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はやみねかおる「夢水清志郎」との再会

あんなに好きだったのに、20年以上も忘れていたのか。


今日、息子と近所の図書館へ行った。自分ひとりでは立ち寄らない児童書コーナーの前を、息子が乗ったベビーカーを押して通った。

懐かしい背表紙が目に飛び込んできた。
青い鳥文庫、はやみねかおる先生の「名探偵夢水清志郎シリーズ」作品の一つ、「ギヤマン壺の謎」だった。

三つ子姉妹と、年齢不詳でひょうひょうとしたヘンジンな名探偵が織りなす児童向けミステリーのシリーズ。
大好きだった。小学生のとき、夢中になってシリーズを読み漁っていた。

具体的にどういうとこが大好きだったんだろ。「教授」こと夢水清志郎の、普段の頼りなさと名探偵モードのときのギャップか、主人公・亜衣のヒロイン感と親しみやすさのバランスの良さか。純粋にストーリーが面白かったし。(「ブロッケン現象」とか、ストーリーの本筋ではないけど、へー!と思うことを教えてくれるのも楽しかった)
前書きに「赤い夢へようこそ」っていうようなことが書いてあったと思うけど(うろ覚え)それも、「今から私は赤い夢の中に入っていくんだ」と、ドキドキした。

ちょ、この点を言語化するには時間がかかりそうなので、また別途、自分の記憶を細分化する機会を設けよう。

ああ、本シリーズとの出会いを思い出して、一気に四半世紀前にトリップする。確か小学3年生のとき、祖母の入院先の病院の近所の本屋さんで「徳利長屋の怪」を父にねだって買ってもらったのが始まりだった。「なんか面白そ
ー、読みたい!」と猛烈に思ったのだった。その直感は当たっていて、そこからドハマりすることになる。5年生か6年生のとき、はやみね先生のサイン会にも行って、白い帽子にサインしてもらって舞い上がった。そんなこともあったな。そんなに好きだったんだ。20年以上ぶりに思い出した。あとがきに登場していた息子さんも、もうとっくにいい大人だよな。はやみね先生は今お元気なんだろうか。

はやみね先生の名前でググると、東洋経済オンラインのインタビュー記事がヒットした。今年の記事だ。「不登校新聞」というコーナーに納められていたその記事のはやみね先生の言葉は、30代・一児の母である私の心も掴んだ。

次の世代の子どもたちのことを考えて動いている人が大人だと思います。年齢の問題じゃないんです。子どもたちの未来を考えていない人は、たとえ60歳でも大人ではないと僕は思います。

僕は、子どもたちに何を伝えられるかを考えたときに、「人生は楽しい」ということ。そのことを、もう意地でも伝え続けたいんです。僕はどんなにつらくても、つまらなかったとしても、「今が一番楽しい」と答えるようにしています。子どもたちにも「今が一番楽しい」と言えるような人生をすごしてほしいと思っています。とにかく今が楽しい、そしたら明日はもっと楽しいかもしれない。明後日はもっともっと楽しいかもしれない。未来はさらに楽しい。そう考えるとワクワクしない? と伝えたいです。

「困ってもうダメだ」とあきらめるのではなくて、前を見て、「やっぱり人生は楽しいんだから絶対なんとかなる」と思ってほしいです。解決方法はいっぱいあって、自分に向いているものも向いていないものもあるはずです。そこで、自分に合うのはどれだろうと選べる知恵もあったらいいですね。もしも見えている世界が狭かったら、たくさんある選択肢にも気づけないかもしれません。だから世界を広く見ていくためにも知恵と経験は大事です。「知恵があると人生はもっと楽しくなると知ってほしい」と思いながら、僕は物語を書いています。だって、困った状態が、自分の知恵によって解決したら、もう最高に楽しいじゃないですか。

ああ、この方の物語に没頭できた小学生時代、とても幸せだったんだな、と改めて思う。

全巻、揃えたくなってきたな…「ほしいものリスト」に追加。
私も、「子供たちの未来」を考える、大人でありたい。息子や次の世代に「人生は楽しい」「今が一番楽しい」と、「意地でも」伝えていきたい。

あーー、今日、息子と図書館行ってよかったなぁ。今日もいい日だった。

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