希望がないと思う時、読んでほしい絵本|『きぼうーHOPE―』を紹介します。
絵本紹介士のkokoroです。 “絵本紹介士”とはその字の通り、絵本を紹介する活動をしています。
幼い頃から読書が好きで、大学は児童文学科で学びました。またここに至るまで、挫折を経て心のことに関心を寄せ続けてきました。
ある時から絵本の楽しさに改めて気づき、多くの絵本を読んできました。
絵本は子どもが読むもの、と思われがちですが、大人の心にこそ響きます。
楽しくなり、癒され、深く心が動き、考えさせられる。
そんな風に心惹きつけられた絵本を1冊ずつ紹介しています。
実際にその絵本を手に取って頂き、思いを共有してもらえたら、こんな嬉しいことはありません。
今日ご紹介する絵本は『きぼうーHOPE―』(コーリン・アーヴェリス ぶん セバスチャン・ペロン え ひさやまたいち やく 児童図書館・絵本の部屋 )です。
1・この絵本は「希望を持つことの大切さ」を教えてくれる。
「希望」・・?
そんなの持ってもムダ、何も思い通りにはことは進まない、私なんかが希望をもっていいの?・・
そんな風に思う人もいるかもしれません(いやいや、私がひねくれているのかな?)
毎日生きていて、無事に何事もなく、日々を送れる、それは素晴らしいこと。
でも、ずっとこのままなのかなあ・・と思う時、ありませんか?
じゃあ、どうなったら心に希望を抱いて生きていけるのでしょう。
そもそも「希望」ってどんなものでしょうか?
はい、今想像してみてください。
こうなったらいいなあ・・、あのことが実現したら嬉しいなあ・・
ちらっと頭の隅をよぎったもの、それが「希望」です。
でも、すかさずこんな声も聞こえてきませんか?
こうなるといいなあ→「無理だろうけど」
あのことが実現したら嬉しいなあ→「来ないだろうけど」
素直じゃないな、という意見もあるかもしれませんが・・
そう思う人いません?
少なくとも、私はそう思ってしまいます。
それは、ヘタに希望をもってがっかりするのが嫌なんですよね。
やっぱり、だめだった。そんないいことあるわけない。
そう思う方がラクなんです。
・・・でも、ちょっと考えてみて。
今までに思い描いたことすべてが叶わなかったですか?
行きたい学校へ入ることができた。
やりたい仕事ができている。
温かい友達がいる。
好きな人との恋が実った。結婚できた。家族になれた。
そんな大きなことでなくても、行きたいライブのチケットに当たった、とか、行きたかったところへ旅行へ行けたなどなど、叶ったこともあったはず。
むしろ、「いやこんな風になるとは思わなかった」ようないいこともあったのでは?
私も・・・
言われてみれば、あります。ありました。希望が叶ったこと。
では、「希望」は叶うこともあるのでは?
それはなぜ叶ったか。
「こうなりたいな」という心に「希望」を持ったからではないでしょうか。
となると・・・また元に戻りますが、やっぱり「希望」を持つことは大切なのでは?
叶わないこともあるけれど、叶うこともある。希望を持とう、信じようと思い、そしていつか叶った喜びを味わえることが「生きている」ということなのではないか。
そんなことを教えてくれる絵本なのです。
2・絵本のストーリー
フィンという男の子がコメットという犬を飼っています。二人はとても仲良し。いつも一緒にいます。
ところが、あるときコメットは具合が悪くなり、入院することになりました。
フィンは悲しくなります。
お父さんが懐中電灯をもって照らしながら部屋に入ってきます。
「なにか ぼくに できること、ある?」フィンが ためいきを ついた。
「あるよ。 きぼうを もつことだ」パパは、かいちゅうでんとうを フィンに わたした。「きぼうは ひとすじの ひかりを くれる。あたりが どんなに くらくてもね」
『きぼうーHOPE―』コーリン・アーヴェリス ぶん セバスチャン・ペロン え ひさやまたいち やく 児童図書館・絵本の部屋 より引用
それからフィンはことあるごとにコメットのことを思い、良くなることを祈りました。
ある夜、部屋の中にお月様の光が入ってきた。フィンはコメットのことをより強くお月様に願いました。
次の朝、コメットは元気になって帰ってきました。希望が叶ったのです。フィンとコメットはまた楽しく日々を過ごせるようになった。
というお話です。
3・このお話から惹かれたところは「希望」というものを視覚化しているところ
このお話から惹かれたところは「希望」というものが懐中電灯の光として、そしてお月様の光として描かれているところ。
この懐中電灯というのも、みんなが知っていて誰の家でも大抵あるからイメージしやすい。暗い中、パッと一隅を照らす、その様子が落ち込んだ気持ちの中、光が照らされるという情景を暗示しているようで、とてもいい効果を生んでいる。
そしてお月様の光。これも誰でも見ることができる。明るい大きな温かい光。暗い夜空を照らしている。人間だけでなく、コメットのような動物、生きとし生ける者すべてへ、いつでもこのような光があるんだよ、あなたを照らしてくれているんだよ、というメッセージを伝えてくれているようです。
この絵本にはその二つの光が希望のシンボルとなっています。
「希望」と文字に書くだけでは心に大きな印象として残らない。
でもそれを絵として描き、視覚化してくれていることで心にはっきりと残ります。
絵本を読んだあとでも「希望の光」として思い出すことができます。それが素晴らしい。
4・この絵本を読んでからの心の変化について
私自身、ほかの紹介ページでもお伝えしていますが、落ち込みやすく、クヨクヨしがちの性格。
「希望」なんてのも、なかなか抱けない。
ある日、この絵本を読んだあと、外を歩いていました。
するとまた暗い考えが頭をよぎりました。でも!その時にこの絵本の黄色い「希望の光」を思い出しました。暗い中、一隅を照らす懐中電灯の光、そして部屋いっぱいに入ってくるお月様の光。
するとなんだか、パッと心の中に光が差したような気持ちになりました。そして少し明るい気持ちになりました。
きっといいこともある。大丈夫。叶えられる。
そんな風に思えることができました。
だからこの絵本を読むあなたの心にもきっと明るい光が差し込みます。暗い気持ちになったときもこの絵本を思い出すと希望が持てます。
この絵本の黄色い希望の光。あなたのお守りとなって心を照らしてくれるはず。そんなことが感じられる絵本です。
希望がないと感じたときー
ぜひ、読んでみてください。おすすめです。