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【ラスト5分の急展開】「ワンダヴィジョン」第3話最速レビュー 不穏さは回を追うごとに濃く深く

 「ワンダヴィジョン」は、「アベンジャーズ エンドゲーム」(2019)の1年半後の世界を舞台に、スカーレット・ウィッチことワンダ・マキシモフ(エリザベス・オルセン)とヴィジョン(ポール・ベタニー)の姿を描くドラマシリーズ。

 マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のフェーズ4の幕開けを飾る本作では、コメディ作品の幸福に満ちた雰囲気から徐々にホラー映画のような不穏な空気が漂い始めるという、マーベル・スタジオらしい衝撃的&壮大な展開が待ち受ける。

 映画.comでは、「三度の飯よりマーベルが好き」な編集部員の尾崎秋彦とクチナシ、広告担当の蛯谷朋実が、毎週「ワンダヴィジョン」を配信開始と同時に鑑賞&オンライン座談会を実施。リアタイするガチ勢の皆さまはもちろん、ちょっと興味あるな……という皆さまも、ぜひお立ち寄りください。

 今回は、1月22日午後5時に配信された、第3話「カラー放送」について語っています。

<第3話あらすじ>
ワンダことスカーレット・ウィッチの新たな物語。過去にアベンジャーズたちを脅かすほどの強大な力を見せたワンダことスカーレット・ウィッチ。ヒーローとして多くの可能性を秘めながらも、大切な人を失ったつらい過去を抱える彼女を、マーベル・スタジオ社長のケビン・ファイギは「ワンダほど痛みやトラウマを経験したキャラクターはいない。そして彼女はMCU史上最も強いパワーを秘めたヒーローだ」と語っている。いまだ謎に包まれた彼女の新たな物語の行方は……?

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クチナシ 第3話、ようやく本題に入ったなって感じでしたね! 物語が動き出したなと。

尾崎 いや~~~、今回もめちゃくちゃ不穏で良かった。

蛯谷 とりあえず「早く続きください!!!!!!!!」(笑)。いやー、ごりごり動きましたね、第3話。

クチナシ ここからの展開のスピード凄そうですよね。

尾崎 第1話が起、第2話が承だとすると、第3話は転にあたりますね。それもただの転ではなく、それこそヴィジョンのダッシュなみの猛スピードな転。

蛯谷 とりあえず今回のオープニングはなんの作品のオマージュですかね? 見たことあるような感じがしました。

尾崎 オープニング見ていて感じたのは、シットコムは幸福な描写、幸福な時代でしか成立しないんだな、ということ。皮肉な見方をすれば、幸せで塗り固められた虚構ということもできる。

クチナシ 本当にそうでしたね。今回も、「これはやっぱり作り物なんだ」っていう悲しさを初っ端から煽ってきましたよね。あと、また巻き戻り現象ありましたね! ヴィジョンが現実を疑いだしたら巻き戻った。

尾崎 「巻き戻る」というより、「編集ミス」みたいな表現の仕方でしたよね。キャラがフィクションだと自覚した瞬間に、まるでリテイクするみたいに別の流れのシーンへと急旋回する。

クチナシ そう、ワンダの悲しげで何かを恐れているような表情から、理想の暮らしをやめるもんかっていう意思を感じてしまった……。ワンダとヴィジョンは知っていることが対等ではなさそう。ワンダが何かを隠していますよね。

蛯谷 そうなんですよね。しかも“気づいた瞬間”は観客の笑い声がなくなって、シットコムに戻った瞬間に笑い声がまた響くのもすごく怖かった。その巻き戻ったシーンで気になったんですが、「外にいたハーブ」って何がおかしいんだろう。

クチナシ ハーブは塀をぶった切っちゃってかなり様子が変でしたけど、何のメッセージ性があるのかはわからなかったです。

蛯谷 ハーブはあそこにいるべきではないってことですかね。その後のハーブの言動もすごく気になるし。

クチナシ そうなんですよね、不穏演出が今回もすごい。

尾崎 塀=心の壁というメタファーであるなら、それをうっかり切っちゃってる=介入してきているってことですかね?

蛯谷 ハーブのシーンでもうひとつ気になるのが、背景が絵ってところですね。これはなにかのオマージュでそうなのか、ハリボテってことなのか。

尾崎 今回からカラーであることも相まって、この世界の狭さというかチープさがくっきりと縁取られましたね。

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クチナシ ところどころハリボテで、あの世界の虚構感が増していましたね。

尾崎 背景のハリボテと舞台の狭さを観客に自覚させる仕掛けは、「トゥルーマン・ショー」を彷彿とさせます。

クチナシ あの世界の狭さの強調でいえば、ワンダの担当医のニールスン先生が言った「こんな小さな町から逃げ出すのは無理なんだ」っていうセリフが意味深すぎて。

蛯谷 ニールスン先生のセリフは気になった! 小さな町って表現ですよね。

尾崎 先生、語り口はコメディぽかったけれど、表情はただならぬ不吉な感じでしたね。

クチナシ 「逃げ出すのは無理なんだ」って……。決定的な何かを言いたいけれど言えないって顔をしてましたね。

尾崎 ダブルミーニングですよね。発言自体は町自体の狭さとして物語に処理されましたが、先生の表情はメタフィクションとしての意味を観客に訴えていたように思えました。

蛯谷 今回の劇中CMはどうでした?

クチナシ またヒドラ製品でしたね! 入浴剤でキャッチコピーは「すべてを水に流し、自分だけの世界に浸れます」。いやいや意味深すぎる……!

