い楽曲を聴くことができます。
正確にはこのバージョンはホームアローン1なので、演奏やアレンジ、楽器構成や音の定位なんかが違いますが、楽曲自体は一緒なのですぐに聴きたい方はこちらを聴いてみるのもありですね。
楽曲の一部ですがこうでしたね。
(演奏)
本当にいい曲ですね。
楽曲は劇中で幾度となく演奏されます。
この楽曲の他に悪役のライトモチーフとクリスマス スターという楽曲、スター オブ ベツレヘムという楽曲、ウィー オーバー スレプトという楽曲それとソースミュージックとポピュラーミュージックがこの映画の大きな要素を担っています。
ライトモチーフに関してはシーズン1の#1で、ソースミュージックはシーズン2の#7で詳しくやっているので、そちらも興味があれば聴いてみてください。
話は戻って、ほかにももちろんあるのですが、実際はこの5曲+ソースミュージック、ポピュラーミュージックでこの映画は出来上がっているといっても過言ではありません。
まず悪役のライトモチーフに関しては後半で詳しくやろうと思います。
クリスマス スターはケビンくんが星をみて心の中で願いをいう時のライトモチーフのような働きをします。これは次回詳しくやろうと思います。本当にいい曲で、今回のメインといってもよさそうです。
スター オブ ベツレヘムはネガティブな感情の時に演奏される、ライトモチーフのような役割をになっていて、これも次回詳しくやろうと思います。
ウィー オーバー スレプトは今回は取り上げないのですが、この映画を代表すると言ってもいいような、家族が寝坊をして大慌てで準備をするシーンで演奏されます。今回は空港で急いで搭乗口まで走る間演奏されています。いわゆるコメディ音楽として作曲されていますね。
ソースミュージック、ポピュラーミュージックは劇中ケビンくんの動向に合わせるように演奏が入ります。
そしてなにより、ホームアローン1で演奏された楽曲がクリスマス スターを抜いた4曲です。
メインテーマ以外の楽曲がこんなに多く演奏されることはあまりないのですが、それがこの映画音楽の良さと言えます。
1を観た人からすると、展開としては一緒っちゃ一緒なんですが、ニューヨークにひとりぼっちという設定や思いがけない裏のテーマと呼べる、ケビンくんが成長する一歩となる出来事が多く登場します。
1では描かれなかったテーマが、展開が一緒であるがゆえに浮き彫りになっています。
しかし、クリスマス映画であり、コメディ映画なのでいつもの展開が嬉しかったりもしますね。
なにより、1でも使われた楽曲はアレンジしなおされているのが、なによりもすばらしいです。
そして、サムウェア イン マイ メモリーはケビンくんにまつわる事が動機で演奏されます。
この映画はいくつかの音楽的動機で作られていまして、それがコメディ音楽、スニーク(隠密)音楽、チェイス音楽、バラード(ポジティブとネガティブな)、悪役のライトモチーフ、それとソースミュージックですね。
これらが絡み合うようにシーンに合わせて演奏されます。
この動機を除いたケビンくんにまつわる時にこのサムウェア イン マイ メモリーが演奏されます。
なのでサムウェア イン マイ メモリーは演奏される機会が圧倒的です。
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今回はシーンごとでの紹介は省きますが、圧巻の32回演奏されます。
これはシーズン7 #21でやったスパイダーマンをも凌ぐ回数です。
しかし、シーンによってはガッツリ演奏されるというよりもフレーズだけを使うことも多々あります。
例えば、泥棒2人とおもちゃ屋の前で偶然にも出会ってしまったケビンくんは大声を上げて逃げます。
この際チェイスになるのですが、ケビンくんのカットと泥棒のカットが交互に描かれます。
その際ケビンくんのカットになった時のみフレーズが演奏されることがあります。
基本的にはチェイス音楽なのですが、その中でフレーズのみが演奏されるのは、どちらが優勢かであったり、どちらがフューチャーされているかが動機となっています。
このように先ほどのコメディ音楽、スニーク(隠密)音楽、チェイス音楽、バラード(ポジティブとネガティブな)、悪役のライトモチーフ、これらに合わせるように演奏されることもあるこの曲が映画の大半を占めています。
ですので、この映画音楽は非常にシンプルに、かつわかりやすさを重視して書かれていることがわかりますね。
そして音楽的仕掛けのうちにクリスマスらしさを表現するために、随所にスレイベルという楽器が使われています。
こういった音ですね。
(スレイベルを演奏)
この音が圧倒的にクリスマス感を演出しています。
この他にもグロッケンシュピールやウィンドチャイムといった楽器で煌びやかで軽やかな音は登場しますが、やはりスレイベルが入るだけでクリスマス感が出ます。
これはこの映画に限った事ではなく、非常によく使用される楽器です。
もちろんPOPSでもよく使われるので、クリスマスに関連する作品を聴いたり、観たりした際は少し注視してみると面白いと思います。
例えば、サムウェア イン マイ メモリーにスレイベルの音を重ねるとこう聴こえます。
