見えないもので魅せる
『そこには何もいない』
今、読者の皆さんの目線はあげた先には、何も存在せず、ただ無色透明・無味無臭の空気が漂っているだけという確信はありますか?
ホラーというジャンルは,観客を驚愕させ、恐怖に陥れるは鉄則のようなものですよね
残忍な化け物、仲間に紛れたサイコパスや殺人鬼、現実とはかけ離れたい空間…。ホラーという分野の目的を果たすべく様々なシチュエーション、キャラクターを出現させます。
今回、ご紹介する映画は、その中でも「撮影方法」を巧みに扱ったホラー映画
『透明人間』
です。(詳細は、一番最後に記載しています)
「透明人間」というキャラクターを最大限に生かした演出
「透明人間」は、ホラー以外の様々なジャンルで活躍するキャラクターであり、その名の通り、非常にシンプルな「見えない」という特徴を持っています。
『姿形は見えずとも、確かにそこには「誰か」がいる』
そこに、その「誰か」が自分を襲ってくるという状況を加えるだけで、ホラーとして、その物語は成立します。
ただ、あまりに馴染み深いキャラクターゆえに、その行動や驚かせ方は容易に予測することができてしまいます。
その観客の予測を逆手に取った映画です。
どれだけ透明人間の行動を予測していたとしても無駄です。
「透明人間がいる」という事実を植え付けられたら最後、私たちは最後まで、主人公と共にその恐怖と緊張感を共にしなければなりません。
この映画には、次節、主人公や登場人物のいない、日常風景の映像が挟まれています。
ただ、「そこには誰もいない」確証が得られなくなってしまうのです。
このような状態に陥った最後、何の変哲もない場面の全てに緊張感を覚え、その恐怖を存分に味わうことができます
必然を生み出す
映画を鑑賞後、個人的に少し気になったことがありました。
「主人公の行動に違和感がない」
このことは、映画をまだご覧になっていない方にもぜひ鑑賞前に知って置いて損はないだろうと思います。
もちろん、主人公の言動や性格に難点があります。(これはまたの機会に詳細を書けたらと考えています)
これとは、別の「違和感」の無さです。
よく映画を見ていると、
「主人公、バカだなー」
「何でそんなことしたんだ?」
「その武器どっから持ってきた?」
のようなことを思うことは、多くの人があると思います。
このようなことが、観客に思われてしまう原因としたは、各場面として主人公に無理にでも、起こさせたい行動があることに原因があることが多いように考えられます。
そこで、本映画が取り入れたのは、
主人公が特定の行動を行うにあたって、「必然的」にみせるための要素を頻繁に隠しています。
詳しく例を挙げるとネタバレになってしまいますが…
これから先起こり打つことを、観客に予兆させることなく、種明かししながら物語を進めているような感じです。
伏線、謎解き、ミステリーがお好きな方は、楽しめるような映画ではないかと思います。
ただ、そこに透明人間がいる可能性もお忘れなきよう…
今日の映画:「透明人間」(リブート作品)
主演:エリザベス・モス 監督:リー・ワーネル(代表作品:ソウ)
公式ホームページ;https://toumei-ningen.jp