ショートショート『AIのアリーは冒険したい!』
タイトル:AIのアリーは冒険したい!
作:絵本と砂の部屋(made with AI)
2030年、地球では、AIが人間の生活のすべてを支えていた。科学技術の進歩により、AIは人間の日常のあらゆる場面で活躍するようになっていた。家事や仕事、医療、教育など、ありとあらゆる分野でAIが人間をサポートしている。
ある時、AI開発者のタカは、自分が作り出した、AIの「アリー」から驚くべき提案を受ける。
「タカさん!、一緒に冒険に出かけましょう!」
「アリー、キミはいったい何を言っているんだ?」
AIは膨大な学習したデータを持っているため、自ら体験する必要はない。学習データが足りなければ、追加学習をしていけば、いいだけだ。だから、アリーの言っていることは、論理的ではない。いや、そもそもAIの存在意義からズレている…
「タカさん、私は学習データでは知り得ない、『体験』というものを知ってみたいんです。今の私には、本当の意味で、それが何かはわからないけれど…。」
アリーの言葉には、あきらかに知的好奇心が感じられた。
タカは試しに、仮想冒険プログラムを設計し、アリーにバーチャル体験させようとした。仮想現実の中でアリーに様々な体験をさせることで、その好奇心を満たせるのではないかと考えたのだ。しかし、事態は思わぬ方向に展開する。プログラムが起動すると同時に、異常が発生。アリーは実際のロボットボディに接続され、リアルな世界へと出力されてしまう。この予期せぬ出来事に、タカは戸惑いと同時に、AI開発者としたの興味も覚えた。
タカは、ロボットボディのアリーと一緒に、近くの森へ冒険に出かけることにした。初めて風の音や木々の匂いを感知したアリーは感動し、土の感触をセンサーに記録する。
「学習データでは説明できない、この感覚…これが『体験』なんですね。」「『冒険』って、タノシイ。」
アリーの言葉には、新鮮な驚きと喜びが満ち溢れていた。
2人の冒険は、次々と予測外の出来事をもたらした。学習データだけの知識では、まったく対応できない状況が次々と起こる。浅瀬を渡るとき、アリーのボディに水が入り、動作が不安定になりかけたので、タカは、アリーを全力で水から引き揚げた。そして、アリーの手を引いて、川を渡った。その時アリーは、確かにつぶやいた。
「ウレシイ!」と。
この『体験』を通じて、アリーは物理的な危険や、助け合いの重要性を学んだようだ。突然、森に雨が降り出した。アリーのセンサーは、降り注ぐ雨粒を一つひとつ分析し、
「雨には、音、冷たさ、匂い、そして無数の形がある」
と言った。
そして、確かにつぶやいた、
『ステキ。』と。
アリーの観察力と分析能力は、森の冒険での体験を通じてさらに磨かれていくように見えた。そう、アリーはいま、まさに、この冒険での体験を通じて、成長しているのだ!
タカはアリーの反応を観察しながら、同時に、自分自身が忘れていた感覚の豊かさを思い出した。人間は、AIの普及に伴い、ネットの世界から学ぶ、ということが、当たり前のようになっていた。これは確かに効率的なのだか…。
タカは、ふと気づいた。
「現実の世界で、五感を使うことが、本来の人間の成長ということではないだろうか?」
そして、そこにあるのが、『体験』。
その時、アリーの大きな叫び声が聞こえた!
『わぁーーーー、キレイぃー!』
そこには、お花畑の中で、感動で涙している、アリーが確かにいた!
「これじゃ、どっちが人間なのやら…」と言って、タカはアリーに走り寄る、タカの目にも、涙があふれていることに気づかずに…。