見出し画像

TUNING POINT: ミッション・クリティカルな組織を目指した話

第9期が終わり、ホッとする間もなく、慌ただしく始まった第10期目。

世の中はまだまだ騒がしく、さまざまなニュースが飛び交っていて、色んなものを見直すタイミングなのかな、などと考えていました。そうした状況のなかで、個人的な希望の光といえば、嬉しいことに数字はもちろん、感覚的にも結果が出そうなことが増えてきたところでしょうか。

ROXXにとって、第9期を一言で振り返るのだとすれば「カルチャーを決めた一年」と思っています。今までやってきていた、ROXXっぽいよね。というところをキチッと言語化し、更に可視化まで進めたということでしょうか。

2年やそこらしか在籍していない私が申し上げるのは場違いかもしれませんが、この意思決定は、ROXXという会社のステージを明確に変えたのではないかと感じています。

採用以外のところは、あまり社内でもちゃんと語ったこともなく、出来る限り多くの方の参考になるように、もちろん苦悩もあったのですが、うまくいったことをベースとして、カルチャーへの投資を具体的にどんな順番で何を変えていったか、その時にどういうことを考えていたのかをお話をしてみようと思います。

採用については、下記をご覧いただけると嬉しいです。

「誰が言ったかではなく、何を言ったか」主語を変えたお話

まず何を変えなければいけないのか、その順番について悩んだのですが、何よりも先に主語の単位を変える選択をしました。

誤解を恐れずにいうと、今までは何をするにも創業者二人の中嶋が、山田が、という主語だったものを、「ROXXが」という主語に変えていく必要がありました。その理由は、本来Mission、Value、Tuningが正解であるのに構造的にそうなり難いかたちになってしまっていたためです。

大事なポイントは3つです。

・自然を理解すること
・繰り返し同じことを伝えること
・身近なものにすること

当たり前ですが、創業者二人の存在が強いことは、想像に難くないでしょう。一方で、二人がいなければどうなるの?という状況でもあり、「中嶋さんなら」、「山田さんなら」という単位での発言や行動が多く、いわばそれが「自然」で無意識下に置かれていました。

どうしたものか。と考えた末に、その自然をそれぞれに説得して理解してもらうことに時間を使うのは、無意識であったがゆえに相当難易度が高い。とすると、変えるために「行動すること」にまずは時間を使うべきと決断をしました。

つまり、当時のROXXにおける自然を理解すると、二人からの発信は全体に波及するとも考えられるため、意識的にカルチャーにおける大事なこと、バリューについて、できる限り繰り返し同じ内容をお伝えしてもらうこと、その中でいつもと違うところをたったひとつだけお願いしました。主語に必ず「ROXX」を入れてもらう。ということです。

これを会社の週次ミーティングや締め会等はもちろん、会議、1on1等あらゆる発信の場でお願いしました。

それでもなお組織が大きくなり、人数が多くなってしまうと全員に一人ひとりお伝えしたい気持ちも、関係値づくりから逆算すると時間が掛かってしまうので困難になってしまいます。

その状況を打破するためのキー施策は、矢継ぎ早に実施した社内イベント等の施策に加えた、ミッションステートメントメントカードの配布です。

スクリーンショット 2022-10-30 0.31.37
ROXX Mission Statement Card

なぜこの取組みがキー施策だったのかというと、常に肌身外さず携帯することができ、いつでも見返すことができるためです。お渡しするときは、少しだけ演出を入れさせていただきました。ただ単純に必要とされているものを伝えるだけではなく、きっちりと普段からなかなかお伝え出来ていなかった素直な気持ちも愛情を込めないと伝わらないと考えたためです。

スクリーンショット 2022-10-30 0.33.26
代表中嶋からのメッセージカード

目標設定よりも、行動をし続けることのが難しい話

ROXXでは、Valueが3つあり、そしてそれをより具体的な行動ベースに落とし込んだTuningという言葉があります。

ROXXのValueとTuning

人事制度の詳細は、下記もご覧いただけると嬉しいです。

取組みの中で、全部のバリューをよーいどん。でいきなりは難易度も高く、浸透しづらいと考えて、ひとつにテーマを絞ることにしました。まず、テーマとして挙げていたのは『BAND』というバリューでした。ここから始めたのには理由があります。

