見出し画像

ラブレターを書いてみたくなる絵本|『ラブレターをもらったら』を紹介します。

絵本紹介士のkokoroです。幼い頃から読書が好きで、大学は児童文学科で学びました。同時に、心のこと、スピリチュアルなことにも、とても関心を持っています。このnoteでは、そういう観点から心惹かれる絵本を選び、お話の中の気付きやメッセージを読み解いています。

その絵本を紹介することで、どういうところが心がラクになるのかなどを伝え、そして実際に読んでもらって、落ち込んでいる人や辛い気持ちにいる人が、心がラクになったり、元気や勇気を出してもらえることを目指しています。


いきなりですが、あなたはラブレターを書いたことがあるでしょうか?
そしてもらったことがありますか?

私がラブレターというものを意識していた時代は、まだSNSなどなかった時代。友達とも、メモでやりとりしていた時代。あまり言うと年がばれますが(別にいいのですが)ラブレターも便せんに書いていました。

今はSNSでやりとりするんでしょうね。
紙にしろ、SNSにしろ、ラブレターと聞くだけで、ちょっとドキドキしてしまいますね。

今日はこのラブレターをめぐって三匹の動物たちが織り成す物語。
リアルツールの「紙」のラブレターです。この「紙」でないと、このお話は成り立ちません。それが、お話のキーなのです。

では、紹介していきましょう。

この絵本を読むと、ラブレターにまつわる記憶を思い出したり、あるいは大好きなあの人にラブレターを書いてみたくなる、そんなお話。


1・絵本のあらすじ


このお話はハリネズミくん・ウサギちゃん・リスくんがそれぞれラブレターをもらったと思い込み、気持ちがごきげんになったり、しんせつになったり、やすらかな気持ちになったりするお話です。

スクリーンショット (125)


『ラブレターをもらったら』アニカ・アルダムイ・デニス 文 ルーシー・ルース・カミンズ 絵 石井睦美訳 BL出版


<はじまり・ハリネズミくん>


はじめはハリネズミくんが落ちていたラブレターらしきものを拾いました。すっかり、自分宛だと思い込みます。

それからはいつもはしないこと、リス君におべんとうわけてって頼まれてもきげんよくいいよと言ったり、うさぎちゃんにいっしょに帰ってといわれると「いいとも」ときげんよく帰ることができました。

<うさぎちゃんの場合>


うさぎちゃんはハリネズミくんが落とした手紙を拾い、ハリネズミくんが自分を好きだと思いこみます。うさぎちゃんも嬉しくなり、家に帰るといつもいやいやしているお手伝いを嬉々としてするのでした。


<リスくんの場合>


今度はリスくんがうさぎちゃんが落とした手紙を拾い、自分のことを好きなのだと思い込みます。散らかっているのがきらいなリスくんも家で散らかっていてもイライラしないでやすらかな気持ちでいました。

<真実は・・>


ところが、三人会ったときに、その手紙が実はネズミさんがお月様に書いた手紙だったんだと判明しました。

三人に向けてのラブレターじゃなかった。
三人はとてもがっかりします。

<ネズミさんの言葉・結末>

だけど、ネズミさんが、ラブレターをもらったことでどんな気持ちになった?と三人に聞きます。

三人は答えます。

「とってもあったかいきもち!」
『ラブレターをもらったら』アニカ・アルダムイ・デニス 文 ルーシー・ルース・カミンズ 絵 石井睦美訳 BL出版 より引用

そう言って抱き合う。
大切な友達がいることの喜びを再確認します。

勘違いだったけど、感じた気持ちはウソじゃなかった。

ラブレターってものが人の心を温める素敵なものなんだということがわかるお話。


2・ラブレター効果


①ラブレターの内容は?

