
あとがき:摩天楼合唱2(技術解説編)
※自分の備忘録も兼ねています。
こちら2の記事は「どうやって映像を作ったか」の解説記事です。
使ったソフトやプラグインなど、解説メインになります。
分からない人は分からないかもですが、参考になりそうなところがあったらぜひ持ち帰ってください。
※音源編集は素人なのでそっちは解説しないです。映像のみ。
1の方で制作時期やパートわりの解説をしているので、まだ読んでない人はそちらもぜひ。
https://note.com/preview/n64f58596e250?prev_access_key=fd26a17e229f1178f5e4db51dcc24401
1.使用ソフト
【映像編集】
After Effects…メイン。映像だけでなくこれで名刺を作ってる。(以下AE)
MMD…最初のラッシュパートのビル夜景はMMDで録画しています
Cinema4DLite…補助的なもの。AE導入するとついてくる。
【画像編集】
PhotoShop…画像切り抜きはこれ
CLIP STUDIO PAINT…イラスト作画はこれ
Illustrator…ちょっとしたモチーフ作り、ロゴ作成など
Blender…ちょっとしたモデリング
2.AEでよく使ったプラグイン紹介
個人的に映像作る際にお世話になっているやつも含め、
無料有料問わず一部を紹介。
・Saber(無料)
ライトセーバーが作れるやつ。用意されているプリセットも多く、
色や動きなどの数値もいじれるので、画面上のあしらいに便利。

・OLM Distance Gradation(無料)
画像の境界線からインサイド、アウトサイド、または両方にグラデーションをかけるプラグイン。アニメ制作の現場で使われているらしい。
逆光、発光、周辺影、輪郭など幅広く使えるので重宝している。
※アウトサイド方面に使う場合、画像サイズからはみ出すものはカットされてしまうため、下にCC RepeTileを適当な数値で設定しTiling「None」で使うことを推奨。

・YY_Ramp+(0円購入可能)
グラデーションをかけるプラグイン。AE標準エフェクトにグラデーションはあるが、こっちのほうが多機能なので便利。
海外公式配布サイトのaescriptsならName Your Own Price(お好みの値段)をつけることが可能なので、$0(無料)で購入可能。
・Deep Glow(有料)
発光させるプラグイン。AE標準より扱いやすく、きれいに光る。
※こちらも画像サイズ以上に発光させることは不可のため、先にCC RepeTileを設定しておく。RepeTileはよく使うためプリセット保存しておくと良い。

YY_Ramp+はテキスト下部のうすいグラデ表現部分。
・Looks (旧買い切り版使用、現在サブスク版のみ)
色調補正を行うプラグイン。プリセットが用意されているため、手軽に「それっぽい」処理ができる。もちろん自分で調整も可能。
色バランスやブラー加工、ノイズ、色収差などなんでもある。
自分は何年か前の買い切り版を使用している。これがないと生きていけない。新しく入手するには、MAXON ONEかRED GIANTのサブスク(年購入、月購入)を導入する必要がある。とても高い。


・AE Juice I Want It All Bundle(有料)
トランジションやシェイプ・テキストモーション、あらゆる場面で使える素材がつめこまれたパック。(使いにくいのもある)
買う人は公式サイトで頻繁にセールをやってるので、そこで買おう。

