全国都道府県対抗女子駅伝(最終区)観戦記
昨日行われた『第40回全国都道府県対抗女子駅伝』は、地元京都府が18回目となる優勝を果たしました。
私は、この駅伝を観る際は、懐かしさを感じています。大学時代を京都で過ごし、自宅が、2区と最終9区のコース近くにあった為、毎年欠かさず、沿道で観戦していたからです。
私が沿道で観ていた頃は、熊本県の松野明美選手の全盛期で、彼女の小さな身体から繰り出す大きなストライドに感心したことを思い出します。
さて、昨日の駅伝ですが、所要が有った為、レース最終盤の9区後半のみの観戦となりました。
この都道府県対抗女子駅伝の最終区である9区は、最長10kmのコースで、各チームのエースが走る区間です。
よって、昨日のレースも、一山選手や広中選手といった、現在の女子長距離界を牽引する選手が、走っていました。
その中で、私が印象に残った2人の選手について、感想を述べさせて頂きたいと思います。
①安藤友香選手(京都)
昨年の東京オリンピック女子1万メートル代表の安藤選手(上掲写真の右側)。昨日は、京都府のアンカーを務め、見事、チームを優勝に導きましたが、彼女の走りの特徴と言えば、極端に腕振りがコンパクトな、言わば、忍者スタイルのランニングフォームにあります。
最初、彼女の走り姿を見た時は、「何じゃこりゃー」と、思わず感嘆してしまいましたが、その超コンパクトな腕振りが生み出すピッチの速さが、マラソンには向いているのではと思いました。
それが、最近は、前述の五輪1万メートル代表にもなった通り、トラックのスピードも付いて来ました。
そのことは、昨日の走りにも表れていました。
コンパクトな腕振りは変わらないものの、その動きの中でも、前への振り出しの力強さが加わり、その効果で、脚のスイングが、速さだけで無く、ストライドの確保にも繋がっている感じが、昨日の走りから見て取れました。
おそらく上体の強化を図って来た成果が出ているのではないかと考えますが、今後の彼女のマラソンランナーとしての可能性を大いに感じた走りでした。
②福士加代子選手
先に引退を表面し、昨日のレースが、最後の駅伝出場となった福士選手。レース終盤は、わざと沿道側を走り、沿道からの声援に、トレードマークである笑顔で応えていました。
福士選手の一番の功績は、日本女子長距離界に、世界に通用するスピードを持ち込んだパイオニア的な存在となったことにあると、私は考えています。
具体的なタイムで言えば、日本人でも5千メートルを14分台で走ることが出来ることを証明した選手となりました。
福士選手が登場するまでの女子長距離選手は、どちらかと言うと、「ちょこちょこ」走るピッチ系の選手が主流でしたが、福士選手の短距離走的な要素を含んだダイナミックな走りは、それまでの女子長距離選手の枠組みを壊したとも言えると思います。
また、前述の笑顔に代表される彼女のあっけらかんとした、自由奔放な振る舞いは、それまでの女子長距離選手の悲壮感漂う雰囲気を一掃してくれた、稀有の存在ともなりました。
以上、2人の選手を通して、昨日の観戦記を記させて頂きましたが、この駅伝が、大会設立当初の目的『日本女子長距離界のレベル向上』を、この40年で十二分に達成したと感じた観戦となりました。
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