#110【リロ&スティッチ】ep.2「アラン・シルベストリという音楽家の素晴らしさ」
※この記事はPodcast番組「映画にみみったけ」内のエピソード#110にあたる内容を再編集したものです。
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【リロ&スティッチについて】
2002年公開(日本2003年公開)
監督:クリス・サンダース、ディーン・デュボア
音楽:アラン・シルヴェストリ
サウンドトラック
登場人物
リロ:
ハワイ・カウアイ島に暮らす少女。
スティッチ:
ジャンバ博士に生み出された生物兵器。地球のカウアイ島に不時着する。
ナニ・ペレカイ:
リロの年の離れた姉。両親の死後、一人でリロを育てる。
ジャンバ・ジュキーバ博士:
スティッチを作り出した博士。
ウエンディ・プリークリー:
地球の専門家のエイリアン。蚊の絶滅を防ぐため地球への攻撃に反対する。
議長:
銀河連邦の議長。スティッチを連邦から追放する決定を下す。
【前回の振り返り】
前回はハワイアンな楽器と、劇中で使われていたエルヴィス・プレスリーさんの楽曲をみてきました。
ハワイアン楽器は歌曲で使われていましたね。
ウクレレやイプ、スチールギターなどの紹介をしました。
それぞれの楽器が登場したシーンや楽器自体の紹介をしました。
それと劇中で使われていたエルヴィス・プレスリーさんの楽曲をみてきました。
主人公であるリロちゃんが、プレスリーさんの大ファンということでしたね。
プレスリーさんの楽曲や演奏されていたシーンを紹介しました。
シーンにあった歌詞や楽曲のチョイスが素晴らしかったですね。
リロちゃんがキング・オブ・ロックンロールと呼ばれるプレスリーさんのファンであるのはとてもいい設定ですよね。
【アラン・シルベストリさんらしいブラスセクション】
ということで、今回はアラン・シルベストリさんらしいブラスセクションについてみていこうと思います。
アラン・シルベストリさんはこのポッドキャストでも何度も取り上げている音楽家です。
とりあげたのは、BTTFやレディープレイヤー1、アベンジャーズインフィニティーウォーとエンドゲーム、ナイトミュージアムなどをやりました。
たくさん取り上げているのは、僕が個人的に大好きな音楽家だからです。
今年に入って初でしたね。
一年に一回は取り上げたいと思っているのですが、作品には限りがありますもんね。
そんなアラン・シルベストリさんなのですが、やはり特筆すべきはブラスセクションです。
今一度ブラスセクションとはこのような音のセクションです。
(ここは演奏)
いわゆる金管楽器ですね。
この力強く明るい音が特徴といえますね。
アラン・シルベストリさんはこのブラスセクションがとても印象的です。
印象的と言ってもなにか変わったことをやっているわけではなく、王道にかっこいいんですよね。
そんなアラン・シルベストリさんのブラスがとてもよく聴けるシーンを紹介したいと思います。
これは完全に僕の趣味全開でかなりマニアックな回になっています。
しかも今回のリロ&スティッチはOST自体はあるのですが、すべての楽曲が収録されておらず、劇中でしか聴くことができない楽曲もあります。
だからこそ今回取り上げていこうと思います。
ブラスセクション シーン1
まずは軽いところから行くと、
4:02
捕まったスティッチを乗せた宇宙船が発進するシーンです。
発進時には、非常にヒロイックなサウンドが演奏されているのですが、その後どこか不安な印象を与える音楽へと変わっていきます。
宇宙船の発進という映像に合った力強いブラスセクションがとてもいいですね。
それとこれはあくまで個人的な考察ですけれども、先ほどどこか不安な印象を与える音楽へと変わっていくという話をしましたが、その仕掛けがどこかスターウォーズっぽく聴こえるんですよね。
スターウォーズに登場するヴィラン、銀河帝国や銀河共和国、通商連合などダースベイダーやダースシディアス側ですね。
その音楽に近い作り方がされているように感じます。
これはあくまで一個人の感想ですよ。