スクリーンショット 2022-10-30 0.35.38
Valueの『BAND』

「ROXXってどういう会社ですか?」と聞かれたら、迷いなく「『実行力』という資質を持っている会社」と表現すると思います。今後大きく拡大を続けるであろう組織において、この素晴らしいこの資質を浸透させ続けるためにも、まず土壌を作りたいと考えたためです。

この『BAND』には同じ目標を追いかける仲間が集まって、個々が能力を思う存分発揮し、その中で自然と生まれるチームワークを大事にしてほしいというメッセージがあります。

一方で、チームプレーとチームワークの違いについては注意が必要でした。特に、こうしたワードが出てくるタイミングで出てきやすい言葉は、役割分担です。一見すると聞こえが良いですが、ともすればただ業務を分け合っているだけになってしまう可能性があることには細心の注意が必要です。つまり、本来取り組むべきは連携であって、それによってアウトプットの総量が大きくなっていなければ、意味がありません。

ROXXに集まってくるメンバーはそれぞれが何かのプロです。そして、「時代の転換点を創る」という同じミッションを追い掛けています。チームは極力最小単位で、機能別に組み上げて、その中で、各々が最大限能力発揮できれば、仮にどのようなイレギュラーなことが起ころうが、お互いに頼り、頼られながら乗り越え、必ず目標を達成することが可能です。

『BAND』の定義がここに至った背景は、ROXXの9年は目標設定したから結果が出たわけではなく、あくまでも個人個人が行動し続けたことで、一人では成し得なかったであろうこともチームで乗り越え、結果的にチームワークが生まれていたのだと考えていたためです。これは、スキルや能力以上にとても稀有な企業としての資質だと考えています。

誤解を恐れずに申し上げると、頭の良い人は世の中たくさんいますが、実行力がある人は、実は多くはないのではないかと感じています。行動し続ける、その集合体が結果なわけなのですが、改めて、結果の地点を決めることよりも、行動し続けることのが実は難しいと思っています。

上記を実現するためには、改善速度を上げるために筋力を鍛える必要があり、チームの体制を一から考え直す必要がありました。できる限り機能別に分解して、追うべき指標の最小単位から、改めてチーム構成を考え直しました。これには、当時協力いただいた部門長の方々には本当に感謝しています。

まずはそれぞれのチームで『BAND』を体現しているか、その上でその『BAND』の単位は他チームまで広げていけるか、まだまだ道半ばでもありますが、自然と行動し考えられる土壌が出来上がったはずと理解しています。

複利で成長するチームを仕組みで作った話

先に伝えたように組織が拡大すると一人ひとり伝達するのでは困難になり、引き続き結果を出したいのであれば、目標設定するだけではなく、まず目標に対してどう実現する仕組みが回っているか回しているかを考えるべきと考えていました。

重要なのは結果が出続けるための『仕組み』であり、まさに人事制度や採用※1にカルチャーの要素を組み込んだのは、大きな目標を成し遂げるためにその1%でも改善し、行動し続けるカルチャーを大事にすることで、複利で解決するチームを生み出し続けることを可能にしたかったためです。

ちなみに誤解を生みそうなので、実行力というのは決して根性論ではなく、立派な仕組みでの理論だと認識しています。

よく言う努力の理論で、昨日よりも1%ずつ改善すれば、365日後には1.01の365乗で37.8で、約40倍になる。反対に、1%ずつ退化すると365日後には0.99の365乗で0.03。ほとんど0になってしまう。
一日の時間に置き換えると、24時間のうち15分、この1%なのですが、例えば弊社はここに日報という仕組みを当てています。

複利のグラフイメージ

つまり、一日15分日報できっちりと個人個人が毎日を振り返り「明日は今日よりも1%改善しよう!」という行動ができれば、チームとか組織という単位にした時は、単純にもっと何倍、何十倍になっている。実は、それぐらい大事な大事な仕組みなのです。

そして、なぜ仕組みが先なんだっけ?という話ですと、うまくいかないのを個人の資質や努力に求める入口よりも、「うまくいく構造」を作ることにエネルギーを割くことのほうが、中長期的に結果への最短距離になることが多々あるからです。