(一部とスレイベルを演奏)
【泥棒のテーマ】
今回の名悪役として登場するのが、泥棒のハリーとマーヴです。
素晴らしい演技とキャラクター性を兼ね備えた二人がいなければ、映画は成り立たないといっても過言ではありません。
この二人は1にも登場し、今回は脱走して再びケビンくんの敵として登場します。
そして重要な2人にもライトモチーフが用意されています。
(メロディを演奏)
非常に簡潔ですが、どこか怪しげでしつこそうな、小悪党感のあるメロディですね。
もちろんたくさん演奏される機会があります。
いくつかピックアップしてみていきたいと思います。
まずは、
10:20
前作で捕まったハリーとマーヴが脱走した記事が載っている新聞がドアに張り付くシーンで演奏されます。
ここはメロディが断片的なフレーズとして演奏されます。
このメロディは覚えやすいので、1を観た方は新聞に何が書かれているかわからなくとも、ハリーとマーヴであることがわかってしまいます。
ライトモチーフとしてこれ以上ない手法ですね。
23:02
魚を詰んだトラックの荷台に脱走したハリーとマーヴが初めて登場するタイミングで演奏されます。
そこでこの2人がどういった人物なのかを説明するためのシーンでそのまま演奏されます。
このシーンは少し面白くて、ハリーとマーヴのシーンの間にわざわざ鳩おばさんとの初対面のシーンが入ってきます。
もちろんここでは泥棒のテーマは演奏されないのですが、その後にまたハリーとマーヴのシーンに戻ってきます。
このタイミングでわざわざ鳩おばさんを登場させたのは、悪役であるかのように見せるためでもあるように感じます。
それで悪役ではないことがのちにわかった時、ギャップ萌ですね。
まあ前作のスコップおじさんと近い手法です。
ここはみていてわざわざこのシーンなんだと感心してしまいました。
50:26
玩具屋の下見をしたハリーとマーヴが、玩具屋から出てきてケビンくんを見つけるシーンです。
ここはお店から出てきた時に演奏が始まります。
そしてケビンくんを見つけた時に、サムウェア イン マイ メモリーのフレーズが演奏されますね。
その後チェイスが始まり、その際も泥棒のテーマとサムウェア イン マイ メモリーがシーンに合わせて何度も演奏されます。
このシーンの泥棒のテーマからサムウェア イン マイ メモリーの流れがサムウェア イン マイ メモリーという楽曲がケビンくんのために演奏されていることがわかる重要なシーンですね。
1:19:21
ここでは閉店後の玩具屋にハリーとマーヴが忍び込んでいた時に演奏されます。
この時の演奏がこのテーマの真骨頂のようですね。
いわゆるスニーク音楽(隠密)のアレンジがされています。
このアレンジが非常に相性のいいテーマですね。
このシーンの始まりが閉店後の玩具屋なんですけど、少し怖い雰囲気で描いているのが印象的ですね。
こう言った細かい怖い雰囲気をハリーとマーヴにしっかり与えているのが、大人も子供も楽しめる仕掛けですよね。
1:24:21
空き家に追い詰めたと思っているハリーとマーヴはケビンくんに証拠のカメラを投げれば、お前の前には一生現れないと交渉を持ちかけます。
そこでカメラではなくレンガを投げマーヴの頭部に命中します。
これは普通にマーヴが頑丈すぎですよね。
そんなマーヴがピヨってる状態の時に演奏されます。
この後から、改装中のおじさんの家で「オペレーションホーホーホー」と名付けたクリスマス作戦が始まり、その間泥棒たちは罠にハマりにいく度に演奏されます。
ここが一番演奏の機会が多く、映画でも見せ場となる場面ですね。
1:45:53
2人は捕まり連行されていくところで最後の演奏になります。
なんだかトホホなかんじで退場していくのが、最後までキャラクターらしくていいですね。
泥棒のテーマまとめ
この2人がいないとこの映画は始まらないということで、名悪役の2人には しっかりとテーマが用意されていました。
これぞライトモチーフといった使い方でしたね。
キャラクターの登場や場面に合わせた使用が、この映画の音楽がシンプルかつわかりやすいという点で映画にも合っていますね。
【エンディング】
今回は前半の「サムウェア イン マイ メモリー」ではケビンくんのテーマと言えるような仕掛けになっていました。
そして後半では「泥棒のテーマ」ですね。
この映画は1でもそうでしたが、クリスマスにひとりぼっちの賢いケビンくんと抜けてる2人組の泥棒との対決が、最終的に怖かった大人の手助けにより勝利する。ざっくりいうとそういう話ですが、この仕組みをしっかりみせるため、音楽的にはシンプルな構成にしているのがおもしろいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
映画にみみったけ、放送時のパーソナリティはヨシダがお送りいたしました。
podcastのエピソードは毎週日曜日に配信中ですので、そちらでもまたお会いいたしましょう。
ではまた!
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