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【施術哲学#6】感覚の土台づくりとは〜リハビリとマッサージの違い


1、運動獲得のための「回路」

GLITTER式プログラムの言う「感覚の土台づくり」とは何でしょうか。
これは、「運動リハビリ」に対してのカウンター的概念だと、僕は解釈しています。

粗大運動は、
①多重感覚入力
②姿勢制御
③運動制御
④フィードバック
の、回路のようなシステムが循環しない限り獲得することはできません。リハビリの専門職でもない限り一つ一つの要素を覚える必要はありませんが、コンピューターのように、「回路が繋がってなければ正常に動作しない」というイメージだけ持ってもらえたら大丈夫です。
 逆にいえば、回路が繋がってさえいれば、教えなくても自動的に獲得していくことになります。
 運動獲得の難しいお子さんは、この回路のどこかに異常を抱えています。
 これは、直立二足歩行へ向かう粗大運動についての図ですが、言語、知的発達なども同じように回路がありますし、互いに影響を受け合っており、非常に複雑なものです。

2、マッサージとリハビリの違い

GLITTER式マッサージとリハビリの違いは、この回路のどこにウェイトを置くか、の違いであると考えています。

リハビリは、
②姿勢制御
③運動制御
にウェイトがあり、

GLITTER式マッサージは、
①多重感覚入力
④フィードバック
にウェイトを置きます。そして、繊細な指先の感覚をいかして、側弯症、胸郭変形などの2次的障害への対策をしていくというイメージです。

3、今、なぜその子にその訓練が必要なのか?


訓練と土台づくりは、どちらが良いとかではなく、どちらも必要です。
 ただ、多くの現場で、専門職とママたちで認識の乖離があると感じる点があります。
 それは、「なぜその姿勢を取らせるのか」という点です。
 例えば、自力で座位を維持することの難しいお子さんが、リハビリで座位を取る時間があるとして、多くのママは、「座るという動作の練習である」と思っています。
 しかし、その姿勢を取らせる目的は、PT(理学療法士)さんであれば、「排痰しやすくするため」だったり、OT(作業療法士)さんであれば、「手を使った作業をしやすくするため」だったり、ST(言語聴覚士)さんであれば、「嚥下のときの誤嚥を防ぐため」だったり、実は目的がバラバラだったりします。立位に関しても同じです。
 その姿勢を取らせること=その姿勢の訓練であるとは限りません。

 姿勢制御と運動制御のみを、いくら他動的に練習しても、多重感覚入力とそのフィードバックの回路が繫がっていなければ、獲得にはつながりません。
 それどころか、感覚が異常なまま特定の姿勢を無理やりとらせることは、かえって不必要な緊張をつくり、間違った姿勢制御の獲得に繋がり、側弯や胸郭の変形を進行させてしまうこともあります。ですから、GLITTER式プログラムでは、姿勢制御や運動制御のもっと前段階の、「感覚」に着目して、運動の「土台」を作っていくことを目的にしています。


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