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ビジネスリーダーたちはわが子をどう育てているのか 子育て経営学ー作:宮本恵理子 を読んで

自分とは次元の違う世界の話と、読み込むことにためらう部分も・・・


本書の中でインタビューを受ける方々の経歴だけを見ると、私とは生きる世界が違うのでは?と躊躇してしまうかも。

保育園で共に子育てについて、悩む気持ちは学歴やキャリアを越え、“新しい時代に、こどももたちに何がてきるのか”そんな共通の想いがあったので、図書館で偶然見つけ、読みすすめてみました。

著者宮本恵理子さんの前書きを読み、子育て・仕事・共働き・・・今自分の悩みのヒントになるかもしれない。
(時間が限られていたので、斜め読みとなっているのですが、時間を見つけて読み込みたいなと)


小学生の壁を前に、転職をし、社員からパートになり、今また何者になればよいか、悩みながら資格勉強の合間に図書館で出会った一冊です。

この本の、「はじめに」と「あとがき」を抜粋しました。


「仕事だけが人生」という価値観に浸かることなく、父親になった団塊ジュニア以下のバブルを知らない世代


彼らは、ビジネス、学術など専門分野で実績を上げ、成長し続けながらも、子育てに深く関わっている。自分の人生を犠牲にして子育てに関わっているわけではない。むしろ、経営者、リーダー、専門分野のプロフェッショナルであることと父親であることを両輪にして、エンジンを加速させているように見える。



1 経営計画と同じように中期的なビジョンをもつ


「どう育てたいか」という目標や、そのために選択した「どういう関わり方をするべきか」。その視点には「10年後社会こうなっているはずだから」と予測した未来からの逆算する”俯瞰する目”がある。
男女の違いで論じるのは乱暴かもしれないが、母親はどちらかというと「今日の体調は大丈夫か」「同級生の子たちはもう塾に行き始めたらしい」など目の前の事象やすぐ近くで起きている変化を敏感に察知する。

2 「チーム」として、夫婦で連携する

世間は風潮や既成概念に巻き込まれることなく、自分で考え、選択した子育ての方針は、夫婦の間でも共有されている。
「夫と妻は子育てという共通目標を達成するパートナーであり、それぞれの
得意分野に応じて役割を分担する」をいう姿勢がごく自然に貫かれているのも、彼らの特徴だ。
たとえ平日は、朝の30分しか子どもと顔を合わせられないとしても、限られた時間の中で濃密に子どもと関わり、情報をアップデートしようとする。平日「「」」は慌ただしくしていても、週末夕食後に夫婦で顔を合わせ、子育てや家庭運営について話す機会を作るなど、「忙しくて話す時間がない」と言い訳せず、日々発生する細かな課題を共有し、どう解決したかフィードバックする。実際には、妻の方が多く役割を担っている現実もある。彼らはそれも素直に認める。日頃から子育てに関わるからこそ、子育てにどんな作業が発生するか、具体的にイメージができ、妻の苦労を肌身で実感している。

3 「好きなこと」を見つける多様な経験を与える

これからどんな産業が成長し、どのような業種が優勢になるかという予測を用意にできる経営者がわが子にどんな職業観を身に着けさせようとおもっているか。
「好きなこと、心から夢中になれることを自分で見付けて、その道に進んでほしい」
発見し、選び取るには、豊富な選択肢があることが前提になる。だからこそ、彼らは我が子の子育てでも「とにかくいろんな経験をさせたい」と口をそろえる。スポーツや音楽などの習い事、アウトドアやレジャー、世界各地への旅行など、与えられる時間の限りを尽くして、子供に様々な機会を作っている。

4 オンとオフを分けすぎず、柔軟に働く

「子供を育てながら働く姿」を自然にオープンにしている、自分自身もリモートワークの仕組みを活用して自宅で仕事をしたり、職場に子どもを連れて行ったり、時には子連れで出張したりする働き方が日常的なのだ。
そうしなければ、子どもと向き合う時間を確保できない理由が一つ。もちろん社長という立場だからこそ、自分の働き方を自由に決められ特権があるという見方もできる。
多様な経営者が、子育てに携わるためにどんな働き方をしているか。その「解」から、社会全体の男性たちの子育て参加を高めるヒントが見付かるはず。

5 「共働き」は当たり前、妻と仕事について語りつくす

「子育てに積極的にかかわる男性経営者を探したら、妻もバリキャリだった」妻も夫を同じように多忙だからこそ、対等なパートナーシップとして、子育て分断が進んだと考えるのが自然だ。彼らの言葉の端々からは「職業人」としての妻への敬意が感じられた。現在の40代以下はバブル経済が崩壊し、男性だけでは妻子を養うという家庭のモデルにリスクを感じ「結婚後も妻にも働き続けてほしい」と思う思考も強いと言われている。
経営者である彼らも、共働きのライフスタイルを当たり前と受け入れ、中には「お互いに刺激を与え成長したいから、ハイキャリアの女性と結婚しようと」と話す人もいた。

