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許すこと、許されることについて教えてくれる絵本 | 『花のかみかざり』を紹介します。


「許す」という言葉についてあなたはどう感じますか?
人を許す、あるいは自分を許す・・
特に自分を許せないでいたら、すごく辛いし、しんどい思いを抱えながら生きていくことになるーそんな時、誰かに話してラクになれたら。そんな救いが描かれた絵本を紹介します。

1・絵本について

今日紹介する絵本は『花のかみかざり』

花のかみかざり

(いもとようこ 作・絵 岩崎書店出版)です。


このお話は心に悔いを抱えている看護婦のうさぎさんと患者さんのたぬきのおばあちゃんのお話です。
おばあちゃんはうさぎさんにいつもよくしてくれていると感謝しますが、うさぎさんは自分はそんなによい人ではない、ひどい人なんだ、とある話を告白します。

それは、以前、看護婦になって最初のころ、こどもの面倒を主に見ていたのですが、そこに一人、おおかみのおばあちゃんがいて、いつも怖い顔をしてにらみつけるのです。
ある日、そのおばあちゃんから呼び出しのベルがなり、行ってみると「だきしめてほしい」というのです。
うさぎさんは怖くなって逃げだしてしまいました。

その次の日、おばあちゃんは亡くなっていました。
うさぎさんはおばあちゃんの最後の願いを聞かなかったことを今でも後悔しています。

その話を聞いた、たぬきのおばあちゃんは自分をおおかみのおばあちゃんと思ってだきしめておくれと言います。

うさぎさんはその言葉に号泣しながらだきしめます。

そんなうさぎさんにたぬきのおばあちゃんはこう声を掛けます。

「もう なかないで!おおかみの おばあちゃんも ゆるしてくれてるわ。
さあ、いつもの すてきな えがおを みせてちょうだい!」


(『はなのかみかざり』作・絵 いもとようこ 岩崎書店出版 より引用)

そして、うさぎさんもらったお花のかみかざりを外してうさぎさんに付けます。

うさぎさんはすっかり笑顔になるのです。

スマイル

2・許すことについて

①悔いの気持ち


皆さんは後悔していること、ありませんか?「あんなことしなければよかった」とか「あれをすれば良かった」とか。
私もあります。
そういう時って、心に黒い雲のようなものがモヤモヤと出てきます。
苦しくて、しんどくて、下を向いてしまいます。

よく「過去を見ずに前をみましょう」とかの言葉を聞きますが、理屈ではわかっていても、それがなかなかできません。

②うさぎさんの場合


うさぎさんは、たぬきのおばあちゃんに話して泣くことで心のモヤモヤをはらしました。
これは話す相手、状況もとても良かったのです。
うさぎさんは仕事で患者さんに親切に出来なかったという悔いを抱えています。
その同じ患者さん、しかもたぬきさんもおばあちゃん、という共通点がある。
うさぎさんは前のような悔いを残さずにしようと、きっと今はより親切に対応しているはず。たぬきのおばあちゃんはそのいつもの対応を知っています。
そのおばあちゃんにおおかみのおばあちゃんもゆるしてくれている、と言われると救われた気持ちになったはず。
そして、おおかみのおばあちゃんを抱きしめられなかった分、たぬきのおばあちゃんをだきしめた。
これもその時できなかったことを「できた」ことへの満足感がありました。
それがうさぎさんの心を救った。うさぎさんは癒されたのです。

③自分を許すということ


さて、では、この絵本のうさぎさんのように、実際にはどうしたら悔いる苦しい気持ちをラクにできるのでしょう。
自分を許すことができるのか。
それは、まずは同じような状況が来たときに、同じ失敗をしないようにする、ということ。
前の後悔を糧にしてよりよく生きていくということ。

・・・と、こんな風に分かったようなことを言っていますが、私も後悔ばかりしていました。暗くなって、自分を責めて、ネガティブになっていました。
正直なところ、今もまだしています。暗くなったり、落ち込むこともまだまだあります。

でも、少しずつですが、以前よりはその回数が少なくなってきました。

それは、その自分の気持ちをカウンセリングなどで聞いてもらったり、心のことやスピリチュアルなことを学んできて、自分を責めることは良くないこと、何も生まない、ということがわかってきたからです。

もちろん、失敗したことや、やってしまったことは充分に反省することも大切です。
でも、いつまでもそれに囚われて鬱々した気持ちを引きずり、暗い気持ちになるのはよくありません。

そんな時、このたぬきのおばあちゃんのような人に打ち明け、元気づけてもらえたら、こんなに心癒されることはないでしょう。

もし、そんな人がいなければ・・この絵本を読んでうさぎさんの気もちになってみてください。たぬきのおばあちゃんの優しさに癒されます。
私自身もこの絵本を読んで、とても心救われ、癒されました。

3・まとめ

この絵本は作者のいもとようこさんの絵がとても温かく、内容のメッセージがより心に優しく届く。
特に、このような少し重い内容を温かい絵と優しい文章で私たちに届けてくれる、絵本はやはり素晴らしいと改めて思います。

もし、心に悔いを抱えて暗い気持ちになってしまう人がいれば、ぜひこの絵本を読んで一緒にうさぎさんの気もちを追体験してほしい。

そして、この絵本は「悔い」だけでなく「だきしめること」「だきしめられること」のすばらしさ、そこにある「愛」についても教えてくれます。

赤ちゃんを抱くお母さんイラスト


この絵本をぜひ読んでみてください。



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