家の前のクワガタ

実際に私自身が出会ったちょっと怖い話。


アパート暮らしの私の家のポストは基本的に集団ポストを使っている。

ポストに入っている物は様々で贔屓にしている着物屋のセール情報のはがき、友達からの手紙実に様々である。

開けると毎日何かが入っているのがポスト。

私にとって毎日どこからか送られてくる郵便物は楽しみの一つだった。

その中で起きたお話。


いつも通りポストを開けると謎の郵便物が入っていた。

それは「タオル」

白地に赤い字で炭酸飲料のロゴの入った懸賞品のタオル。

炭酸飲料の苦手な私はそういった類のものは飲まないので懸賞に応募した覚えがない

旦那に聞いてみるもこちらも飲まないし応募した覚えもないという

誰かの郵便物が間違えて入ったのだろうとポストから出し、他の住人に見える場所に置いた

間違えてポストに入ったのだろうと片付けていた

こういう事が時々あるのがこのアパート

隣室の郵便物が入っているときもある

郵便配達員が変わったときに起こる現象で後で郵便局に電話しようくらいに思っていた。


異変があったのは次の日

ポストを見て郵便局に電話しないとなと思いながらポストを開ける

昨日のタオルがまた入っていた

二枚目ではなく「昨日のタオル」がまたわが家のポストに入っている

昨日取り出したときに周りに人はおらず、住人もいなかった

それなのになぜかまた入れ直されていた

配達員の人が入れ直したのか?と思い袋をよく見る

宛名もなにも書いていない

よく確認したが透明の袋に丁寧に入っているタオルには届け元もなければ宛先もない

ではなぜ戻ってきたのか?

先ほども書いた通り周りに人はいなかった

元々宛先もないのだからポストに入っているのもおかしいことに気づいた

だがもしかしたら誰かの荷物かもしれないと思い二週間ほど置いていたが、出してもまたポストに入っている

さすがに気味が悪いのでその場でごみ袋に入れて捨てた


それから数日後 次はどこの物か分からん鍵が入っていた

家の鍵ではないことだけがわかる鍵

自転車とかああいった物の鍵のように見えるそれはストラップ付

この鍵は封筒などに入っておらずそのままポストに入っていた

ストラップにも鍵にも見覚えがない

それに私も旦那も自転車に乗らない

アパートには学生も居住しているため間違えて私のポストに入れたか

誰かの落とし物がたまたま入ったのかもしれないと思うことにした

また住人の見えるところにその鍵を置いた

もし明日鍵がポストに入っていたら捨てよう。と決心し次の日確認すると

鍵が入っている

二回目ともなると誰かの物かもと悠長な気持ちは消えその場で捨てた


あれは何だったんだろう。イタズラかな?それにしては気味が悪い。

出しても入っているということは誰かが入れ直している

だが誰が何のためにしているのかはわからない

それからポストを開ける楽しみは無くなっていった


数週間後にたまたま仲のいい住人と会い話していたところその人があることを言った

「ポストを放置していたら誰かのイタズラなのか郵便物が燃えて焦げていた。」

この住人はポストをなかなか開けない人で入りきらなくなったら取り出す習慣がある

確かにその部屋の番号のポストを見ると少し焦げていた

幸い重要書類は燃えていなかったのでよかったと言っていた

私は意を決してその人にこの件を話してみた

「知らない郵便物が入っていて出しても戻ってくるんです。

タオルとか鍵とか誰か入れ直してるところを見ませんでしたか?」

「タオルと鍵が外に出てるのは見たけど入れ直してる人は見たことないなぁ」

他の仲のいい住人に話をするも同じ回答

誰も物以外見たことはない

となると犯人不明で目的も不明である


その時あることが思いだした

玄関の前のクワガタである

本人のTwitterなどの特定に使われる『普通ではありえないこと』をツイートさせる手法

もしかしてこういった類のことをしているのかもしれない

だがされる覚えがない

身の回りの仲のいい人間はみんな私のTwitterを知っているし、旦那はそもそもやっていない

気味が悪いのでツイートはしていなかったがアカウントを停止し破棄した

それ以来ポストの中の謎の郵便物は来なくなった

あれは何だったのかなぜ入れ直されていたのかポストに火をつけたのは誰なのか

全くもってわからない

数年前に起きた出来事です

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