爆発シェイプモーション+DeepGlow
背景のスピードスター素材、雲素材もAEJuiceバンドルから
Looks加工やSaberも使われている
他にも今回の動画にはあらゆるエフェクトやスクリプトに大変お世話になっているけど、長くなるのでまた別の機会に紹介する…かも。
3.各パートごとの制作方法
変わった方法で制作してるようなパートを紹介。
あと使用動画の感想とか、いろいろ。
3-1.最初のラッシュパート
背景にMMDを使っている。スカイドームを用いた撮影に使用。
MMD系の素材(というかすべての配布素材)は、利用規約はちゃんと読んでから使いましょうね。(MMD動画以外には使用禁止、というのもある)
カメラ制御はAEプラグインのSure Target 2を使っています。
そして設定したカメラワークを書き出すのにyaAE2MMDを使用。
①パートごとにアバターや名前や画像を配置したコンポジションを用意
②そのコンポジションを3D空間上に適当に配置
③カメラを設置しSureTargetを設定
④SureTargetで作成されたカメラワークをyaAE2MMDで書き出し(vmd)
⑤MMDにスカイドームを配置し、書き出したカメラワークを読み込む
⑥スカイドームのみの映像を書き出し(微調整で何度か書き出すかも)
⑦AE編集ファイルに書き出した映像を配置、完成
3-2.ふれんどしたい→吹雪の繋ぎ
「空の映像」で繋がる場面(ふれんどしたいは引用パート違う)なので、フェードで繋いだ動画を用意。
切り替わるところでスケールアップして画面上に広げ、そこで背景の画像や吹雪チームのアバターを登場させ、位置調整しながらスケールを戻す。
3-3.ゲッダンの文字PV
力技。配置したり登場させたりなんとなく設定する。
3-4.STAR RISE背景の流れる雲
AE標準のレンズ補正(Optics Compensation)。
アニメ映像は画質悪めのものしかないため、帰り道の夜、みたいな写真をストック素材で収集。
3-5.デジモン、みでし
「空」に個人的にこだわるところがある。
そのため青空で繋がるtri.版を使用。
3-6.ラブチート!道路
力技。そもそもアニメーションさせてなく、
街灯の位置違い、道路白線の位置違いを高速で表示入れ替えさせ、流れてるっぽい映像にしてる。
最初のパパパッと入ってくる道路はマスクで切り抜いて表示させている。
3-6.まもるクン後半
本家のゲームOPを再現。
3-7.ロイツマ
織姫はBB素材から。
うずまきは描いた。

3-8.エヴァ
背景のエヴァはMMDモデル(静止画)を使用
その静止画をエッジ抽出や色味変更し、眼光を描いたりして調整。
背景の瓦礫などはコモンズ素材とクリスタブラシを用いて作成。

3-9.進撃
進撃~エアーマンあたりの時期は「Universe」というサブスクプラグインを導入してた時期で、そのプラグインを使用している箇所がある。上記で紹介したAEJuiceとは違い、「エフェクト」系がいっぱい入っているバンドル。
前半の映像はZ軸に下がっていくカメラワーク。歌詞は一つずつ良い感じに配置する。アバターにDistance Gradationを使用し赤くなじませる。
鎖は描いた(クリスタの素材)。自由の翼マークは作る。

後半の映像(ほぼ映ってない)は1期後期OPや3期OPを使用し、3人組と巨人を中心にしたMADっぽくなっている。最後の映像は大型巨人ではなく、みんなで集まってるシーンがよくて、OP最後のカットにしている。
3-10.アイのシナリオ
このあたりから変わったことをしようとして、迷走してる感がある(それに行き詰まって制作遅れたこともある)。
映像はなんか教会っぽい写真素材をもってきて流している、理由不明。
あとリリックPVっぽくしたかったらしい。たぶん。
プラグインのText box2を使用。
3-11.テニス
ノイズ表現はUniverseの何かしらのエフェクトを使っているはず。
(ノイズ表現エフェクトは何かしらのバンドル買えばだいたいついてくる)
3-12.エアーマン
背景はエアーマンとコネクトを交互に良い感じに流してる。
三角形のアバターは自分でモーション作って表示させている。
次の脳症になめらかに繋げるため、同じ上下帯を使用。
3-13.脳症
力技再現。手のやつは描いた(トレス)。