しかしわざとリスペクトを含めたオマージュをしているように感じます。
実際この冒頭のスティッチが逃げ出すまでの、宇宙が描かれている時の音楽は非常にスターウォーズ的です。
音楽が地続きで繋がっていたりとか、作曲の構造がですね。
スターウォーズの音楽が気になった方は、S2#63,64でスターウォーズ ファントム・メナスをやっておりますので、ぜひ聴いてみてください。
この冒頭の宇宙のシーンは意外と気にしてみると確かにとなるかもしれません。
ブラスセクション シーン2
と少し話は脱線しましたが、次にこれぞアラン・シルベストリさんといったブラスセクションが登場します。
5:36
スティッチがパトロール艇を奪い逃亡するシーンです。
これはBTTFを彷彿とさせる、ブラスセクションですね。
先ほどのシーンとは地続きで演奏されているのですが、ここで一気に雰囲気を変えます。
スティッチが楽しそうにパトロール艇を操縦していて、ブラス一本、おそらくこれはフレンチホルンですかね。
一本で冒険感や快活さ、明るさなどを表現しちゃってます。
もちろんストリングスも演奏されているのですが、それよりも空を割るようなブラスセクションは一聴の価値ありですね。
ブラスセクション シーン3
次は映画後半です。
1:01:08
スティッチを作ったジャンバ博士とリロちゃんたちの家で戦っているシーンです。
家はすっかりめちゃくちゃになってしまうのですが、助けに入ったリロちゃんを助けるようにスティッチが博士を投げ飛ばすシーンです。
やはりこのような英雄的なシーンでブラスセクションは合いますね。
そして弾けるようなブラスセクションが映像と合わさることで、よりスティッチの活躍が目立ちます。
こういったシーンは音楽があることで、暴力的に見えすぎず、観客の感情に寄り添いやすいですね。
ブラスセクション シーン4
この後からはかっこいいブラスがたくさん登場します。
観ているだけで、かっこいいブラスの宝庫なのですが、その中から抜粋すると、
1:08:54
銀河連邦に捕まってしまったリロちゃんを救出するために、スティッチたちが宇宙船で現れるシーンです。
ここも今まで同様、ポジティブな意味を含んだブラスサウンドになっています。
音の明瞭さや、演奏のテンポ感、これぞアラン・シルベストリさんの出せる技ですね。
ここで演奏されたフレーズというのは、リロちゃんを救出する戦闘中、ポジティブなシーンで演奏されます。
この戦闘中に演奏されている楽曲のポジティブな状況における、ライトモチーフのような効果がありますね。
この楽曲はOSTで聴くことができます。
アップルミュージック リロ&スティッチ OST 10曲目に収録されている「救出に向かうスティッチ」という楽曲の2:58あたりで演奏されているのが、ポジティブなシーンで演奏されているブラスサウンドになります。
概要欄にアップルミュージックのURLを貼っておくので、気になった方はぜひ聴いてみてください。
ということで、アラン・シルベストリさんらしいブラスセクションをみてきました。
映画でしか聴けない楽曲もあるため、ぜひ映画を観た際は少し気にしてみると面白いと思います。
【こっそり演奏されている音】
先ほど話した、銀河連邦に捕まってしまったリロちゃんを救出するために、スティッチたちが頑張るシーンで演奏されていたブラスセクション、戦闘中に演奏されている楽曲のポジティブな状況における、ライトモチーフのようなといってたところですね。
この時に演奏されているフレーズというのはこのようなフレーズなのですが、
(ここは演奏)
このフレーズは映画後半の銀河連邦との戦闘シーンでたくさん演奏されているのですが、それ以外でも実は演奏されています。
ただ、戦闘シーンで使われていたような、勢いのある音ではなく、フレーズだけこっそり引用して演奏されています。
そんな隠れミッキーのような、こっそり演奏されている音をみていこうと思います。
こっそり演奏されている音 シーン1
まずは、
25:54
スティッチがハワイのカウアイ島に不時着してすぐ、トラックに轢かれた保護犬を収容しておく施設で目を覚ますシーンです。
