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Siipの歌詞について

siipとは、正体不明のシンガーソングライターさんです。音楽シーンでのバンクシーとも評されているようです。
取り上げるのはアルバム全曲ではありませんが、気になったことや気づいたことなどを自由に綴っていきたいと思います。一応題名をクリックするとYoutubeで聴けるようにしています。

πανσπερμία

「誰にも解けない」〜からのメロディが好き。
MVではそこから赤い布が登場する。「壊したり 壊されたり」と争いを連想させる様な歌詞もあるから、血を表しているのかな。どうなのだろう。
そこまでは青を基調とした色彩のMVだから、急に赤が出てくると少しドキッとするし目を引くなと思った。
「宇宙は唯々孤独で 仲間に入れて欲しいの」
ここで宇宙が出てくるの、単純にすごい。スケールが違う。孤独のスケールが。Siipさんがちょっと心配になる。仲間に入れてあげたい。


2

「僕はずっと先を生きている」
どうやらsiipさんは未来を生きているようだ。
この歌詞で思い出したのが、2024年10月13日の大森さんのインスタライブ。
タロット占いで「貴方は未来から来たんですね」と言われたと彼は言っていた。
彼は否定していたが(それはそう)、私はsiipさんと大森さんの意外な共通点だと思って驚いていた。


Walhalla

「こんなにもめでたい事はない 喜びの館にて騒ぎましょう
 こんなにも嬉しい事はない 御馳走を食べて過ごしましょう
 こんなにも黄金がある処 他には知らないよ幸福の場所」
ここの歌詞だけをみると童謡か?と思うほどだが、聴いてみると不穏な音楽と共に流れてくるので、ただ物騒な歌詞だけを並べるよりも恐ろしくて不穏な感じがする。

「ほら、朝目が覚めて 戦いに敗れても 夜になればまた宴となる」
このあたりの歌詞の意味がよくわからなかったのでヴァルハラについて調べてみた。

ラグナロクの際に、オーディンら神々と共に巨人たちと戦うために、彼らは毎日朝から互いに殺し合い、戦士としての腕を磨いている。その戦いで死んだものは、夕方になると皆生き返り、傷ついた者も同じく皆回復して、夜には盛大な宴を行う。

殺しても翌日蘇るイノシシのセーフリームニル(ゼーリムニルとも)の肉を食べ、ヤギのヘイズルーンの乳で作った酒をヴァルキリーの酌で楽しむ。そして、翌朝になると再び戦いあう。

ヴァイキングの間では、死後ヴァルハラに迎えられることこそ、戦士としての最高の栄誉とされていた。そのため、エインヘリャルとしての復活を信じて戦場においても死を恐れることなく、キリスト教徒より勇敢に戦うことが出来たと考えられている。

Wikipedia

ラグナロクとは北欧神話の世界における終末の日のことで、エインヘリャルとは戦死した勇者の魂のことをいうらしい。これはエインヘリャルについての概要から引用させていただいた。
これを読んで私は恐ろしさのあまり震えてしまった。マジでガチで。
終末の日まで何度も戦いを繰り返すなんて地獄でしかないが、ヴァイキングにとって天国とはヴァルハラだったようだ。


来世でも

この曲を通して聴いてみた時、これは(誓いの)キスをしよう、ということなのかなと思った。つまり「結婚しよう」。結婚に限らずとも、「もう一度結ばれよう」ということなのかなと。
題名となっている「来世でも」に続くのは「キスをしよう」だと言うことができると思うのだが、どうして何回も「キスをしよう」と言う必要があったのだろうか。
強くてずっと離れそうにない繋がりがすでにあるなら、そんなに必死に来世の約束をしなくてもいいのではないか。

Siipさんが曲中で争いを取り上げていること、この曲のメロディは少なくとも多幸感あふれるものではない、ということがこれと関連しているかもしれない。

まだ現世にいるのにも関わらず来世のことを考えているという事は、死が身近にあるということなのかもしれない。
曲中にも死を連想させるような歌詞がある。

ちょっと昔、私は恋愛について歌った曲が苦手だったのだが、この曲はあの頃の私が聴いてもきっと気に入ると思う。あまりにも綺麗で儚いから。
個人的にこの曲を聴くとすごく切ない気持ちになる。


オドレテル

一回目の「消えれずに浮かんでいる」の後のギター(?)パートがものすごく好き。切ない。
この世のどの曲とも違う異質感があるような気がしている。この世の曲を全部聴いたわけではないけれど。


scenario

「塵達に居場所を創って」
この歌詞で思い出したのは、BTSの「Blue & Grey」だ。
「여기 모든 먼지들 위해 축배를
ここにいる全ての埃たちのために祝杯を」
という歌詞があり、おそらくこの「埃」とは全ての人間たちのことを言っていると思われる。世の天才たちは皆人間のことを儚く小さいものに例えるようだ。

「全部シナリオ通り狂ってる 狂ってる」
狂ってる、を2回くり返している。siipさんの呆れや諦めがここから感じられる気もするし、逆に強い口調ではないからこそ、これは警鐘なのだとも言える気がする。


Siipさんが扱うテーマは、重い。聴くときはちょっと心して再生ボタンを押さなければならない気がする。
重いけれどアルバム自体は30分に満たない。
30分でここまで壮大な世界を具現化できているsiipさんは本当にすごい。

時々Siipさんとは何者なのだろう、と考える。神でも人間でもなさそうな彼はこのSiipというsaga(物語)の創造主であることは確かだ。
ものすごく遠い存在にも感じるし、一方で聴いているととても身近にも感じる時がある。
なんとなく崇めるものでは無い気がするので、私は「Siip様」とは呼ばずにおいている。(謎のこだわり)

ここまで2000字ほど、読んでくださりありがとうございました。以上としようと思います。


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