6 「家庭外」の力を、前向きに活用する

共働きの子育てとなると、必要な「手」が不足する。
毎日の保育園、学校、習い事の送り迎え、平日の夕食つくり、時には寝かせつけ。その解決策は明快で、「アウトソーシング」であり「シェア」である。自分たちがしなくてもいいかいや子育ての一部を、シッターや家事代行業のプロへ外注する。「子どもは親が育てるもの」という固定概念はとっくに捨て去り、「子どもは社会全体で育てた方がよく育つ」と前向きだ。
プロの手を借りる以外にも、使える家庭外の資源は活用する。
夫婦の親が元気であれば、無理のない範囲でサポートを要請し、地域の家族とも持ちつもたれるで連携する。複数のこどもを同時に見ればだれかの手は空くと分かれば、積極的に家族間で子どもを預かり合う。「一人で抱えるよりも、みんなで分け合えた方がラクだし得。なにより子どもたちも、みんなと遊べて楽しそう」
親がもっと頑張らないといけないというストイックな子育ては遠ざけ、効率や実利を優先する。それらが結果的に、継続可能な子育てにつながっている。

7 子育ての経験は、事業や組織を成長させるチャンス

意識的に子育ての経験を、経営や組織の成長に生かしている。
子育てと社員育て、家族経営と組織のチームビルディングを結びつけ、相互の場で応用し、相乗効果を高めようと実践している。
例えば、「子どもがなかなか宿題に着手しない」という課題に直面した時、「今すふやりなさい、宿題をサボっていると将来・・・」と上ら強制することはあまりない。本人が価値に気付いて行動しなければ意味がない、と辛抱強くその時を待とうとする、なぜなら自立が成長を促すことを社会の人材育成で経験しているからだ。
出産、育児というビックイベントの周辺にある様々なニーズを、生活者の視点でくみ取っていく。あるいは、子育てを通じて、新たに出会う地域の仲間、学校、病院の関係者に実際に触れる事で描ける「こんな世の中になったらいいな」というビジョン。アイディアを事業化するために準備中、あるいはサービスに盛りこんでいる強化しているという人もいる。
経営者としてビジネスにシビアな彼らは、「投資効果の低い取り組みは持続しない」という意識もある。その上で「自分の子育て経験が企業経営に役立つ」と確信しているからこそ、子育てに本気で向き合うのだろう。

2006年にNPO法人ファザーリング・ジャパンを設立して以来、父親の子育て支援活動を続け、政府の各種委員も務めてきた同代表理事の安藤哲也氏は「男性が子育てをファッション化する時代はもう終わった」と語る。イクメン・男性好みのユニセックスなデザインにだっこ紐。ファッションからリアルな日常へ変わっていった。

必要なのは、柔軟な働きかた

今回のインタビューから見えたのは、男性が子育てに参加しやすい社会づくりをするために必須条件が「柔軟な働き方」の推進だ。子育て突発的なアクシデントの連続。「月曜から金曜までの週5日、9時から17時まで」とう固定的な働き方とは全く相容れない。
むしろ、そんな働き方が必要な仕事は今後、ロボットに譲っていくべきだろう。
「保育園のお迎えに合わせるために、わざわざ短時間勤務を申請しないといけない」とういうレベルの制度設計では、もう追い付かない。
博報堂でCMプランナーとして活躍した後、家族でオランダに移住し、現在はニューロマジック アムステルダムBVのCEOとして活躍する吉田和充氏は、オランダと日本の父親の子育ての最大の違いは、「子どもと関わる時間の長さ」だと語る。
そのオランダは、ユニセフ・イノチェンティ研究所の2013年発表の調査で、「子どもの幸福度ランキング1位」に選出された国であり、「柔軟な働き方」の先進国としても知られている。
1996年に労働時間差別を禁止する法律が導入されて以降、「同一労働同一賃金」が社会全体で機能するようになり、個人がそれぞれのライフスタイルに合った働き方を選択できるようになった。
筆者が20年ほど前、オランダ出張ついでに、アムステルダムの雑誌編集部を訪問し、女性編集長にインタビューしたことがある。普段の働き方について質問すると、「私は特別なケアが必要な子どもを育てているから、週3日勤務なの。編集部のスタッフの大半は週3~4日しか働かないパートタイマーよ」と返ってきた。当時はその答えがあまりに珍しく、衝撃を覚えた。深夜のタクシー帰りが当たり前だった日本の同業種に働き方の違いに、愕然とした。
柔軟な働き方を推奨するには社員の意識改革も必要となる、細かく指示され、管理されないと働けない社員ばかりでは、会社は成り立たない。経営者は誰かに南里されなくても生産性を高めようとするが、柔軟な働き方を実践するには、社員も同じようい自律的に考え、行動しなくてはならない。
さらに、夫婦だけでカバーできない部分は外の吐噶喇を借りるという選択肢はもっと身近になれば、体力的、心理的な負担は軽減させる。家事・子育てに費やす時間が限られている人も、例えば掃除や洗濯など、子育てと関係のない家事を外の手にゆだねれば、それで空いた時間を子供との時間に当てられるはずだ。
シンガポールや香港などの成長著しいアジア諸国では、家事・子育てはプロフェッショナルに手伝ってもらう生活文化が浸透している。餅は餅屋として他者の力を借り、個人が社会に提供できる価値を最大化し、国も成長していく。そういった国々との競争に、日本は立ち向かえるだろうか。
「男性の子育て参加は、様々な社会課題を一気に解消する”一番ピン”」と安藤氏は言う。
ボーリングの正面のピンを倒すと、一斉にすべてのピンが倒れる。同じように、「女性の活躍」「児童虐待」「長時間労働」「選択的夫婦別姓」など、日本がかかる問題が、男性の子育て参加を促進することで、連鎖的に解消へ向かうというのだ。


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