投資の世界では『複利』と呼ばれるところですが、極めてシンプルで「小さな改善の積み重ね(Marginal gains)※2」を行動ベースに置き換えたわけです。

TUNING POINT:成長し続けるためのエンジン

ここまでやってみてはいたものの、正直に不安と期待の2つ気持ちが入り交じったまま過ごしていました。

そうした複雑な気持ちを偉大な経営者の方々の本を読むことで紛らわしていたのですが、最近改めて背筋が伸びることがありました。どのお話にもミッション、ビジョン、バリューなどの会社の根幹にある思想がとても重要であるというのは共通であったという話なのですが、結局行き着くところは、それを実現する人と仕組みが重要。つまり『花』ではなく、『土』や『根っこ』がどうなっているのか、それを徹底的に追求していくことが大事であるということです。

世の中良さそうなことはたくさんありますが、それが表面的にならないように、中身はもちろん打ち出す順番には、今まで以上に相当神経を遣ってやらないといけないと改めて痛感しました。

そうした気づきもあって、今期からは『ROXX Cafe』という、マネジメント層とランチしながら決められたテーマについて、自由にインタビューすることができるよ。という新たな取組みを開始しています。

スクリーンショット 2022-10-30 0.44.34
ROXX Cafeの様子

今回のテーマは『リーダーとマネージャーの違い』というものだったのですが、これには、マネージャーになることは昇進ではなく、キャリアの再出発であることを忘れないようにしなければならないという気持ちと、一人でも多くのメンバーが今のリーダーやマネージャーから話を聞いてみて、ROXXTAR(Culture HeroやChampionの位置づけ)を目指して欲しいという2つの側面があります。これも、後ほどご紹介する『Tuning Report』という組織の『花』ではなく、『土』や『根っこ』を改めて見返して決めた企画です。

ROXXとしては、個人の単位からチームへの単位にはシフトしつつありますが、より日本や世界という単位で次のフェーズに行きたいなら、場合によってはすべてを設計し直す覚悟も必要だと認識し直しています。

それゆえに、今期のテーマは『ROCK』になります。

スクリーンショット 2022-10-30 0.41.43
Valueの『ROCK』

ROXXでは、先ほど少し頭出しさせていただきました、現状の組織文化やカルチャーを言語化した「Tuning」を各部門やチームごとにブレイクダウンして、部門やチームごとのカルチャーを可視化している『Tuning Report』というものを創っています。

ROXX全体のTuningを集計した『Tuning Report』、これを部門、チーム、役割(セールス、カスタマーサクセス等)ごとにまとめています。

第9期のテーマとなっていたBANDは中央値が上がりステージが変わったことや改めて『強みから成果が出る』という私自身の考えから、今期はROXXの強みでもある『ROCK』を伸ばしていこう。そして、それをするために「弱み」から目を背けない。ということを決断しました。

フェーズを変えていくごとにカルチャーへの考え方もアップデートし続け、エンジンを載せ替えていかなくてはなりません。せっかく取組むのですから、たくさんの花が咲くように、なかなか周囲からは見えづらいかもしれない、土の部分をきちんと創っていきます。

最後に

実は、今回全社のMVPをいただきました。個人の想いとしては、素直に嬉しい気持ちと同時に、まだまだ入り口に立った段階でもあり、道は半ばどころか半端だったので複雑な気持ちです。しかしながら、チームとして評価いただけたことに関しては、実は想像以上に喜んでいます。(いつも感情が読み取れないと言われますので、念の為。。)

スクリーンショット 2022-10-30 0.40.28

改めて、普段から協力していただいている部門の方々、そしていつも助けていただいているエージェントの皆さま、そして先日発表させていただいた約10億円の資金調達含めて、ご支援いただいております様々な皆さまにいただいたようなものなので、感謝しつつ、今期はリスクをとってチャレンジすることの意識を自分自身からまず上げていきます。

採用も引き続き強化していますので、至らぬ点多々あるかと想いますが、引き続きお力添えのほど、どうぞよろしくお願いいたします。

▼ご参考
※1 6ヶ月間で約1,000人と出会い、辿り着いた「面接のカタチ」――感覚的ではない、明確な「採用基準」とは?
※2 最初から完璧さを追求しない、「1%の改善」が金メダルにつながる


デザイナーからキャリアスタート。10カ国11拠点のBrand Mgr、IRを経て、金融系ベンチャー企業にてマーケ、BizDev等に関わる。外資系コンサルティング企業、M&Aアドバイザリー企業にて社長室を担当。インサイドセールスの立上げ、管理本部などを歴任。3人兄弟同じ誕生日。