「ごきげんなきもち」「しんせつなきもち」「やすらかなきもち」になった三人。

そして「あったかいきもち」にも。

そんな風な気持ちにしてくれるラブレター、どんなことが書いてあったのでしょう。

ラブレターの一部を紹介します。


・・・あなたはよろこび、ひかり、こころのなかのきぼう。あなたがいるとおもうと、夜だってこわくない。みんなにはみせない、きらきらかがやくえがお。


『ラブレターをもらったら』アニカ・アルダムイ・デニス 文 ルーシー・ルース・カミンズ 絵 石井睦美訳 BL出版 より引用


といった、素晴らしい文章。こんなこと言われると嬉しいですよね!
もうすごい誉めてます(笑)

「こころのなかのきぼう」なんて、こんな嬉しいことを言ってもらえたら、そりゃあ、有頂天になりますよね。

3人が嬉しくなる気持ちもわかる。

でも・・出す相手が「おつきさま」と聞けば、なるほど、とも思う。
なんだか、なぞなぞみたいです。


②ネズミさんの言葉

最後にネズミさんが三人に言います。

「それなら・・・、これは、“ すてきなかんちがい ” じゃないかしら」と、ネズミさんはいいました。


『ラブレターをもらったら』アニカ・アルダムイ・デニス 文 ルーシー・ルース・カミンズ 絵 石井睦美訳 BL出版 より引用


この言葉も素敵です。おつきさまにあんなに素敵なラブレターを書くくらいなので、ネズミさんは詩人で、言葉のチョイスもとても素晴らしい

人から好かれていると思うと嬉しいですよね、心が温かくなりますよね。
ワクワクします。

すると、毎日の行動や生活もすいすいと上手くいく。

まさにラブレター効果。

小さいことは気にならない。
そんなことってありますよね。

そういうポジティブな気持ちになれたのだから、「うれしいかんちがい」で、良かったことだったんですよね。


3・この絵本に惹かれたポイント2つ


この絵本に特にここが惹かれた、というポイントが2つあります。

①ポイント1

人(リスだけど)への観察力

特に、面白いなあ、と思った場面があります。
それは
「きれいずきなリスくん」
リスくんはものすごくきれい好き。ラブレターをもらった(と思い込んだ)日は、お母さんがキッチンの上をちらかしていたり、スープをリスくんのナプキンに飛ばしたりも気にせず、とあります。リスくんのお母さんは普段、結構、適当な人なんだ、とわかって面白い。ちょっとニヤッとする。
また、一番ありそう、と思ったのは

テディベアがせのじゅんになってなくても、
気になるどころかグーグー!

『ラブレターをもらったら』アニカ・アルダムイ・デニス 文 ルーシー・ルース・カミンズ 絵 石井睦美訳 BL出版 より引用


とあり、リスくんが寝ているベッドの横にテディベアが3個、バラバラの背の順で並べてあります。
こんなところまで背の順にしているなんて、リスくんのきっちりとした性格、潔癖なところが垣間見れて面白い。
現実にもそういうところまで気にする人がいそう。
そういう描写が作者の人を見る観察眼を感じられる。

②ポイント2

絵の魅力

このお話は絵もとっても可愛い!ほのぼのしています。

色のタッチが温かい。
暖色というのでしょうか。

動物たちの表情もとてもいい。
上手くとらえています。

全体に漂うおしゃれ感もあり、何度も何度も絵も見たくなります。

今回のこの絵本は文と絵を描いた人が別々ですが、すごく絵と文も合っています。訳も優しく、読みやすく、このお話の全てが調和しています。

4・まとめ


今日はとても可愛いほのぼのしたお話でした。
読んでみると、皆さんのラブレターにまつわる思い出などがよみがえってくるのではないでしょうか?そんな懐かしい思い出も楽しみながら、この絵本を読んでみてください。

人から大好きだと言ってもらえるのは大人になってもいくつになっても嬉しい。自分を動かすエネルギーになります。あなたも大切な人にラブレターを書いてみたらいかがでしょうか。もちろん、紙の便せんで。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?