「震える私~」から「もっと激しく脳汁~」への切り替わりは、
それぞれ別のコンポジションを作り、血痕だけをタイミングよく表示させるコンポジションも作り、それをトラックマットでトランジションしている。
最後の月の素材で、えーりんにきれいに繋げようとしている。
3-14.えーりん
最初の輝夜とロゴは描いたり作ったり。フキダシや漫画枠、和雲も描いたり素材探したり。
合いの手人のアバターにかかるエフェクトにCartoon Moblurを使用。
Plugin Everything 'Everything' Bundleが前まで販売されてて、それの一つのエフェクトなんだけど…今は単品売り。単品で買うほどではないかも。
3-15.ごちうさ
めちゃくちゃ迷走してるパート。
アバターを配置したやつを、各パートごとにトレスしたものを使用。なぜ。
でもその方が一体感はでるよね(ポジティブ)。
背景はコロナ禍に公式が配布していたもの。なのでコロナ以降に制作。
【バーチャル背景プレゼント②♪】
— TVアニメ『ご注文はうさぎですか?』 (@usagi_anime) April 9, 2020
昨日に引き続きましてテレビ電話等で使用可能なごちうさのラビットハウスや甘兎庵、フルール・ド・ラパンの内観背景をご用意しました!ぜひこちらも画像をダウンロードしてご活用ください☆ #gochiusa pic.twitter.com/M5LFzUPez7
このパートから登場してくる3DCG映像はElement3DというAEプラグインを使用。またティーカップと葉っぱは自分でモデリング。


3-16.もじぴったん
トレスパロ。決して老人会ってわけじゃなくてぇ!!!!!
良い動画案がないかなーって探してて、可愛いなと思って採用。
背景の流れる星はAEJuiceの素材から。
3-17.メルト、君の知らない物語
こちらもごちうさで使われたElement3Dを使用。

まず上記のような画像ファイル、アバター画像を用意。
そして、Element3D上で厚みをつけたり、光の反射をうけるようにする。

下記が参考元

振動みたいなものは、スケール値の増減で制作。
君の知らない物語パートも同じように作成。ED再現。
回るやつ、球体や輪っかなど簡単な物体はE3D上で制作可能。それを活用して作って、出力の際に複製・回転・ランダム等を設定する。


3-18.日常
ここは全編トレスパロする予定でした。が、やる気を無くす。

日常前のアクエリオン以降から2024年からの制作パートです。
3~5割はAEJuiceの素材に頼り切っています。
3-19.ライオン
タイトル文字は手書き。三角形も手描き。
アバターの前後関係はマスクで切り抜いたアバターを何枚か重ね、
三角形の中に入っているような感じにしています。
(分かりやすいのが一方通行や新開の手の処理)


他のパートの「シェイプから頭が飛び出てる」みたいなアバターは同じ処理
3-20.youやGodKnows…
背景に使われている全くアニメに関係のない写真・動画素材は、
基本はAdobeStock、Pexelsから使用。
3-21.リアルワールド
タイトルをブラシを変えて5種類をクリスタで手書き。
3-22.恋愛サーキュレーション
元動画を参考にして作成。
3-23.シオカラ&ディスコ
ネオンっぽい表現はAEJuiceのNEON Titlesのテンプレートを使用、改変。
アバター回りのネオン表現は、AEの最大最小エフェクトを使用して線を作り、Deep Glowで光らせる。
Alpha指定のMax値を5太らせたレイヤーを、3太らせたレイヤーでマット指定すると、2の太さの線が出来上がる…みたいな…(説明むずかしい)
シェイプレイヤーで輪郭作っても良い。やり方って200通りあんねん。
3-24.フリー
AEJuiceのオサレテンプレを使用。
ホントはここも手描きパロしたかった。
3-25.サイバーサンダーサイダー
クリスタ上で描画、それを画面収録しています。カーソルは非表示に。
流石に音楽に合わせて文字を書くことはできないです。
AEにもってきて、タイムリマップで速度調整。また、書き直しのとこはカット処理。あと歪んでるとこも切りぬいて位置移動とかしています。