ここは初見では気づかないですね。
目を覚ます時に演奏されています。
その時はこのような変更がされていますね。
(ここは演奏)
聴こえ方はまったく違うのですが、先ほどのフレーズと同じです。
シーンに合わせた変更が加えられたというわけです。
こっそり演奏されている音 シーン2
次に
29:46
リロちゃんの友人たちと話していると、ジャンバ博士たちに監視されていることに気づき、スティッチが自転車を奪って逃走するシーンです。
ここでもまた大きな変更が加えられています。
こんな感じですね。
(ここは演奏)
少しおっかない感じですね。
フレーズ自体に勢いがあって明るいイメージですが、アレンジを変えるだけでこれだけの違いを生むことができるんですね。
非常に卓越したアレンジです。
こっそり演奏されている音 シーン3
次に
37:44
スティッチはリロちゃんに壊すんじゃなくて、何か作ってみたらと言われ、部屋のもので何かを作り始めるシーンです。
ここでは軽やかにアレンジされて演奏されています。
こんな感じですね。
(ここは演奏)
これまた全然違うアレンジですね。
部屋のものでサンフランシスコを再現するのですが、さっさか作っている感じが伝わってきます。
こっそり演奏されている音 まとめ
これらのシーンで演奏されていました。
全てスティッチに関連して演奏されていましたね。
それ以外のシーンで演奏されていないことから、これはスティッチのライトモチーフとしての機能もあるようです。
そしてさまざまな楽器の違いや音の高さを変えることで、映画後半、戦闘シーンで演奏されていたフレーズとは違う見せ方で、演奏し分けていました。
1つ目のシーンでは、目を覚ますまでは低い弦楽器、目を覚ましてからは高い木管楽器でわけていたり。
2つ目のシーンでは、低音で重苦しく敵から逃げる時に演奏されていたり。
3つ目のシーンでは、せっせか動き回っている様子を軽やかな高音の木管楽器で演奏がされていたりと、シーンごとの書き分けをしてまで、このフレーズを観客に聴かせておきたかったわけです。
それは、最後の戦闘シーンで、より劇的にスティッチが勇敢に戦ってくれていることがわかる仕掛けになっていたわけですね。
音による伏線のように、観客はそのフレーズを知らず知らずに聴いているため、全く新しいフレーズとして認識せず聴くことができて、映画全体の統一感も増すことができる仕掛けになっていました。
【エンディング】
ということで、2回に渡ってリロ&スティッチをやってきました。
映画としては、ミュージカルというわけではなく歌曲やソースミュージックが多い作品でした。
しかし今回やったアラン・シルベストリさんらしい音楽性をたくさん聴くこともできましたね。
映画もハワイの海や植物が夏らしくてとてもいいですね。
今年の夏は暑いので、涼しい部屋で映画を観るのにちょうどいい作品でした。
ということで、サブスクリプションでは、リロ&スティッチとアビスという映画をやるので、ぜひ興味がありましたら聴いてみてください。
サブスクリプションでは過去の特別エピソードも聴き放題で初月無料、月額300円で聴くことができます。
そして次回は、プラダを着た悪魔をやろうと思います。
悪魔と言っても怖い映画ではなく、ジャーナリスト志望の主人公が、悪魔のような最悪の上司の下で前向きに頑張る姿を描いたストーリーですね。
音楽はアメリカの音楽家セオドア・シャピロさんですね。
それと番組のフォローとXのフォローも励みになりますので、よろしくお願いいたします。
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info@eiganimimittake.comにてお便りお待ちしております。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
映画にみみったけ、放送時のパーソナリティはヨシダがお送りいたしました。
podcastのエピソードは毎週日曜日に配信中ですので、そちらでもまたお会いいたしましょう。
ではまた!