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深圳の海賊版アニメ展に行った話

皆さんは深圳という街について、どういう印象を持っているだろうか

  • 改革開放で急速に発展し、近代的な景観を持つ都市

  • 中国のシリコンバレー、テクノロジーとイノベーションの中心地

こういう印象を持つ方も多いかもしれない。ただ私にとっては歴史が浅く、街が煌びやかだけど文化が薄い、何となく怪しい街という印象が大きかった。今回は深圳で行われた海賊版アニメ展に行ったときの話をしたい

海賊版アニメ展とは何か

日本の漫画・アニメ作品の原画が個人間売買で海外に流出したニュースを見た方も多いと思う

2018年5月にフランス・パリで開催されたオークション(主催会社:アールキュリアル)で、手塚治虫のマンガ原稿の原画1ページ分が26万9400ユーロで落札された(中略)手塚治虫の直筆原稿は、それまで国内でも高額取引されていたが、それでも破格の価格だ

アトムにナウシカ…マンガ・アニメ原画が海外で1枚3500万円の落札も―文化資料の流出どう防ぐ
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1912/05/news030.html

私も海賊版アニメ展に行くまでは知らなかったけど、流出した原画を展示する勝手企画展は昔から行われていたらしい。前提知識が少なかったのと、中国でも海賊版は年々減っていること、あまりにも会場が立派だったので公式のイベントだと思い込んでいた

海賊版アニメ展の会場。こんな場所で行われていると思わなかった

シュールな展示物

入場料は一人60元くらいで比較的に高かった。中国でもアニメ展が行われることが感慨深かったので、この時は何の不信感も無かった

入り口の通路、年表的なもの

入り口の通路から展示場に入ったとき、先に入った妻と娘が爆笑していたので何かと思ったら違和感のある景色が目に飛び込んできた

シュールな世界の入り口

これを発端に間違い探しのように様々な違和感を感じた。よくよく考えたら怪しいのだけど、この時はコロナで日本から人が来ることができず監修が不十分だからだと思っていた

犯沢さん
のび太の部屋
宮崎駿の作業場

展示物

展示物は良く言えば多種多彩、悪く言えばごちゃ混ぜで、これも怪しいと言えば怪しい。いま思えば主催者が好きな作品のコレクションを並べただけという意図を感じることができるけど、当時は何も分かっていなかった

謎のセル画。後述するけど有志のおかげで元ネタを知ることができた
展示する必要ある?というセル画が多い。ネタとしては良い
歴史ある作品の資料も流出していると思うと感慨深い

当時はコロナで日本との行き来が難しいころだったので、展覧会の主催者もまさか日本人が訪れるとは思ってもみなかったのかもしれない

Twitter への投稿と反響

Twitterに投稿したら多くの反響をいただくことができた。通知が凄い勢いで届いて以降は旅行にならなかったけど、勉強になったし面白かった
この時、中国の方に海賊版アニメ展の存在を初めて教えてもらった

謎のセル画の出典も「ロート子どもソフト」CMだと分かった

他にも様々な反響をいただいた。心ある方が togetter にまとめてくれた

深圳と海賊版アニメ展

小規模にセル画を売っている場所は見たことがあるけど、ここまで大規模な海賊版アニメ展は深圳でしか見たことがない。それには深圳ならではの理由があると思う

  • 歴史が浅い:権利意識が少ない

  • 経済成長を象徴する都市:セル画を購入できる富裕層がいる

  • アニメの造詣が深い:中国沿岸部は国際的な文化が強い

他にも変な日本語が多いのは広東省の特徴だったりするし、このような展覧会は深圳だからこそできたのかもしれない。日本ではありえないことだと思うけど、散逸した著作権物を見ることができたのは非常に希少な経験だったと思う

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