3-26.思い出は億千万
全員表示の際のアバターや名前の並び順ですが、基本は動画番号順です。
歌ってみた動画のsm番号は25人分すべてメモしてあります。
3-27.真赤な誓い
このあたりから「文字をいじる」ということを覚えてきます。
GG分解やNisai「テキスト状態保持文字分解スクリプト」などを使用。
ここではGG分解で漢字を偏や冠ごとにバラバラ、シェイプ化。
漢字をズラしたり、シェイプパスをイジってあしらいをつけています。
3-28.きしめん
ラブチート!といい、エロゲOP系はパロしたくなります。
(案件や依頼お待ちしております)
3-29.陰陽師
摩天楼元動画の名作ラッシュをオマージュし、過去の名作合唱動画を流しています。大変お世話になりました。楽しませていただきました。
なんか1箇所「エージ」が1画面に3人出てきてますね。カラコルさんの合体合唱を除き、1メドレー1動画、合唱作者被り無し、そして摩天楼までの合唱動画で構成すると自分を出すしかなかった。
3-30.ラッシュパート
背景のビル群は国土交通省が無償配布しているPLATEAUを使用しています。
最後の出典リストに「国土交通省」が出てくるニコメド合唱。よろしく。
こちらの都市モデルを改造し使用しています。そこにVIDEO COPILOT社のフリーモデル、Future City Packのビルを建たせています。
また、動画を流すスクリーンはE3DのMotion Design Bundleに収録されている素材です。上記をE3D上に配置、その後AE上でカメラ付けしています。
PLATEAUの軽い紹介ですが、全国のいろんな都市のモデルを配布してる、かつ商用利用可能だったり一部の地域はテクスチャもついてたりします。
今回使用しているのは、ニコニコ(ドワンゴ)がある歌舞伎座タワー周辺地域の都市モデルです。テクスチャ付き。
ただ配布素材objファイルをそのままElement3Dで読み込むとテクスチャ無しになってしまうので、一度Cinema4Dを経由しc4dファイル(テクスチャ情報が読み込まれる)にし、それをE3Dに読み込ませます。
分かりきったように書いてますが、youtubeの動画から習ったものなので、下記を参照にしてください。とてもわかり易く紹介しています。

また、タワーの上部にスクリーンを増設してます。
頑張って作ったけど、結局アバターカットインのおかげで全然見えないね!
タイトルのテキストアニメーションは、先ほど登場したGG分解・Nisai「テキスト状態保持文字分解スクリプト」に加え、RanAni3というスクリプトも使用。あとAEに元から付属のプリセットも使用。このあたりは無料です。
飾り等はAEJuiceのシェイプモーション等を使用。
歌い手紹介のアレは、まずラフを作りました。それを元にIllustratorで枠や素材を作り、AE上でモーションや色味調整を加える形です。

名前が長い人を基準にしたほうが、後々やりやすい(たまたまトップバッターってのもある)
一応コンセプトはサイバー的なもの。
イメージの参考として、Pinterestでアイデア探ししました。
3-31.シュガビ
動き回るライトは、ライトレイヤーを作成し、wiggleを設定したヌルレイヤーと紐づけ。それを10個ほど配置→くそおもデータになりました☆
…丸いシェイプレイヤーをぼかして発光させて動かしたほうが良いかも。
wiggle(1,2000)などをpositionに設定して、ぬるぬる動かす。値はお好みで。
3-32.アスノヨゾラサビ
ここは今度動画で作り方解説しようかなって思っています。
AdobeStockなどから流れる雲の動画をもってきて、フラタクルノイズでも流れる雲を作成。それを歪ませてアスノヨゾラ元動画のような雲の形に。
あとは部分的に黄色をのせ、影をつけ、星をやどして、Optical Flaresで光を指し、パーティクルをのせ、色味を調整したらカメラワークとアバターとリリックモーションをつけて完成!
以上です!動画が長いから解説も長い!
なるべく分かりやすく解説したつもりですが…
もっと詳しく!や、解説してない部分が知りたい!があったら、DMを送ってくれれば頑張って解説します。
長文失礼しました。お読みいただきありがとうございました。
よかったら何度でも動画を見てくださると嬉しいです。