蛯谷 あと、CMの女優さんの「心が読めるの?」ていうセリフも気になる。

クチナシ やっぱりワンダがヒドラに作り出させられている世界なんでしょうか……。

蛯谷 そしてCM終わりからのジェラルディン。不穏な女。

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クチナシ ジェラルディンはなんだかワンダを試しているみたいでしたよね。ワンダが動揺するようなワードを投げかけたり……。

尾崎 前回でしれっと出てきたジェラルディンですが、キーパーソンでしたね。

蛯谷 いま第2話を見直していて、ジェラルディンの「私ここで何してるんだろう」っていうセリフが気になっています。

クチナシ それ私も気になってました! 伏線だったのか……? ワンダも気になっていた、ジェラルディンのペンダントのマークは何かのシンボルでしたっけ?

蛯谷 逆十字?ですよね。前回のハチの人の背中にあったマークとは違う?

クチナシ いま第2話見返したら、影が入っていてわかりづらいですが、ハチの人の背中のマークに似ています!

尾崎 おそらく、マーベル・コミックスに登場する組織「S.W.O.R.D.」のマークですね。となると、ジェラルディンもハチのマンホールさんも「S.W.O.R.D.」の人、ということになりますよね。

クチナシ 「S.W.O.R.D.」か! X-MENのね!!

尾崎 第3話で、物語の成り立ちが大体明らかになってきましたね。ここからどう展開するか……。あと、ワンダの妊娠・出産について。陣痛がきたワンダが、「ヒ、ヒ、フー」のラマーズ法じゃなく、「ホ、ホ、ヒー」って呼吸していて笑いました。マイケル・ジャクソン法だ、と思いました。

蛯谷 そのあたりもほんとお決まりのコメディ描写が今回多かった気がします。不穏さはありつつ、今回すごく王道なシットコム的演出も多かったなとは思いました! ワンダの陣痛とか破水でトラブルが起きるとか、コウノトリの登場とか。

尾崎 3話目がいちばん笑えるエピソードだったと思います! 暫定ですけど。

クチナシ 赤ちゃんを迎える準備をするヴィジョンも可愛かったですね。お人形に話しかけたり、名付けでワンダとお茶目に言い合ったり。

蛯谷 なんかほっこり笑えるシーンが多いからこそ、不穏さの落差が響く!

尾崎 そして男の子が産まれた直後、ワンダが仮の姿で佇むヴィジョンに対して「本当の姿で会ってあげたら?」と声をかけます。すごくいいセリフで、僕はこのセリフを書くために第3話があったと思いました。

蛯谷 いやー、いいセリフでしたよね。

クチナシ ジーン、でしたよね。

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蛯谷 それと、子どもの目が青かった! これはヴィジョンの血!!!!って思いました

クチナシ そしてワンダ自身と同じ双子! ワンダとヴィジョンをふたりにしてあげるためにジェラルディンが医者をキッチンに連れて行ったじゃないですか。彼女が「S.W.O.R.D.」の人間だったら味方ですよね? というか味方であれ(涙)。

蛯谷 何が味方で何が敵なのか……。ワンダがジェラルディンに「大きな借りができたわ」と言っていたので、今後借りを返す場面に出くわすのでは……とドキドキしました。

尾崎 敵か味方か、目的はなんなのか、推測するにはまだ材料が足りない気がします。これはマジで次話からまた目が離せない。

クチナシ そうなってくると、あの世界はワンダが何かしらの意思を持って作り始めたけれど制御不能になって、現実に引き戻すために「S.W.O.R.D.」が介入してきたのかなと思えてきました。

尾崎 そうだとすると、「アベンジャーズ エンドゲーム」と本作の間に何かあったということになりますよね。「エンドゲーム」でワンダは、ホークアイと言葉を交わして、やや前向きに持ち直したように見えましたが……。また、本作第3話で彼女が“忘れがたい喪失”について言及する場面がありましたし、痛々しく切ない感情が多く見え隠れしました。

クチナシ 前回が終わってから考えていたんですけれど、「ワンダヴィジョン」って、ワンダとヴィジョン(のふたりの物語)じゃなくて、ワンダのヴィジョンなんじゃって……。

蛯谷 ワンダのヴィジョン……。そう思うと、エンディングにかかる「Daydream Believer」の陽気なミュージックが不穏さを増させますね……白昼夢……。

クチナシ そうだと全部辻褄が合いますよね。

尾崎 「Daydream Believer」は、夢から覚めてまだ寝ていたいけれど、でも起きなくちゃ、という歌詞ですよね。ヒゲをそったヒリヒリから、ここが現実であることを自覚するっていう。

クチナシ 死んでいるはずのヴィジョンが出てくるのも、周りが不穏なのも、住人が閉じ込められている感があるのも、みんなワンダが作り上げたヴィジョン(理想の世界)に閉じ込められているからなのか……。ここでかかる「Daydream Believer」は本当切ないし意味があるなって思いました。

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蛯谷 来週は一体何から始まるのか……。相変わらず辻褄の合わない隣人アグネスも目が離せないですね。そして不穏な住人はいっぱい出てくるけれど、今回は尾崎さんの大好きなSIB(ストップ・イット・ばあさん)はお休みでしたね。
※SIBについては第1・2回の記事をご覧下さい!

尾崎 SIBに何か起きていなければいいのですが……。

クチナシ お休み回でしたね(笑)。そういえば、劇中劇の画面サイズが4:3から16:9になったタイミングは何かを示していたんでしょうか? 次の展開についていくのに忙しくてよく考えられなかったですが……。

蛯谷 あーもうほんと早く次が見たい!

クチナシ この世界は誰が作っているのか、関わっている組織は本当に「S.W.O.R.D.」なのか、「S.W.O.R.D.」だったとしたら味方なのか敵なのか、そしてジェラルディンはどうなったのか……! 来週少しでも明かされることを祈るばかりです!

PRESENTED BY ディズニープラス

▼前回の記事はこちら


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