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【ざっくりまとめ】タロットの歴史②ライダー版タロットの登場
今私たちが一番数多く目にしているタロットは、
前回までお話したルネッサンス期~フランス革命頃までのタロットとはまた異なる系統のタロットです。
このタロットの登場は、マルセイユ版タロットの登場と並ぶタロット革命であったと思います。
そのタロットとは「ライダー版」または「スミス・ウェイト版」と呼ばれるタロットカードデッキです。
このテーマ写真のタロットも全てライダー版です。
現代の私たちの中にこれだけの種類のタロットが登場したのもこの「ライダー版」の功績でしょう。
ライダー版と呼ばれるこのタロットは1909~10年にイギリスで出版されました。
その出版社がライダー社。製作者がアーサー・エドワード・ウェイト氏で、パメラ・コールマン・スミスさんが作画をしていです。
それが「ライダー版」「スミス・ウェイト版」と呼ばれる所以です。
この二人は「黄金の夜明け団(Hermetic Order of the Golden Dawn)」という秘密結社の会員でした。
秘密結社…と聞くと何やら恐ろし気に響きますが、黄金の夜明け団には詩人や劇作家、女優などの文化人、また物理学者も入会していて、オカルトを研究するハイソな集まりのようにイメージしていただいて良いかと思います。
特徴としては「男女平等」を掲げているところで、他の秘密結社よりも先進的であることが見てとれます。
黄金の夜明け団の研究対象は、カバラ、西洋穏秘術、数秘学、エジプト神話学、インド密教、錬金術、占星術など多岐に渡っていて、その中にタロットの研究も含まれていました。
更に、団体内の位階を上げるための課題のひとつが「独自のタロットカードを作ること」だったのです。
では、アーサー・E・ウェイト氏はどのような人だったのでしょう?
ウェイト氏は穏秘額方面の著述家で、オカルト雑誌の編集者もしていました。
経営的な目も持ち合わせていたウェイト氏は、独自のタロットを製作する際に「どうすれば普及するか」という点にもポイントを置いたようです。
そこで生まれたのが「1枚のカードで意味が読み取れる明確な図案」を取り入れることでした。
小アルカナにも解釈を入れ図案化をしたのは、ウェイト版が初だとも言われています。
そしてその美麗な絵を描いたのが、女性画家のパメラさんでした。
それまでのように解説書を見て学ばないと理解できなかったタロットを絵柄だけでわかるようにしたことで、現在のような親しみやすいタロットデッキが数多く出版される流れとなったのですね。
そしてもう一つ。
この黄金の夜明け団で生まれて、現代でも発売されているタロットがあります。
それは1940年に5年の歳月をかけ誕生した「トート・タロット」です。
製作者はアレイスター・クローリー氏。肩書は「魔術師」です。
「トート・タロット」はクローリー氏が、カバラや数秘術等の要素を1枚1枚のカードに盛り込んでおり、ぱっと見ただけでは意味を解き明かせない難解なタロットになっています。
ライダー版とは真逆のスタイルですね。
クローリー氏の著書である「トートの書」を読まないと理解できない…などと言われたりもしています。
ですがこのトート・タロットは実は、クローリー氏の弟子でもあった、レディ・フリーダ・ハリスがクローリー氏に依頼して製作したそうなのです。
レディハリスは画家でした。クロウリー氏の助力で独自のタロットを作りたかった…ということのようですが、一般的には「アレイスター・クロウリーのトートタロット」とされていますね。
そしてなんと出版されたのはクローリー氏の死後20年以上経って1960年代のことでした。
ですのでこれは、「スミス・ウェイト版」のように「ハリス・クロウリー版」と呼んでも良いのでは?と思ってしまいます。
以上が歴史的に見たとっても大雑把なタロットの流れでした。
次回からは要所要所を詳しく見ていきたいと思います。